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ギリシャ危機とマーケットの反応[松崎美子]

今週は、月曜日にユーロ圏財務相会合が、火曜日にはEU財務相会合が続けて開催されました。そこでは、またしても「ギリシャ危機」について協議が行われましたが、これといった合意には至らなかった模様です。そもそも2009年にギリシャ債務危機が発覚して以来、マーケットは何度も「ギリシャ危機」に直面し、それなりに対応してきました。そのせいなのかわかりませんが、最近はちょっとやそっとの問題がギリシャで起きても、マーケットは反応しなくなっています。

どうして合意に、これだけ時間がかかるのか?

これには数々の意見がありますが、私が考えるには、ギリシャのSYRIZA新政権が国家存続に向けた優先順位を誤ったからではないかと考えています。そこが政治の難しいところなのでしょうが、選挙公約通りに反緊縮政策への転換を優先すべきなのか、何よりもギリシャがユーロ圏に残留することが一番大事なのか、それを考えればおのずと答えは出てくると思います。

以前、著名な投資家であるバフェット氏が、「グループに所属(ユーロ圏)しているのであれば、そのグループのルールを守らなければならない」と発言していますが、本当にその通りだと思います。ギリシャは、「デフォルトするぞ!」とEU側を脅せば、何の改革も努力もせずに支援金を受け取れると思っているのでしょうが、2012年からEU加盟国はGrexit(ギリシャのユーロ圏離脱)に向けた対策を練り、すでに準備が整っているので、ちょっとやそっとの「脅し」には、騙されなくなりました。ここが、過去のギリシャ危機と大きく違う点でしょう。

ただし、SYRIZA党の内部では大きな分裂が起きており、強硬派は反EU思想が強いこともあり、あくまでも選挙公約である反緊縮を貫くつもりです。それもあって、ツィプラス首相がEU側との話し合いのなかで、民営化の実施など緊縮財政策を認める内容に合意した場合、即刻離党し、野党に廻ると脅しています。そうなると、現在のSYRIZA連立政権の議席数が過半数以下に落ち込んでしまいますので、解散総選挙というリスクが出てきます。その意味でも、ツィプラス首相は、EUと自党強硬派との板ばさみになり、苦しい思いをしていることでしょう。

長すぎる協議機期間

今回のギリシャ危機もすでに4カ月目に突入しました。ドイツのメルケル首相は、ギリシャがデフォルトしたとしても、そのままユーロ圏に残留させることを希望しておりますし、ECBのドラギ総裁や欧州委員会の高官なども、「ユーロは、後戻りできない」と何度も繰り返しており、ユーロに一度加盟してしまった以上、抜けることは法的にも無理であるという点を強調しています。

しかし、メルケル首相率いるキリスト教民主党(CDU)の幹部や独財務省内では、約束破りのギリシャを早めに切り捨てたほうが、長い目でみたらユーロ圏経済にも良い結果を与えるし、ユーロにとっても良いのではないかという考えを、公の場で語りはじめたのです。メルケル首相は未だに自身の考えは変えていませんが、小国ギリシャの問題に対して、他の加盟国政府関係者の堪忍袋の緒が切れてきたようです。

合意できなければ…

2月末に期限を迎えるはずであった「金融支援延長」が、1月のギリシャ総選挙のおかげで、6月末までさらに延長されました。現在、その期限までに、EU側は支援金を手渡す交換条件として、ギリシャ政府に緊縮財政策の改革案の提出を求め、その内容について協議をしている最中です。期限がくるまでギリシャ政府の手元に財政運営資金があれば問題ありませんが、すでに同政府の国庫はいつ底を突いてもおかしくない状態であり、月曜日にはファルファキス財務相自ら、「今後数週間のうちに、財政運営資金が枯渇するリスクがある」と語り、緊張が走りました。しかし、マーケットはそんなことお構いなしに、ギリシャ株式市場は上昇して終わっていますし、最初はユーロ下落で反応したものの、火曜日は140ポイントも戻しています。

ここからのユーロ

最近のユーロ動向を見ると、ギリシャ危機への反応は鈍く、アメリカや欧州の国債価格とその利回り動向に大きく左右されている印象を強くしています。たとえば、ドイツ国債などの国債利回りが急上昇 (国債価格は下落)すると、それに反応してユーロが買われるという具合です。そして、これは欧州圏内に留まらず、アメリカでも国債利回りが上昇した月曜日にはドル高となり、利回りが急落した火曜日は、一転してドル安相場となりました。

果たして、この相関関係がいつまで続くのかわかりませんが、最近の不安定な国債利回り相場はヘッジファンドの45日ルールの影響だと考えた場合、5月15日までは、この乱高下相場が継続すると考えておいたほうが良さそうです。

たぶん、ギリシャのデフォルトは、ある程度マーケットに織り込み済みだと思いますが、それと平行して資本規制を導入するのか、それともアッという間にGrexitとなってしまうのかなど、いくつかのシナリオを考えなければなりません。そのため、EUとギリシャ政府との協議が継続する間は、ユーロはレンジに入るのではないか? と考えています。

ユーロドル日足

今までずっと「ユーロ/米ドル」の頭を押さえていた50日線(チャート上のピンク線)を上抜けしただけでなく、一気に100日線(水色線)をも上に抜けました。差し当たり、5月15日くらいまでは、黄色の線の間、1.1030~1.14ミドルのなかでの推移となるように感じています。その後は、ドイツ10年債の利回りが最近の高値である0.796%を上抜けるのか否かを見極めたいです。

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