※この記事は、FX攻略.com2021年1月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
ゴムが12年ぶりの安値からの急回復
天然ゴム相場に異変が起きています。コロナ禍の中、今年4月には、12年ぶりの安値に沈んだゴム価格ですが、夏から秋にかけて、中国需要の回復や天候要因から地合いを引き締め、10月に入ると暴騰しています。
まず今年のコロナショック以降のゴム相場について、ゴムRSS3号先限(呼び値1キログラムあたり円)のチャートを見ながら簡単に振り返りましょう(チャート①参照)。新型コロナウイルスが中国の武漢市で発生すると、ゴム価格は急落を開始し、1月21日に大節の200円を下抜くと、2月4日には165.6円まで下落しました。1月17日からわずか13営業日で20%超の急落です。
2月21日には190.4円まで戻しますが、新型コロナウイルスが全世界に拡散すると、その後はほぼ一方的な下げ相場となり、4月2日には、2009年3月17日以来、約12年ぶりの安値となる138.3円まで水準を引き下げました。2か月半で33.7%の下落です。その後、150円~160円を中心としたもみ合いとなっていました。
「値が荷を呼ぶ」状況に
しかし、7月に入ると、マーケットに異変が起きます。タイ中央ゴム市場の現物価格が上昇を始めます。7月1日はキロあたり44.28バーツ(1バーツ=約3.35円)で取引されていたものが、7月31日には47.21バーツまで上昇。さらに8月に入ると一段高となり、9月2日には62.07バーツまで水準を引き上げました。日本円に直せば、この2か月で約60円も上昇したことになります。実際、RSS3号は、7月1日の142.2円から8月31日には205.5円まで水準を引き上げています。
この背景には、今年夏までの産地の天候は、降雨が少なく、ゴムの樹液の出が悪くなっていることが挙げられます。ただ、今年序盤は、新型コロナウイルスの影響により、需要自体が減少したため、価格には表れませんでした。しかし、夏ごろになると、中国の景気回復から需要が回復し、供給減が価格に表れてきました。
その後、天然ゴム相場では、よくあることですが、価格が上昇したことを受け、生産者が積極的にタッピング(樹液採取作業)を行い集荷が増加、いわゆる「値が荷を呼ぶ」状況となり、現物価格も9月中旬には55バーツ台まで下落しました。
ラニーニャ現象発生による影響は?
ゴム相場の本当の上昇は、ここからでした。ゴム相場の季節的習性として、秋から冬にかけて価格が上昇することが挙げられます。これは、2月~5月にかけての乾季に備えて、実需筋が10月ごろから買い入れを増やす一方、産地は雨季になるため、タッピングが滞ることがあり、需給がタイトになりやすいためです。さらに今年は、ラニーニャ現象が発生しました。ラニーニャ現象が発生すると、天然ゴムの主生産地タイは雨季に輪をかけて、降雨が多くなります。
過去には洪水が発生したこともあります。ラニーニャ現象は、降雨によるタッピング障害だけではなく、洪水や多雨による根腐れなど、ゴム産業に大きな被害を与えることがあります。
現在、産地価格はラニーニャ現象に対する警戒感から10月22日に66.85バーツまで上昇。日本国内では、10月28日にはゴムRSS3号先限が、2017年3月6日以来の高値となる274.3円まで急騰しています。
中国自動車販売が回復
一方、需要面を見ると、天然ゴムの需要に大きな影響を与える、中国の自動車市場は最悪期を脱し、好調期に入ってきたようです。中国汽車工業協会(CAAM)が発表した9月の国内自動車販売台数は、前年同月比12.8%増の256万5000台となっており、6か月連続で前年同月を上回りました。
内訳を見ると、トラックやバンなど商用車の販売台数が、同40.3%増の47万7000台と大幅に伸びた一方で、乗用車の販売台数は8.0%増の208万8000台でした。商用車販売の急増は、政府主導のインフラ投資があります。
また、地方政府の自動車販売支援策などが、販売増につながっています。1~9月の累計では6.9%減の1711万6000台となっており、減少幅が徐々にではありますが、少なくなっています。中国では、9~10月に新型車の投入が行われ、これに伴い販促イベントが活発になるため、10月も好調な数字が期待できます。年間の累計が、前年比でプラス浮上の可能性が出てきました。
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上値追いの展開が続く
ラニーニャ現象は12月くらいまで続くとみられ、ゴム相場は乱高下を繰り返しながら、上値が探る展開となりそうです。2010年夏にラニーニャ現象が発生した際は、2011年2月にゴム価格が535.7円という歴史的高値をつけました。
今回、ここまで上昇があるかは分かりませんが、需給はひっ迫しています。投機筋の買いも集まっており、300円超の場面があっても不思議はなさそうです。
※この記事は、FX攻略.com2021年1月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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