トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
英議会がEU離脱協定案否決
注目されたEU離脱協定案は、土壇場でメイ首相逆転合意との憶測もあり、ポンドは上昇する場面もありましたが、結果は賛成242票、反対391票となり、大差で否決されました。さて、逆転合意もなくなり、これであしもとでは「合意なき離脱」と「EU離脱期限延長」の2択に絞られた格好です。
どうなるブレグジット
今後のスケジュールですが、今夜13日は合意なき離脱の是非を問う採決が行われます。前回否決されたことを考えれば今回も否決が濃厚です。そして否決された場合、明日14日に離脱期限延長の是非を問う採決を行い、可決されればEU側に延長申請をすることになります。ここまではマーケットのコンセンサスになり、EU離脱期限が延長されれば一定の安心感が生まれるほか、さすがに「合意なき離脱」は回避するだろうとの思惑からポンドは上昇のモメンタムになるかもしれません。
しかし、EU離脱協定案は2回目 の今回も大差で否決となっただけにEU側としては「またか」といった印象だと思います。実際にユンケル欧州委員長は「今回の合意案かEU離脱が実現しないかのどちらかだ」と警告しているほか、トゥスクEU大統領も「離脱延期をするならば信頼できる理由が必要」としています。
EU側がこれ以上の交渉余地はないと延長を認めないことも十分考えられます。また、延長したとしても欧州議会選挙が行われる前の5月23日まででしょう。さらには「投票のやり直し」「メイ政権不信任案」などどこからともなく飛んでくるヘッドラインに振らされることは必至です。腹を決めてロングでスイングするか、ストップをタイトに短期順張りでついていくか。いずれにせよ高ボラティリティから身を守るためポンドのポジションサイズは通常の半分以下に抑えたほうがよさそうです。
ドル円はFOMC待ち
マーケットの主役がポンドになるなか、ドル円は蚊帳の外です。昨日も米消費者物価指数のコア指数が市場予想を下回ったものの、反応が限定的であったことを考えると来週のFOMC待ちということなのでしょう。FOMCまでは昨夜ブレイナードFRB理事が「景気へのリスク上昇が金利見通しの下方修正を正当化する」と発言した通り、ハト派な内容を追いかける形で大丈夫かと思います。テクニカル面では上値が200日移動平均線の差し掛かる111.40円、下値は3/8安値の110.75円付近レンジを想定しています。
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