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FX力を鍛える有名人コラム

リスクオフ一時後退も引き続き下値警戒か[井口喜雄]

 トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。

北朝鮮情勢を巡る地政学リスクや、トランプ政権の税制改革、米債務上限問題などがどう展開するのか、このあたりの見極めが週末に向けたトレードの課題となりそうです。また米GDPや米雇用統計といった重要指標を控えているため、しっかりと準備をしておきましょう。 

北朝鮮情勢は1つ上のステージへ

北朝鮮のミサイル発射は日本上空を通過して北海道襟裳岬の東方に落下しました。グアム沖ではなかったものの、太平洋に着弾したことでリスク警戒レベルが一つ上がり、新たなステージに入った事は間違いありません。

下落後は本邦機関投資家の買いや、良好な米経済指標のほか、アメリカの対応も比較的冷静な対応だったとして下げ幅を回復しました。ではここからの展開はどうなるのでしょうか。

短期的な地政学リスクの加速は回避されたものの、次のステージには核実験が控えております。仮に核実験に踏み切るようであればさらなるリスクオフに備える必要があり、今回つけた安値108.26円を再度トライしてくるとみていいでしょう。来月9月9日は北朝鮮の建国記念日であり、去年はこの時期に核実験をしていることを考えると来月の9日までは警戒が必要となります。

トランプ政権の不透明要素は重石に

北朝鮮情勢よりも厄介なのがトランプ政権の行方かもしれません。

本日はトランプ米大統領がミズーリ州で税制改革について講演を行う予定があり、税制改革に向けた具体的な内容が示されれば一時的にはドル高で反応する可能性もあります。ただし、オバマケア廃案の失敗に続き、今回の税制改革が実行できるかには懐疑的な見方をする専門家も多くいます。また、債務上限問題で米デフォルト懸念は毎年恒例でもあり本当にデフォルトすることはないでしょうが、ギリギリまで意識されるためこちらもドルの重石になります。短期的なトレードでは気になりませんが、トランプ政権が今の状態で続く限り、コアポジションとしてなかなかドルロングで攻められないと考えています。

米雇用統計は引き続き平均時給に注目

北朝鮮やトランプ政権のインパクトが大きすぎて注目度は低めですが、今週末に米雇用統計があります。

FRBがインフレ動向次第という姿勢をとっておりますので、今回も非農業部門雇用者数(前回+20.9万人、予想+18.0万人)というよりは平均時給(前回+0.3%、予想+0.2%・前月比)が焦点になります。

今回平均時給が改善するようならば現在35%程度しかない12月利上げ確率が上昇してドル高となる一方、平均時給が伸び悩むようなら、12月利上げのシナリオはかなり遠のくこととなります。ただし、北朝鮮問題やトランプリスクも混在しているため、素直な値動きにならない可能性もあります。そうなった場合、今回は様子見に徹してもいいと思います。

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