米雇用統計後、ドル円急落
先週の米ドル/円相場は、消費増税の先送りや財政出動への期待を背景とした円売りと、米国の利上げ観測を背景としたドル買いが噛み合い、4月28日以来の高値となる111.45円まで上昇。
しかし安倍首相が消費増税の2年半延期を表明すると、急速に材料出尽くし感が広がり108円台へ反落。さらに金曜日には、米国5月の雇用統計で、非農業部門雇用者数の伸び(NFP)が+3.8万人と予想の+16万人を大幅に下回ったことから、一気に106.51円まで急落した。
NFPが下振れした理由
NFPの伸びは5年8か月ぶりの低水準。予想と結果がここまでかい離するのは久しぶりに見た気がする。また前回と前々回のNFPも合計5.9万人も下方修正された。どうしてこれほどNFPが下振れしたのだろうか。
その原因の一つとして明らかなのはストの影響だ。5月には通信大手のベライゾン・コミュニケーションで大規模なストがあり、これがNFPを約3.5万人押し下げたとみられる。米国では統計上ストに参加した人数は雇用者数から除外される。
しかしこの特殊要因を加味しても、NFPは+7.3万人。好不調の分岐とされる+20万人を大きく下回る。気になるのは、民間企業のADP社が発表した数値とのかい離だ。
雇用統計の前日に発表されたADP雇用報告によると、5月の雇用者数は17.3万人増加した。ADPは給与計算のアウトソーシング会社であり、そのデータは本家労働統計局よりも正確との評価がある。今回のNFPの下振れは季節調整などで何らかのエラーが発生した結果かもしれず、来月以降大幅に上方修正される可能性がある。
NFP下振れの要因は人手不足か
一方、失業率は前回の5.0%から一段と低下し、4.7%と2007年11月以来の低水準となった。あくまで仮説だが、米国の労働市場がすでに完全雇用状態にあり、もはや雇用の大きな伸びが見込めなくなっている可能性がある。
つまり人を雇いたくても、職を探している失業者がほとんどいないという状態だ。実際、労働経済学の専門家であるイエレンFRB議長は、「完全雇用状態であれば月に10万人程度の雇用増で十分」と指摘している。NFPの下振れは景気の弱さというより人手不足が原因である可能性がある。
もしそうであれば、今後賃金は徐々に上がっていくはずであり、過度の弱気は禁物だ。現に今回の平均時給は前年比+2.5%と堅調な伸びを示している。
今夜のイエレン議長講演に注目
今回の結果で、6月・7月の利上げ期待が急低下したことは確かだ。特に英国の国民投票直前である6月15日に利上げが決定される可能性はゼロに近くなり、目先はドルの下落余地を試す展開を想定しておくのが賢明だろう。
ただし「年内2回の利上げが適切」というFRBのコンセンサスがたった一回の雇用統計で覆るとは思えず、105円台を割り込んでいくほどのドル安も想定していない。週明け6日に予定されているイエレン議長の講演で、今回の雇用統計の結果をどう評価するか注目したい。
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