昨年12月号で「荒れるゴム相場」と題し、天然ゴムの先物市場について述べました。その際、ファンダメンタルズ要因ではなく、天然ゴムのプライスリーダーである上海ゴム相場が仕掛け的な動きに左右されていると紹介しました。あれから約半年を経て、少し状況に変化もみられてきたので、今回はゴム相場にスポットを当ててみたいと思います。
※この記事は、FX攻略.com2018年5月号の記事を転載・再編集したものです
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半値水準の落ち込み
まず、昨年の値動きを確認し、今の天然ゴムの値位置をみてみましょう。チャート①は、東京ゴム先限の週足チャート(呼び値1キログラム)です。昨年1月の急騰が目に付きます。この背景には、産地の天候不順、天然ゴム最大の消費国である中国の公共事業の増加、そして米国でトランプ氏が大統領選に勝利したことに端を発した、株高・商品高があります。2016年11月の始値が183.0円ですので、1月31日の高値366.7円というのは、わずか3か月で価格が2倍以上になったわけです。
しかしその後、トランプラリーが終了し、ゴム相場の熱気も一気に冷め、急落を開始。2月に300円の大台を割り込むと、4月には200円も割り込み、6月7日には178.8円まで水準を引き下げ、行って来いとなりました。その後、180円前後~235円近辺での比較的大きなレンジ相場となっていました。今年に入り、売り圧力が強まり、レンジから下放れする気配をみせ、2016年9月の安値水準である150円を目指す展開になりつつあります。
徐々にファンダメンタルズへ回帰
このように、ゴム相場が下値を模索する展開になっている背景には、中国政府によるレバレッジ規制への思惑や、公共投資の減少などから、ゴム相場から資金が引き揚げられ、上海ゴムにおける仕掛け的な動きが減少していることがあるでしょう。ここ数年、天然ゴムのプライスリーダーとして、大きな存在感をみせていた上海勢の動きが鈍っていることから、相場が徐々にファンダメンタルズを意識した展開になっています。上海ゴム指定倉庫在庫、日本生ゴム営業倉庫在庫の推移(表①参照)をみると、中国、日本共に在庫増加傾向を強めていることが窺えます。
2月9日に日本ゴム輸入協会から発表された1月31日現在の全国生ゴム営業倉庫は、前旬比1429トン増の1万4736トンとなりました。昨年10月10日現在では、5302トンでしたが、約4か月で9334トンもの増加となりました。同日に発表された上海ゴムの指定倉庫在庫も、11週連続で増加となっており、日中共に天然ゴム需給も緩和傾向が続いています。
値が荷を呼ぶ
これを受けて、東京ゴムはファンダメンタルズを背景とした値動きに近づいているのですが、その中で非常に珍しいことが起きています。東商取(TOCOM)が発表しているカテゴリ別取組高表によると、ゴムは2月8日から当業者が買い越しに転じるようになってきました。
当業者とは、商社などゴムを実際に扱う業者のことです。通常、当業者は現物を持っているので、値下がりに備えて売りヘッジをかけます。それが買いに回っているということは、東京ゴムに割安感が出ているためです。2月14日の産地タイの現物価格を基に計算してみると、同日のタイでの現物価格は、50.07バーツでした。これにバーツ円(3.39円)を掛け、輸入諸掛8円を足すと177.73円となります。同日の東京ゴム期近2月限の終値が174.0円なので、東京ゴムの方が3.73円の割安となっています。当業者としては、産地で手当するよりも、東京で現受けした方が安いことになります。
このような状況になると、産地価格より東京ゴムの方が安いということは、東京ゴムの下げ幅も限定されやすくなります。そして、東京での現受けが増えますので、価格もいずれ上昇し、産地価格に追いついてきます。
チャート的には底割れとなっているゴム相場ですが、目先の底は案外近い可能性がありそうです。ただし、それには産地相場が一段安にならないという条件が必要です。産地では、昨年12月から輸出削減や買い支え策を実施しているのですが、その効果がいっこうに出てこないことを考慮すると、短期的に目先の底入れをしたとしても、中長期ではまだ下値余地があると考えていた方が良さそうです。
※この記事は、FX攻略.com2018年5月号の記事を転載・再編集したものです
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