トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
ドル円はトランプ政権を巡る不透明感から下落トレンドが続いています。昨日米経済指標の好結果などを受けて、何とか歯止めがかかった状況ですが、このトランプリスクはどこまで下値を拡大するのか。また今夜のFOMCなど週末に向けたトレードを整理していきましょう。
トランプリスクによる下値攻めは一旦終了とみる
トランプリスクの政治的な混乱を背景にドルは下落していました。トランプ大統領長男のメール公開事件、スパイサー報道官辞任と続いたことで米長期金利が低下したことにありますが、ここから先の下落材料としてはやや燃料不足です。マーケットもここ数日過敏に反応してきたように思います。ロシアゲート問題などここから新たな火種でも出てこない限りトランプリスクをめぐるドル安は一旦落ち着くのではないでしょうか。確かにトランプ政権に対する不透明感や、政策実施能力には懐疑的ではありますが、米ファンダメンタル自体は決して悪くありません。むしろ良好といっていいでしょう。マーケットが冷静さを取り戻せば日米金利差を背景とした緩やかな上昇に回帰すると考えています。
FOMCではインフレに注目
今夜のFOMCはイエレンFRB議長の会見はなく声明文のみです。声明文のみのケースで大きな政策変更をするとは考えづらく、基本的には前回のFOMCから内容に差はないと思われるため、影響は限定的とみています。
とはいえインフレ見通しの部分については注視しておく必要がありそうです。
前回6月の声明では「インフレ率は短期的には2%を下回るが、中期的には目標である2%近辺で安定する」と予測していました。ここに変化がなければ、年内の追加利上げとバランスシート縮小開始の方針にも変化なしと受けとめられるため、ややドルにとってはポジティブだと思っており、このシナリオがメインとなります。しかし、仮にインフレ見通しが下方修正される事になれば相当な下押しになるため、警戒はしておきましょう。
テクニカル面では底打ちの兆候も
ドル円は日足チャートでそこそこの下ヒゲが2本出ており、110.70円付近での強い抵抗を見ることができます。日足一目均衡表でも雲下限を破ることが出来なかったことは大きく、一旦は底打ちした可能性があります。短期的には20日高値112.42円あたりが意識される展開となりそうです。
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