※この記事は、FX攻略.com2018年5月号の記事を転載・再編集したものです
2月に原稿を書いている。ここ米国でも、コートが手放せない寒い日々が続いている。しかし、春はすぐそこである。松任谷由実さんの「春よ、来い」は良い歌である。筆者は口笛を吹きながら春の花見に思いを馳せる。
春といえば、ワシントンの桜も日本に劣らず大変綺麗である。ポトマックス公園では、「National Cherry Blossom Festival(全米桜祭)」が開かれる。そのきっかけは、エリザ・シドモアさんが日本を旅行した際、桜の美しさに感動し、そして川沿いに桜を植えようと計画したことが始まりと聞いたことがある。もし、読者の皆さまが春にワシントンを訪れる機会があれば、ワシントンで「春」探しを体験していただきたい。
筆者は大酒飲みでないが、春の花見に「酒盛り」は欠かせない。そして、酒の肴を何にするか考えるのも楽しみである。しかし、この時期、サラリーマンにとって一番の酒の肴は「人事」である。
日本銀行の人事
日本政府は2月16日、黒田東彦氏を日本銀行総裁に再任するという国会同意人事を提示した。副総裁は、雨宮正佳(現日本銀行)理事と若田部昌澄(早稲田大学)教授とする案である。黒田総裁が再任され、雨宮氏が副総裁に就任することは、現在の金融政策は継続されることを意味する。
(為替政策は財務省の問題であり、日本銀行の問題ではないが)雨宮氏は、1999年に円高が進行したときに日本銀行の金融政策について説明したことがある。当時、「為替介入による非不胎化政策(※)」について、市場では議論されていた。そのことについて、中央銀行として「目的」と「効果」を説明できないことは金融政策として採用すべきでないと説明した。原理原則を重んじる理事であるが、柔軟な金融政策を立案してきた。雨宮副総裁が誕生すれば、日本銀行にとって頼もしい存在になるであろう。そして、雨宮氏からの「為替」への発言は今後とも注視していかなければならない。
この人事で気になることは、若田部氏が副総裁候補に挙がったことである。ご存じのように、日本銀行の金融政策は「量」から「金利」へと政策の基準をシフトさせてきた。しかし、若田部氏を副総裁にすることで、日本政府は不測の事態になれば「量」と「金利」のバランスをとり直す役割を若田部氏に期待しているのである。その若田部氏であるが、通信社とのインタビューで、さらなる追加緩和を主張している。その主張は、①長期国債買入れを90兆円へ引き上げること②インフレ目標を3%へ引き上げること③名目GDP600兆円(2020年度まで)を目標とすること−である。
※ 政府、あるいは中央銀行による外国為替市場への介入のうち、外貨の売買に伴う金融市場の需給変動に対して、公開市場操作(オペ)による相殺措置を行わない介入手法のことをいう(野村證券:証券用語集より)。
金利の舵取り
新体制のもとで、一番厄介な問題は金利のコントロールであろう。ご承知のように、日本は1000兆円を超える債務残高の問題を抱えている。そのため、日本銀行(※※)が無理やり長期金利をコントロールすることは意味があるとバーナンキ元米連邦準備制度理事会(FRB)議長も指摘している。しかし、FRBが金融緩和の正常化を目指し、欧州中央銀行(ECB)が金融緩和の出口を模索する中で、日本銀行が長期金利を今まで同様にコントロールすることが可能であるか。
おそらく可能であろうが、日本銀行がさらに金利を押し下げる金融政策を行えば、金融機関の経営が厳しくなるだけでなく、株価がさらに上がり将来それが暴落する伏線を作ることになる。一方で、金融緩和政策の正常化を推し進めれば、不動産業などが壊滅し、日本経済は瀕死の状態になるであろう。そこで、日本銀行は微妙な舵取りが迫られることになる。
※※ Yield Curve Control(長短金利の操作):政策金利残高にマイナス0.1%の金利を適用、10年物国債金利をおおむねゼロ%に誘導。
為替の動向
日本銀行による無理やりな金利コントロールと海外の長期金利の上昇による金利差により、円債から外債へのポート・フォリオ効果 などを通じて過度な円高は抑制されるであろう。しかしながら、日本銀行は国際的な取り決め(金融緩和政策を乱用してはいけない)を厳守しなければならない。
そのため、日本政府がさらなる継続した円安を望むなら、次なる為替政策を考えなければならない。しかし、米国がそれを受け入れるかどうか、投資家は吟味する必要がある。
米商務省は通商拡大法232条に基づき、鉄鋼やアルミの輸入増が安保上の脅威になっていると指摘している。昨年からこの連載で繰り返し述べているが、貿易問題、レパトリ減税、地政学的リスクなど金利差以外にも為替に大きく影響を与える要因がある。読者の皆さまには、 そのような要因にも目を向けて取引していただきたい。
日本銀行の人事から、ドル円相場が不安定になることはないであろう。理由はご披露できないが、今回の人事は微妙にバランスがとれている。醸造蔵は同じであるが、味が異なる桜酒(甘いのから辛いのまで)を用意した。
※この記事は、FX攻略.com2018年5月号の記事を転載・再編集したものです
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