世界では、各国中銀が政策金利を引き下げると共に国債を大量購入し、大規模な財政出動をしても金利が上がらなくなっています。この現象は金利の機能が損なわれる「金利の死」と呼ばれています。コロナ危機が終息しても金利が復活するかどうかは、不透明だともいわれていますが、そのような中で、米連邦準備制度理事会(FRB)においてイールドカーブ・コントロール(YCC)の議論が持ち上がっています。一体これは何を意味しているのでしょうか? ひも解いていきましょう。
大規模金融緩和で債券の利回りは低下
今回のコロナ危機の対策として、FRBと欧州中央銀行(ECB)は大規模な資産買い入れを行っています。米長期金利は低く抑えられ、実質金利も低下し、これがドル安圧力につながっています。さらに、FRBは単に「量」だけでなく、買い入れる資産の「質」も重視しています。3月下旬にはジャンク債(投資不適格級の社債)の購入に踏み切り、3月22日まで投資適格級だった債券であればBB格までなら購入するとしています。
つまり、業績悪化の要因が新型コロナウイルスであれば、基本的にはFRBによってデフォルトは起こさないし潰さないというわけです。これによって、リスクオンムードと、ドル安圧力がかかっています。
FOMCを通過し、YCCの議論に注目集まる
超緩和策をとっている背景には、経済の低迷があります。落ち込んだ経済を支援するために、短期の政策金利を当面低い水準に据え置く方針をとっています。しかし、新型コロナウイルス対策で実施されていたロックダウン(都市封鎖)が解除され、経済活動が再開することで、落ち込んでいる経済がV字回復するとの期待が出てきたのです。この期待から米・独の長期金利である10年債利回りが一時、急上昇しました。
このような動きを受けて、FRBがイールドカーブ(債券の短期と長期の利回りの差を曲線で表したもの)を意図的に制御する政策「イールドカーブ・コントロール」を導入する可能性があるとの報道が最近、目立っています。
両国の国債利回りは、資金の借り手にとって資金調達コストの基準となるため、上昇すると、より信用度の低い債券等の発行コスト(資金の調達コスト)が上昇することになります。したがって、利回りがあまり早く上昇してしまうと景気回復の腰折れになりかねないのです。そこで、FRBとECBはYCCの導入の検討を始めたといわれています。
YCCが為替に及ぼす影響は?
FRBやECBがYCCを導入した場合、金利に影響が出るわけですが、為替の値動きはどのようになるのでしょうか? 日・米・独の10年債利回りの変動が抑えられることになり、為替の変動要因の一つである金利に差が出にくくなります。そのため、ドル・ユーロ・円の三極通貨は変動しにくくなる可能性があります。また、相対的に金利の高い新興国通貨へ資金が流れる可能性からドル安圧力がかかり、円高に動く可能性もあります。
今回、米連邦公開市場委員会(FOMC)でパウエル議長はYCCについて議論があったことを認めてはいますが、具体的な決定はありません。ただ話題として出ただけで、市場が構えの姿勢になるYCCの議論には引き続き注目が寄せられます。
第6回まとめ
- 金利の機能が損なわれる「金利の死」という現象が発生
- YCCは長期金利を直接コントロールする金融政策
- FRBやECBがYCCを導入した場合、金利差がなくなり、ドル・ユーロ・円の為替変動が少なくなる?
※この記事は、FX攻略.com2020年9月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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