ボリンジャーバンドと見た目は似ているが…
こんにちは、いいだっち先生です。今号も引き続き移動平均線(MA)について詳しく実践的な解説をしていきます。
いいだっち先生は、基準とする指数平滑移動平均線(EMA)144の上下にそれぞれ乖離レベルのラインを表示させていますが、この形状を見てボリンジャーバンドに似ていると思った方も多いでしょう。もしくは、ボリンジャーバンドで事足りるという人もいるかもしれません。しかしながら、ボリンジャーバンドと乖離レベル表示は似て非なるものなのです。
ボリンジャーバンドも実はMAが基準になっており、その上下に表示されるライン間のバンド幅が拡大したり収縮したりするのが特徴です。その一方で、乖離レベル表示は中心線のMAから全て等間隔のラインとなっています(チャート①)。
ボリンジャーバンドのラインは、中心線からの標準偏差という考え方です(図①)。中心線というのは平均値になります。分かりやすくいえば、高校受験や大学受験の際に基準とされる「偏差値」です。テストの平均点がちょうど偏差値50になり、ボリンジャーバンドでいうところの中心線になります。偏差値60がボリンジャーバンドの±1σ、偏差値70が±2σに相当すると考えると分かりやすいと思います。例えば、ほとんどの生徒がテストで60点台を取り、平均点も60点だったとして、1人だけ70点を獲得した場合、偏差値は高くなります。
逆に、テストの点数が10点から90点と広範囲になった場合、平均点から少し離れていても偏差値が50台ということもあるのです。つまり偏差値というのは、50台の人数が一番多く、60台(1σ)はそれよりも少ない人数となります。そして70台(2σ)の人数はさらに少数になりますから、ボリンジャーバンドのバンド内にローソク足が収まりやすいのは当たり前の現象なのです。
ボリンジャーバンドの欠点
ボリンジャーバンドはバンド内に価格を収めるために構成された理論ともいえるので、高確率でバンド内にローソク足があるのは当たり前で、またローソク足に沿ってバンドが追随していくのも当たり前になります。
相場が膠着するとバンドが収縮し、動き始めるとバンドが拡散するラインは、拡がり方がダイナミックに見えてドラマチックではありますが、そう見えるだけで実はごく普通の現象です。
ボリンジャーバンドの±2σタッチで逆張りエントリーする手法もありますが、反転せずに±2σに沿ってローソク足が推移するパターンも見受けられるため、そこでのエントリーをいいだっち先生はお勧めしません。ただ、利食いの目安ならばありだと思います。
等間隔ライン表示のメリット
ボリンジャーバンドに対し、乖離レベルラインは等間隔で常に一定です。中心線から等間隔で引かれたラインは、常に一定の間隔を保っているからこそトレンドの強弱が判断しやすく、利食いの目安として利益を確保するのに役立ちます。
また、等間隔ラインにはもう一つ大きなメリットがあります。先ほどから等間隔ラインと繰り返し述べているので気づいた方もいるかもしれませんが、「チャネルライン」の代わりになるのです。しかも、本家のチャネルラインよりもさまざまなメリットがあります。
チャネルラインはご存じの通り、トレンドラインと平行に引いたラインになります。以前述べたように、トレンドラインは斜めのラインなのでいつか必ず横移動するローソク足にブレイクされます(チャート②)。加えて、トレンドラインは「都度引いては消す」の繰り返しで手間や負担になりますし、どこに引いたら良いのか分からなくなる人も多いでしょう。
チャネルラインもそれと同様の欠点があるのですが、MAに等間隔で引く乖離レベルラインはいわば「移動平均線チャネルライン」であり、しかも自動で更新してくれます(チャート③)。ラインが直線でなければいけない理由はないはずです。自動で更新してくれる等間隔の移動平均線チャネルラインは、非常にシンプルで手間も省けてトレードの判断がしやすくなると思います。ぜひお試しあれ。
※この記事は、FX攻略.com2021年3月号(2021年1月21日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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