サンドウィッチ間瀬さんが今のマーケットで気になるトピックについてを紹介。今回は「金利」。その代表的な指標となっている国債利回りを例に、概要や為替との関係性を紹介していただきます。
※本記事内容は、執筆者の見解に基づくものであり、将来の利益を保証するものではありません。
1.金利ってなに?
2021年に入り、投資家の間で「金利」に関する話題が増えてきたように思います。金利と為替にはどのような関係があるのでしょうか。
投資の世界で、「金利」を指す指標はあまたに存在しますが、「国債利回り」のことを指す場合が多いと思われます。
国債とは、国の発行する債券です。一般事業会社が発行する「社債」と比較して、債務不履行(デフォルト)の可能性が著しく低いことから、先進国の国債は「無リスク資産」とみなされます。
国債を語る際には、「額面」と「価格」というまぎらわしい2種類の言葉が用いられます。額面とは、定められた期間が経過して国債が償還される際、国債と引き換えに返還される金額のことを指し、価格とはその国債の値段、つまり購入するときや途中売却するときの値段のことを指します。
例えば、「額面100円あたりの価格が90円で、クーポンレートが1%の1年物国債」を考えると、購入時に90円を支払い、1年後の償還時において100円が返還され、100円×1%=1円のクーポンももらえる、という事になります。
前述した国債利回りとは、
の式で求められた値を、年率換算したものを指します。
また、国債が「無リスク資産」であるという点を踏まえて、リスクなしに得られる利回りということで「リスクフリーレート」と呼ぶこともあります。
2.為替と金利の関係
投資の世界では「金利の高い国の通貨が買われる」というセオリーがあります。金利が10%の国のA通貨と金利が1%の国のB通貨を比較すると、投資家はより高い利回りを求めるので、B国の通貨を売って、A国の通貨を購入すると考えられるからです。しかし、このセオリーは常に再現されるものではありません。
例えば近年でも、新興国の金利(10年国債利回り)が10%~20%弱、対して日本の金利が0%台付近で推移することがありますが、その金利差だけをもって新興国通貨が対円で一辺倒に買われることはありません。その国のインフレ率、地政学リスク、国際社会からの信用力など、さまざまな複合的要因で通貨ペアの強弱が決定されます。
3.日米金利差とドル円の相関はあるのか?
出所:BloomBergのデータより筆者作成
※相関係数は、ドル円と日米金利差(US10Y-JP10Y)の直近四半期の変動を基に算出。
上図は日米の金利差およびドル円相場の組み合わせチャートと、それらの動きの相関を示した図です。日米の金利差が広がる場合はドル買い、縮小する局面ではドル売りというセオリーのあてはまりの度合い(相関)が強いかどうかを示しており、相関係数が1に近づくと「強い相関がある」とみなされます。
赤く明示したエリアでは、日米金利差によるセオリーが強く相場で意識されたと考えることができますが、全期間を通して相関があるわけではないことも分かります。
相場はその動きの源泉となるメインテーマがコロコロと移り変わるため、金利差だけで為替の方向感を見る事は難しいものの、図の終端である2021年3月期における相関係数がジリっと上昇している点に着目すると、やはり今後のドル円相場は「金利」が材料視される展開となる可能性はあるかもしれません。
※本記事内容は、執筆者の見解に基づくものであり、投資に関する断定的判断を提供するものではなく、情報提供のみを目的としており、いかなる種類の商品の売買も勧誘するものではありません。
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