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悪材料にも売られないのは強気のサイン?[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2017年9月4日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、レンジの上限を試す動き。週前半は北朝鮮がミサイルを発射したことを受けてリスク回避の円買いが強まり、一時108.27円と年初来安値(4月17日108.13円)に迫る動きとなったが、週後半は北朝鮮がらみの懸念が薄らいだことや、米ADP雇用報告が+23.7万人と予想を上回る増加を示したことから、110.67円まで反発した。金曜日には本家労働省の雇用統計が予想を下回る結果となったことから一瞬109.56円まで下落する場面もあったが、ドル売りは長続きせず、110円台前半へ持ち直して週の取引を終えた。

先週の米雇用統計の結果は?

米国8月の雇用統計は、失業率が前回の4.3%から4.4%へ悪化し、非農業部門雇用者数が+15.6万人と予想の+18万人を下回った。市場の関心が高かった平均賃金も前月比+0.1%、前年比+2.5%と予想の+0.2%、+2.6%に届かなかった。年内利上げ期待を消し去るまでは行かないまでも、その可能性を後退させる結果であることは間違いない。FOMCまであと2週間少々となったが、今回予想されているバランスシートの正常化計画が先送りとなる可能性もないとはいえなくなってきた。

 底堅い動きをしたドル円

しかしこの失望の結果にもかかわらず、ドル円は意外に底堅い動きを示したといえる。振り返ってみれば、先週は①北朝鮮のミサイル発射、②ムニューシン米財務長官のドル安発言(8月31日「貿易の観点からドル安は米国にとって多少有益だ」)、そして③米国雇用統計下振れと少なくとも3回のドル売り局面があったが、いずれも新たな下落トレンドにはつながらず、終わってみればドルは上昇した。

筆者が常々重視している「相場の息吹」の考えに従えば、「売られるべき材料が出たにもかかわらず想定以上に下がらない」のは、「潜在的な買い圧力」の存在を暗示しており、買いサインなのである。こういう局面では、材料を素直に解釈しての相場観にしがみつくと大けがのもととなる。

今週注目の材料

さて今週の材料だが、FOMC前のブラックアウト期間直前とあって(注:ブラックアウト期間はFOMC開催予定日の前々週の土曜日から会合後の木曜日まで)、FRB当局者の講演が連日目白押しだ。本日のブレイナード理事、7日のダドリーNY連銀総裁などの発言が注目を集めるだろう。6日には米地区連銀報告(ベージュブック)も発表される。

上記の「相場の息吹」が始まっているとすれば、ダウンサイドリスク(ハト派的発言が出てドルが売られるリスク)は比較的小さく、むしろ年内利上げや9月FOMCでのバランスシート正常化に前向きな発言が出た場合のドル上昇余地が大きいことになる。今週は少なくともスタンスを弱気から中立に戻しておくのが賢明であり、場合によっては短期的なドル買いも検討すべきと考える。

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