●聞き手:蛯沢路彦(編集部)
EA運用1年目で年利70%を達成!
蛯沢 ツイッターでいろいろ発信されたり、全国各地でEAトレーダーとの飲み会を開催するなど、ご活躍されている姿を見聞きしていました。今回は、そんな金ツッパ侍さんに、EA運用についていろいろと伺いたいと思います。まずは、EA運用を始めた理由から教えていただけますでしょうか。
金ツッパ侍(以下、金侍) 始めた理由としては、より自分の時間を自由に使うためです。FX歴は4年で、最初のころは裁量でスキャルピングをやっていました。それなりに勝てるようにはなったんですが、モニターに何時間と張りついてエントリーが2回とか1回、下手したら1回もないぐらいで、これは疲れてしまって続けられないなと。そもそも時間的な制約なしでサクッとできるというのがFXの魅力だと思って始めたのに、このスタイルでは労働と変わらないじゃないかと思いました。
それでもトレード自体が楽しかったので、続けていたんです。そんなころに、ハネムーンで海外に行くことになりまして、でもその間にトレードがしたいなと。それで、いろいろな方法を調べていたら、EAがあるぞと。EAの存在は昔から知ってはいたので、この機会にやってみようと思ったんです。
蛯沢 ハネムーン中にトレードをしたくてEAを始めたんですか! すごい発想と、行動力ですね。即決型なのか、熟考型なのか? どれくらい調べてから、始めるという決断をしましたか。
金侍 じっくり調べましたよ。EA運用の収支を公開している人のブログを読み漁りました。ポートフォリオを公開した上で、月ベース50万円、100万円と勝っている人がいたので、自分もEAで勝てるんじゃないかと思うようになったんです。それでハネムーン中に、当時ゴゴジャンで超売れ筋だったEAを買って動かしてみました。ただ、そのEAが意外にエントリーしなかったので面白くないと思って、帰ってきてからポートフォリオを組むために5個くらい揃えました。
蛯沢 ハネムーン中の運用で、「いけるぞ」となったわけですか?
金侍 ゴゴジャンのEAってフォワードテストが見られますし、実際に勝っている人のブログを調べていたんで、もともと勝てるというイメージはあったんです。それが実体験で確認できた、という感じですね。ちなみにEAの運用を始めたのが2018年1月からで、それ以来ずっとエクセルで成績をつけています。もともと裁量をやっていたころから、ずっとトレードの記録をつけていたので、その流れでもあります。
蛯沢 (エクセルでまとめられた成績表、損益グラフを見ながら)かなり精密に記録していますね。ツイッターのキャラからは、想像がつかなかったというか、ギャップがある印象です。ちなみに、2018年はどのくらい成績だったんですか。
金侍 年利だと70%でしたね。
蛯沢 それはすごい。EAの購入費用もちゃんとペイできてそうですね。
金侍 購入費用がだいたい60万円くらいで、利益が140万円くらいだったので、十分にペイできています。最初は慎重にやりたかったので100万円くらいでスタートしたんです。それで「いけるな」と思ったところから、ピラミッディングみたいな感じで資金を100万円から200万円、200万円から300万円と段階的に上げていきました。なので、年利70%といっても利益は140万円くらいに納まっています。それで手応えがあったので、今年は600万円でスタートしています。去年並みの70%が達成できたら、利益が4、500万円いくかなという見立てです。
蛯沢 そんなパフォーマンスを発揮するEAのポートフォリオについて、どんな観点から選んでいるんでしょうか。
金侍 まず、ドル円系が多いですね。仲良くさせていただいている、EA界隈のレジェンドが「EAの世界を10年見てきた経験から言うと、ドル円以外の通貨ペアで、長く生き残っているEAはほとんどない」とおっしゃっているんです。おそらくドル円以外は値動きの特徴が変わりやすいんでしょうね。今でいうとブレグジットとか、センシティブに動く相場になっているので、ポンドとかユーロ系のEAは、停止したりロットを下げたりしています。
EAを選ぶコツについては、第一にフォワードテストが重要で、これは少なくとも半年以上は見たいですね。その次にEA界隈の口コミ。仲間たちとEAの使用感とか、ポジションの取り方とか、いろいろな情報を共有できる時代ですから、多くの意見を参考にしています。その次がバックテスト、EAの価格、という順番ですね。そんな観点から選んで、今は18個でポートフォリオを組んでいます。
蛯沢 EA界隈で情報共有するとなると、その方々とポートフォリオが似通ってくるものですか?
金侍 確かに、似通ってはきますね。ただ、全部一緒ということはないです。というのも、自分が信じているEAじゃないと使えませんから。自分が動かして、ちゃんと勝てるんだと信頼するポイントが、人によってちょっとずつ違うんだと思います。そのあたりから、ポートフォリオも変わってきます。
蛯沢 最終的には好みですかね。
金侍 そうですね。私はあまりスイング系を入れていないです。
蛯沢 スキャル系と、それより長めのものでいうと、どれくらいの比率でしょうか。
金侍 スキャルが8、ちょっと大きめに取るデイトレ系が2、という感じです。
蛯沢 スキャル主体の布陣なんですね。ちなみに、そのポートフォリオの中で、ロットはどのように調整しているんですか。
金侍 ケリーの公式って分かりますか? ざっくり言うと、最適な投資サイズを算出する公式です。ロットを上げすぎても駄目だし、少なすぎても駄目で、じゃあどのくらいの配分が一番良いのか、ということが分かるんです。私の知り合いが、そのケリーの公式をうまくエクセルに組み込んだものを作りまして、それを利用して最適なロット数を決めています。
蛯沢 そんなにすごいことをやっているんですか! ヘッジファンドみたいじゃないですか。もっと感覚的にやっているのかと思っていました。
金侍 最初は感覚的に、裁量も混ぜてやっていたんですよ。EAがとったポジションを自分でカットしていて、EA界隈ではサムライソードと呼ばれていました(笑)。そのスタイルがそれなりに成績も良かったんですが、今後運用資金が1000万円、2000万円になることを想像すると、ちょっとした値動きが数十万円になる。それをサムライソードでカットできるかというと、難しいと思うんです。実際の経験でいうと、週の前半に20万円勝っていると、金曜日には満足しちゃっていて、サムライソード率が高くなっていました。それやると勝てる上限が決まっちゃうのに、負けるときはドーンと負ける。なので、サムライソードを封じるためにも、EAに全部任せる方針になったんです。
蛯沢 裁量の要素を、完全に排除したと。それは何か月目の気付きだったんですか。
金侍 秋ぐらいですから、9、10か月目くらいですかね。成績はサムライソード時代の方が良かったんですけど、EAに任せる方針にして良かったと思っています。
平日を生き生き過ごせるようになる
蛯沢 それでは質問を変えまして、今のライフスタイルを教えてください。EA運用者って、どんな生活を送っているのか、気になります。
金侍 EAって得意な相場と苦手な相場があるんです。その苦手な状況のときに、EAをオンオフしたいなってことで、そんなシステムを仲間と作りました。その調整を土日にやって、平日はほったらかしというスタイルです。以前は賽を投げたあとに、どうするか考えていました。つまりEAがエントリーしたあとに、サムライソードで切るか切らないかを決めていたんですね。それに対して、今は賽を投げるかどうかを、先に決めるスタイル。賽を投げた後は、EAを信じて任せています。
蛯沢 オンオフするシステムですか! これまた、すごいことをやってるんですね。
金侍 ロット管理に関しても、システムのオンオフに関しても、結構ロジカルにやっていますね。
蛯沢 ロジカルにやられている中で、その根本のEAって、ブラックボックスじゃないですか。ロジックが見えない。それに対して、どのように折り合いをつけていますか?
金侍 しっかりと分析したうえで、EAを稼働させているわけなので、そこは自分の責任として考えています。EAのトレードを見ていて、「これはどうなの!?」と感じるエントリーや決済がたまにあるんですけど、それは気にしません。賽が投げられたら、そこから先は触らないと決めたので。
蛯沢 フォワードテストも、口コミも、バックテストも一定基準をクリアして、さらに自分で決めたルールで運用する以上、それで失敗したら自分の責任だと。
金侍 そうですね。EAの注意点として、人のせいにできちゃうというところがあります。裁量だと人のせいにはできないんですけど、EAだとあの開発者のEAは全然勝てないじゃんないか、みたいな。でも、それを言うのはお門違いだと思います。まぁ、言っちゃうときもあるんですけど(笑)。自分の判断でやっているんだから自分の責任、という気持ちで折り合いをつけています。
蛯沢 他責にするのは簡単ですが、自責で考えなければいけませんね。すごくいい話だと思います。では質問を変えまして、EA運用の環境について教えてください。FX業者とVPSは、どこを使っていますか?
金侍 FA業者は、外為ファイネストを使っています。
蛯沢 1社だけですか?
金侍 そうですね。VPSはABLENETです。
蛯沢 それぞれ、選んだ理由は何でしょうか。
金侍 これについても、EA界隈の口コミが一番大きいですね。ある程度経験がある人たちに聞いて、スプレッドや動作の情報収集をして決めました。
蛯沢 では、これからEAでの運用を始めようとしている人に、アドバイスをお願いします。
金侍 一番はロット管理ですね。これは間違いないです。夜寝るときに、気になって何度も見ちゃうようなロットがあるとすれば、自分で許容できていないってことなので、もっと下げた方がいい。自分の耐性として、最大ストップロスが2%で限界の人もいれば、5%で限界の人もいると思います。その自分の限界を越えちゃうとメンタルに影響して、おかしな裁量判断を加えるようになる場合もあります。ですから、自分の性格に合ったロット配分をする、というのが一番大事でしょうね。
あとは、ナンピン、マーチンゲール系とかの、一撃で破産してしまう可能性があるEAは初心者にはお勧めできません。それと、ロジックが似ているEAを使いすぎるのも、どうかと思います。ある程度の分散は必要ですね。まずは、スモールスタートをしてください。いきなり大金を突っ込まないで、徐々に増やしていくことですね。要は、自分が続けられるというマインドにしないといけません。
私は100万円から始めて、200万円、300万円と段階的に増やしていったんですけど、それには二つの意味がありました。一つは、実際に勝てるのか試しながらやりたかったということ。もう一つは、収益グラフの右肩上がりを崩したくなかったということです。一気に資金を引き上げると、大きめのドローダウンによって右肩上がりが崩れてしまいますが、徐々に資金を上げていけばそれほど崩れません。この右肩上がりの収益グラフが、心のよりどころにもなるので、徐々に資金を追加していくのがいいと思いますよ。
蛯沢 最初は何本からやるといいよ、みたいなのありますか? 1本なのか5本なのか。
金侍 EA運用をどう考えるかですよね。長期目線の資産運用としてとらえるのであれば、そんなに本数はなくていいと思います。3本とか、5本とかですかね。ただ、それだと週に2、3回エントリーがあるかないかぐらいなので、結構つまんないと思います。そこにちょっとした刺激というか、アクティブな運用を求めているのであれば、10本くらい運用した方が面白いですね。
蛯沢 お話を伺っている中で気になったのが、仲間との情報交換がすごい重要なんだろうというところでした。裁量トレーダーより、その傾向が強いんじゃないかと。
金侍 裁量って、ノウハウをバラしたくない気持ちがすごい強いと思うし、他人に教えてもなかなか真似できないじゃないですか。それに対して、EAはノウハウの再現性があるんですよ。だからいい情報をシェアしあう方が、お互いに勝てる可能性が高まる。それがEAの特長として、いいところだと思います。EA界隈のツイッターの人たちは、すごく仲が良いです。
蛯沢 ツイッターを見ていると、和気あいあいとしていますもんね。
金侍 スポーツで言うと、それぞれが同じチームを応援している、みたいな感じです。同じEAを使っていれば基本は皆同じタイミングでエントリーするので「今、エントリーしたぞ~」「頑張れ~」といった会話が生まれます。でも裁量だと、それぞれが自分のタイミングでポジションを持ちますし、エントリーの方向もばらけます。そういった相場に対する読みとかポジションが逆っていうのが原因で、ケンカになりやすいんですかね。
それに対してEAは情報交換をしやすいし、したら価値があります。そういう点でも面白いし、毎日の刺激になって、平日が楽しみになるんですよ。基本的に、みんな土日が楽しみじゃないですか。でもEAをやっていると、月曜からトレードが始まるなって、ワクワクするんですよ。平日を生き生きと過ごすためにもお勧めです。
蛯沢 それはいい副次的効果ですね。
金侍 そうですね。大負けしたら、それはそれできついですけどね。もしも投資経験ゼロの友人が裁量を始めると言ったら、そうそう勝てないので私は止めると思います。でも、EAを始めると言ったら、止めはしません。裁量より勝つためのハードルは低いと思うので。
蛯沢 良質な情報共有ができるコミュニティに属するためには、どうすればいいですか?
金侍 それは自分から情報を開示することだと思いますね。自分から開示するからこそ、相手も開示してくれるので。信じてほしいならまず自分から信じること。優しくしてほしいなら自分から優しくすること。何かを欲するなら自分から与えること。あらゆることに通じる返報性の原理を私は大事にしています。
蛯沢 金ツッパ侍さんが、さまざまな方面で人気な理由が分かって、すっきりした気分です。私もEA運用を始めるにあたって、自分の情報を開示しながら、EA界隈の方々と楽しんでいきたいと思います。これから始めようという読者の方にも、ぜひそうしてもらいたいですね。
※この記事は、FX攻略.com2019年5月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
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約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
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