トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
勝負はジャクソンホール
米ドル/円は100円を挟んで行ったり来たりの展開が続いていますが、勝負はジャクソンホールで今週金曜日に予定されているイエレンFRB議長の講演となりそうです。
ジャクソンホールではイエレンFRB議長が9月の利上げに明確な意思を示すか否かに注目が集まりますが、先週のFOMC議事要旨では9月利上げを意識させるような見解は示されておらず、多くのエコノミストも早期利上げに対する可能性は低いとみているようです。
私も多くの市場関係者と同様にイエレンFRB議長がここまでマーケットがコンセンサスとしている「年内1回」の利上げシナリオを大きく覆すような発言をするとは思えません。含みは持たせるものの、基本的には「今後のデータ次第」といったようなどちらにでも取れるような、はっきりしない内容になりそうな気はしています。
直近では、サンフランシスコ連銀総裁のウィリアムや、フィッシャー副総裁が9月の利上げに対してかなり前向きな姿勢をとっていますが、こちらはいっこうに上昇しない長期金利や、年内利上げに対しての調整と捉えることができるため、鵜呑みにはできません。基本スタンスは引き続き弱気バイアスで臨みたいと考えています。
ただ、少し気になるのはマーケットがあまりにも利上げを織り込んでおらず、サプライズはないとの見方が多いようなので、仮にサプライズがあった場合、上方向に相当大きく動くと思われるため警戒を強めておきます。また、イエレンFRB議長の講演が明後日に迫っているため、AI(人工知能)が「早期利上げ」といったような一定のキーワードに売買が紐づけられている可能性があり、突然マーケットが走り出す可能性にも準備をしておく必要があるでしょう。
日銀介入については、米ドル/円が100円前後で推移しているため、いたるところで口先介入が確認されています。
ただ、先週もお伝えしましたが、直近の値動きは投機的ではなく、国際的にみても今の米ドル/円の水準が円高とは見られていません。更に今の米ドル/円は円高ではなくドル安が主導となっているため、実弾介入するには相当ハードルが高いでしょう。
強固なサポートに支えられているドル円、狙いは短期か?
テクニカル分析では米ドル/円の100円割れが意外と底堅いなという印象があります。日足ベースで99円台を3度トライしながらも結局は100円の大台を回復しての引けとなったことで99.50円付近は強固なサポートと考えてよさそうです。中期的な円高トレンドに変化は無いものの、短期的にみると99円台の買いは面白そうです。一方上値は一目均衡表転換線が差し掛かる100.90円が短期的な目処となりそうです。
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