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米国雇用統計で高値づかみのジンクス再び?[雨夜恒一郎]

先週は、米国中間選挙で(株式市場に優しい)野党共和党が上下両院を制したことや、米国10月の雇用統計に対する期待が高まったことから、「米ドル/円」は一時、115.59円と7年ぶりの高値を示現した。

しかし、金曜日に発表された雇用統計で、非農業部門雇用者数(NFP)が+21.4万人と予想の+23.5万人を下回ったことから、114.26円まで反落した。

もっとも、NFPは8月分と9月分が合計3.1万人上方修正されており、トータルすれば+24.5万人と予想を上回っている。

また、失業率が5.8%と前月から0.1%改善する一方、労働参加率が62.8%と前月から0.1%上昇するなど、評価すべき点もいくつかある。

しかし、事前の上振れ期待が大きかったため、ドルがさらに上昇するためのハードルが高くなっていたようだ。

過去の経験則では、「米ドル/円」は米国雇用統計前後に当面の高値をつけることが多く、今年は先月までの10回のうち実に8回が高値づかみとなっている。

雇用改善に対する期待が先回りしすぎる結果、強い数字が出てもインパクトが弱くなってしまうためだ。逆に、弱い数字が出た時の失望感が大きくなることはいうまでもない。

振り返ってみれば、「米ドル/円」は10月15日に105円台をつけて以来、1カ月足らずで10円以上も上昇しており、投機筋のポジションも急激に膨らんだと思われる。

しかもこの間、FOMCが資産買い入れ(QE3)を終了することを決定し、日銀が黒田バズーカ2を放ったことで、材料的にも出尽くし感が漂っている。

そして、米国雇用統計が期待ほど強くなかったことで、今次の上昇サイクルもエネルギー切れとなる可能性がある。今週は米国経済指標の発表は少なめで、新たな燃料投下になりそうなイベントもない。

テクニカルにも、RSIがピークの82から低下し始めており、買われ過ぎ状態の修正が始まった可能性を示している。

また、115円台を示現し、110円台から105円台への下落の「倍返し」を実現したことで、値幅的にも達成感が感じられる。ローソク足の組み合わせも、高値圏で陽線に陰線が「かぶせ」たかたちとなっており、天井を予感させる。

中長期的には日米の金融政策の方向性の違いや、米国のゴルディロックス(適温経済)期待を背景に、ドル高・円安が続くと見ているが、115円までの上昇が急ピッチだっただけに、このあたりで調整が入ってもおかしくないし、むしろそのほうが健全だ。

115円近辺では利益確定の売りを優先させ、新規の買いは上昇の半値押しにあたる110-111円への調整を待つのが賢明であろう。

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