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2020年商品相場総括[佐藤りゅうじ]

※この記事は、FX攻略.com2021年3月号(2021年1月21日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

コロナ禍における商品相場を振り返る

 2020年、世界が新型コロナウイルスに翻弄された1年となりました。ワクチン接種は始まりましたが、新型コロナウイルス第3波の感染拡大ペースは衰えることを知りません。そんな中、S&P500やナスダックは史上最高値を更新するなど、金融市場は活況を呈しています。

 商品市場も同様に、大きな値動きをみせた1年でした。そして、脱炭素社会というゲームチェンジャーも出現し、2020年は商品相場にとっても節目の1年となりました。今号では、2020年の商品相場を振り返り、今後の行方を考えてみたいと思います。

ゴールドは史上最高値を更新

ゴールドとプラチナのチャート

 まず、ゴールドから見ていきましょう(チャート①)。7月27日、ゴールドは1940ドルまで上昇し、2011年9月につけた高値1920ドルを上抜き、史上最高値を更新。8月7日には2072ドルまで水準を引き上げました。2020年の始値が1517ドルですので、555ドルもの上昇でした。その後、11月30日には1765ドルまで下落する場面がありましたが、同水準を安値に1870ドル台まで戻しています。

 ゴールドを取り巻く環境を見ると、新型コロナウイルスによる景気後退を受けて、各国中銀は積極的な緩和政策をとっている上、各国政府も財政出動を行うなど、買い材料が多くみられます。2020年秋のように、ポジション調整の動きとみられる上場投資信託(ETF)売りから、軟化することはあるでしょうが、大きな流れとしては上昇トレンドが継続し、2000ドル台を回復し8月7日の2072ドルは単なる通過点になりそうです。

プラチナ復活

 2020年、復活ののろしを上げたのはプラチナです。プラチナは、2015年のフォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題を契機に、脱ディーゼルの動きから下値追いの展開となり、今年3月には新型コロナウイルスによる景気後退観測から、569ドルまで下落しました。しかし、そこから急激に地合いを引き締め、12月には2016年9月以来の高値となる1078ドルまで上昇しました。その後も1000ドル台を維持しています。

 今回のプラチナ復活劇の背景として、世界的に脱炭素社会へかじが切られたことが挙げられます。バイデン次期米大統領は、米国の温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにすることを公約に掲げて当選しました。また、日本の菅首相も所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と述べ、欧州連合(EU)諸国も脱炭素社会を2050年までに実現するという目標を掲げています。中国も同様の目標を2060年に達成することを目指しています。

 脱炭素社会によって訪れるのが、水素社会とみられています。プラチナは水素燃料電池車(FCV)の触媒や水電解触媒としての需要が見込まれています。このため、長期的な上昇が見込まれ、ゴールドとのサヤも縮小していくでしょう。10年後、20年後に2020年がプラチナ新時代の元年だったと位置づけられる可能性もありそうです。

シルバーは7年ぶりの高値

 そして、シルバーにも光が当たりました。2020年8月、シルバーは、29.78ドルまで上昇し、2013年以来、7年ぶりの高値をつけました。この背景には、米中関係の緊張や超緩和政策の影響からゴールドに投資資金が集中し、通常1対70~80前後の金銀比価が1対125まで拡大し、銀が金に対して超割安になったことがあります。このとき、ナスダックは「金銀比価が過去5000年の中でも最高の数字に達した」と報じていました。ただ、割安に放置されただけなら、それが是正されれば再び下落するのですが、銀は高値からは放れたものの、中長期で見れば上昇トレンドに入った可能性があります。なぜなら、シルバーも脱炭素社会の恩恵を受けるためです。脱炭素社会というのは、温室効果ガスを発生させずに発電をすることになるのですが、その担い手の一つである太陽光発電のパネルに銀が多く使われます。このため、プラチナと同様にシルバーも長期的な上昇が見込まれています。

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原油価格の上値は重いか

 最後に原油相場です。2020年の原油相場は、4月20日に納会を直前に控えたNY原油5月限が-40.32ドルをつけるなど、歴史的な値動きをみせました。新型コロナウイルスによる需要の大幅減少により在庫がいっぱいになってしまったことや、石油輸出国機構(OPEC)プラスの減産合意がうまくいかなったことが背景です。その後、減産合意がなされると、40~45ドル前後を中心としたレンジになっていますが、2019年が50〜60ドル前後のレンジが中心であったことを考えると、2020年はレンジが下方移動した年といっても良いでしょう。

 今後、脱炭素社会が進めば、原油需要は後退する上、価格的には50ドルを超えてくるとシェールオイルの生産が活発になるとみられることから、原油相場の上値は今後も重くなりそうです。

※この記事は、FX攻略.com2021年3月号(2021年1月21日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

ABOUT ME
佐藤りゅうじ
佐藤りゅうじ
さとう・りゅうじ。1968年生まれ。1993年米大卒業後、マーケティング会社を経て、金融・投資全般の情報ベンダー、株式会社ゼネックス(後の株式会社オーバルネクスト)入社。マクロ経済分析をはじめ、為替、商品、株式市場のアナリストリポートの執筆、トレードに携わる。2010年より「エイチスクエア株式会社」を起業、アナリストレポート等を執筆、「FOREX NOTE 為替手帳」等の企画・出版を行う傍ら、投資関係のラジオ番組キャスターを務める。個人トレーダー。国際テクニカルアナリスト連盟・認定テクニカルアナリスト。ラジオ日経「ザ・マネー オノサトの相場予測」(月曜15:00〜)メインキャスター。
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