※この記事は、FX攻略.com2021年5月号(2021年3月19日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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足元、米長期金利の上昇に伴いドル高・円安方向の値動きとなっていますが、長期の週足のトレンドは下降トレンド(円高)継続です。
そこで、日銀が今、最も警戒していることは過度な円高です。新型コロナウイルスで日本経済は大きな打撃を受けていますが、足元では半導体や機械関連の企業が世界的な需要の回復を受けて業績が堅調です。
しかし、円高が進むことで、これらの輸出産業を圧迫しかねないのです。1ドル=100円の節目を割込めば、80円台の超円高に苦しんだ2011~2012年の時代を思い出され、人々の投資マインドや消費マインドも冷やしかねません。
米国の金利、財政悪化
為替の値動きは、名目金利からインフレ期待を減じた「実質金利」と相関関係があると見られています。米国はコロナ禍を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年3月からゼロ金利政策を導入しています。米国のインフレ期待は消費者物価指数が足元で前年比1.5%前後で推移していることから、「ゼロ金利-(1.5%)=実質金利(-)」となります。
一方、日本は短期金利がマイナスですが、消費者物価指数がそれ以上にマイナス幅が大きい状態であることから「(-)マイナス金利-(-1.2%)=実質金利(+)」となります。
実質金利の側面で見れば、円(+)、ドル(-)といった構図になっており、世界のマネーは金利の低い方から高い方に流れていくことを考えれば、円高傾向は継続といえそうです。
為替介入はできるのか
通貨当局が為替相場の安定を目的として行う外国為替取引を為替介入といいます。この為替介入は、短期間のうちに大きく為替が変動したり、不安定な動きを示すことで、自国経済に悪影響を与える側面があります。
日本では、円相場の安定を実現するために財務大臣の権限によって行われます。日本は東日本大震災後の2011年11月以降、為替介入を行っていません。日本がじりじりとした緩やかな円高の動きの中で円安誘導を行えない背景の一つに、米国と中国の存在があります。米国が日本の円安誘導を容認すれば、中国の人民元安の誘導を米国が批判することもできなくなってしまいます。為替介入を行えるのは、急速で投機的な円高でない限り、米国を含む先進諸国の理解を得ることは難しいのです。
3月の日銀の「点検」
そこで、注目が集まっているのが、3月18日、19日に開催される日銀政策決定会合の金融緩和政策の「点検」です。前述の通り、物価の下押し圧力が続くことが予想される中で、効果的で持続可能な金融緩和の実施をしていくための点検の結果を発表するとしています。当然、足元の円高への対処があるのかも注目されています。
今のところ、可能な施策としてはインフレ目標である2%が遠のくことを理由に追加緩和に踏み切る可能性が残されています。そして、点検の中核は、イールドカーブ・コントロールの修正と上場投資信託(ETF)の買入れの柔軟化措置が主な内容だと市場は予想しています。しかし、それだけでは一段の円高を食い止めるには及ばないでしょう。
半導体や機械関連の企業の業績の立ち上がりが見られる中で、日本の景気を下支えるための円安政策が必要に迫られています。
- 日銀が今、最も警戒していることは過度な円高
- 「実質金利」から見ると円高傾向は継続
- 3月の日銀「点検」、足元の円高への対処があるのかに注目
※この記事は、FX攻略.com2021年5月号(2021年3月19日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
・「才色兼備なフィスコ企業リサーチレポーターの何でもコラム 馬淵の目」連載記事まとめはこちら
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