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ギリシャ新政権の誕生から予想されるシナリオ[松崎美子]

ギリシャ・左翼政権の誕生

ギリシャ総選挙の結果、欧州でははじめて「左翼」に属する急進左派連合(SYRIZA党)が第一党となりました。同党はギリシャ議会での絶対過半数まで、わずか2議席という高い得票率を得ましたが、驚いたことに、連立相手として政治的思想としては正反対の中道右派に属する「独立ギリシャ人党」を選んだのです。

ギリシャ総選挙の結果

両党の政策で共通している点は、【反緊縮】。しかし、それ以外の政治思想には、共通するものがありません。そのため、果たしてこの連立政権がいつまで持つのか? すでに疑問視する声も挙がっているようです。ただし、見方によってはこれだけ政治的立場が正反対の政党同士が連立を組むと決めたからには、【反緊縮】姿勢を徹底的に貫くという意思の表示とも受け取れるでしょう。

SYRIZA新政権

ギリシャに対する2,400億ユーロ規模の金融支援の合意期限が、2月28日に迫っています。新内閣信任が確認されるとすぐに、IMF/EU/ECBからなるトロイカ調査団と、ギリシャ新政府との交渉がスタートしますが、前途多難であることは容易に想像がつきます。ギリシャに対する支援条件は、アイルランドやポルトガルのときよりもずっと緩和されており、これ以上の条件譲歩にトロイカが応じるかは疑問です。ただし、小さい譲歩 −期限の延長や利払いの減額など-は、十分に可能ではないかと私は見ています。

一方、ツィプラス新首相は、国債利払いなどのコストを除いた基礎的財政収支が黒字化しているところに目をつけ、その資金を選挙公約で約束した福祉政策に廻すつもりのようです。つまり、トロイカが望んでいる構造改革や財政再建とは逆の方向に動きだす危険性が増してきたため、総選挙後のギリシャ市場では、債券・株価ともに下落の一途を辿っています。

投資家たちは、Grexit(ギリシャのユーロ圏からの離脱)を恐れていますが、2012年の総選挙時とは違い、SYRIZA党はギリシャのユーロ圏離脱というアジェンダを変更し、『あくまでもユーロ圏に残留する』という前提で選挙に臨みました。国民の8割近くが、ユーロ圏に留まることを望んでいる今、SYRIZA新政権は「Grexit」をちらつかせながらの交渉はやらないと予想していますが、トロイカ調査団側の堪忍袋の緒が切れてしまうと、このシナリオが絶対におきないという保証は、どこにもありません。

大量国債償還

金融支援の条件となっている構想改革が後手に廻った場合、ギリシャは今までのようにEU/IMFから支援を受けられなくなるだけでなく、金融支援延長期限である2月28日以降は、ECBから流動性供給の道も絶たれます。先週ECBが発表した量的緩和策(QE)のなかでも、ギリシャ国債購入は早くても7月くらいからの実施とし、他の国に課せられた条件と違っているのが特徴だとも言えます。

この「7月くらいから」という条件の背景にあるのは、2011/12年に2度に渡り実施されたLTROによりECBが購入したギリシャ国債が、今年7月20日あたりに大量償還されるからです。これが意味することは、ギリシャ政府は7月の償還日までに、ECBへ支払う資金を調達しなければならない義務が生じるのです。現在の時点でわかっていることは、もしトロイカとの話し合いで合意が見出せればという前提つきですが、3月に43億ユーロ、7月と8月にかけて65億ユーロの支援金がギリシャに支払われるので、7月の償還はその資金を充てられる計算になります。

ここからのシナリオ

今後考えら得るギリシャ新政府とトロイカ間の協議で予想されるシナリオとしては、次の3つが考えられます。

① 双方で合意点を見つける

構造改革に向けた努力をSYRIZAは約束し、トロイカがある程度、条件の譲歩に応じる。ギリシャ経済は若干スローダウンするが、さらなるリセッションの悪化は避けられる。

② SYRIZAとトロイカの間で合意に至れない

トロイカが譲歩に応じなかった場合、現在のギリシャの財政状態では、SYRIZA党が約束した補助金などの支給や減税が不可能となる。その場合、連立も解消され、新たな総選挙実施となる。

③ Grexit(ギリシャのユーロ圏からの離脱)

トロイカとギリシャ新政権が合意に応じられず、お互いの妥協点も見出せなかった場合、SYRIZA政権は既存の国債の利払いまでもを拒否し始めることが考えられる。その場合、ECBからの資金供給の道が絶たれる可能性が出てくるため、ギリシャ国内の銀行は、預金引き出しに応じられないことにもなりかねない。そうなると、ギリシャが選ぶ道は、ユーロ圏からの離脱以外なくなり、ドラクマに戻ることになるだろう。

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ここからの道のり

今回の選挙結果を見る限り、欧州がすすめている財政均衡という観点では後退を意味しますが、「絶望的な危機」には発展していません。しかし、ECBによる金融政策という面からの景気回復に向けた材料は、QE実施の発表をもって、材料出尽くし感が強くなっています。そうなると、ここからは、加盟各国政府による構造改革への着手によるところが大きくならざるを得ません。

もし、私が投資家であれば、ここからギリシャへの投資を積極的に進めることはしないと思います。ヨーロッパでは初めての左翼党による政権ですから、一歩間違えば、新たな解散総選挙や、予想もしない展開が待っているかもしれません。そのため、リスクはとりたくないと考えます。

ユーロに関しては、スイスフランやギリシャ・ショックをいったん織り込んだかたちになっていますので、今後はギリシャ新政権の動きを見ながら、売るタイミングを狙っていこうと思います。

ユーロドル1時間足チャート

戻しのターゲットとして、1.15ミドル〜1.16ミドルを意識しています。この間で売り、損切りは非常に狭く、1.1680超え(チャート上の赤丸)。どうしてここまで損切りをタイトにしたかと申しますと、ユーロ売りのポジションが積みあがっていることに加え、一度だけですが、1.10台を試しにいったという「達成感」があるため、中期的には売り攻めでいきますが、短期的には戻しがあればそれを待つことが大事だと考えました。

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