強い米国雇用統計とFOMCの文言変更を先取りする動き
今週は金曜日に発表される2月の米国雇用統計が最大の注目イベントだ。前回1月の雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者数)が+25.7万人と予想の23.0万人を上回り、過去2カ月分が合計14万7千人も上方修正された。また、平均時給は前月比+0.5%と予想(+0.3%)を超える上昇を示した。現時点での予想コンセンサスは、NFPが+24万人、平均時給は+0.2%となっている。
イエレンFRB議長は先週の議会証言で、「時期尚早の利上げは景気回復を阻害するリスクがある」など利上げに慎重な姿勢を示す一方で、「文言修正は必ずしも2会合後の利上げを意味しない」と述べ、もし、3月FOMCで「忍耐強く」の文言に変更があったとしても、必ずしも6月に利上げするわけではないことを示唆した。逆にいえば、3月FOMCで「忍耐強く」の文言を変更する可能性があるからこそこの発言が出てきたともいえる。
というのも、労働市場が今後も1月のようなペースで拡大を続け、賃金インフレ圧力が高まれば、いかにハト派が主流のFOMCといえど、いつまでも忍耐強くはいられないからだ。FRBの辞書において「忍耐強くなれる」とは、少なくとも向こう2会合は利上げしないことを意味する。もし、2月の雇用統計が1月のような強い結果となった場合、3月会合で「忍耐強く」の文言を削除しないと、利上げ開始がインフレ上昇の後手に回る恐れが出てくるのだ。筆者は3月FOMCで「忍耐強く」を削除し、「緩やかなペースで緩和解除できる」といった文言に置き換える可能性が高いと見ている。
IMM通貨先物の取組を見ると、投機筋の円ショートは2月24日時点で約4.7万枚と、昨年末のピークと比べて半分以下まで縮小している。ポジションの手仕舞いが進み、円売り・ドル買いの余地が広がっていると見ることができる。今週は強い米国雇用統計と3月FOMCでの文言変更を先取りする形で、「米ドル/円」が再び120〜121円台を試す展開を予想する。
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