FX取引ではトレンド判断も重要ですが、「ここまで上がる/下がる」といった目標レートの設定も大切です。短期的な為替レートの値動きのレンジ予想に役立つのが「ピボット」。海外では多くのデイトレーダーが愛用している短期売買向けのテクニカル指標です。今回は、このピボットとトレンド系指標を組み合わせた短期売買の実戦を紹介しましょう。
※この記事は、FX攻略.com2016年6月号の記事を転載・再編集したものです
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・移動平均線+RSI etc. トレンド系&オシレーター系の組み合わせ
・平均足+移動平均線、ボリンジャーバンド、RSI
デイトレーダー御用達の「ピポッド」は目標レート、想定レンジの把握に便利
24時間絶えず値動きのあるFX市場は、数時間程度の短期売買を繰り返すのに、最も適した市場といえます。
そこで、今回はデイトレーダーの必需品といわれる指標「ピボット」と他のテクニカル指標を組み合わせた手法を見ていきましょう。
「ピボット(Pivot)」は英語で「機械の回転軸」や「中心」「かなめ」を意味しており、RSIやパラボリック、DMIなど数々の有名テクニカル指標を開発したJ・W・ワイルダー氏が考案したものです。
その目的は「前日の為替レートの値動きを基に当日の為替相場に大きな影響を与える重要レートを見つける」ということ。
「前日→当日」という、非常にミクロな視点で値動きを分析していることもあり、数時間から1日程度の短期売買を繰り返すデイトレーダーが愛用するテクニカル指標として知られています。
その計算式は非常にシンプルで、計算に使用するのは「前日の高値」「安値」「終値」という三つの数値だけです。まずは、
・「PP(ピボット・ポイント)=(前日高値+安値+終値)÷3」
という値動きの中心点を計算します。
そして、この「ピボット・ポイント」から当日の抵抗帯(レジスタンスライン)や支持帯(サポートライン)となりそうな価格帯を順次、計算していきます。
・「R1(レジスタンスライン1)」=「PP+(PP—前日の安値)」
・「S1(サポートライン1)」=「PP—(前日の高値—PP)」
つまり、中心軸となるPP(ピボット・ポイント)から前日の安値までの値幅分、逆に上昇した地点が当日の値動きの第一の抵抗帯となります。反対に当日の値動きの最初の支持帯となるのは、PPから前日の高値までの値幅分、逆に下落した地点になります。
さらに、前日の高値と安値の値幅、つまり前日の総値幅をPPやS1・R1に加減して第2、第3の抵抗帯・支持帯を描画します。
・「R2」=「PP+(前日の高値—前日の安値)」
・「R3」=「R1+(前日の高値—前日の安値)」
・「S2」=「PP—(前日の高値—前日の安値)」
・「S3」=「S1—(前日の高値—前日の安値)」
計算式が多くて少し混乱してしまうかもしれませんが、使っているのは、あくまで「前日の高値・安値・終値」の三つの数値だけです。図1に示したように、PP(ピボット・ポイント)を中心に当日の値動きの抵抗ラインが上値に3本、支持ラインが下値に3本引かれただけの非常にシンプルな構造になっています。
売買手法は、R1のラインまで上昇した後、値動きが失速したら逆張りの売り、そこを越えてR2まで上昇したらさらに売り増すか、諦めて損切り。R3まで到達してしまったら容赦なく損切りが基本です。
逆にR1、R2で売った後、予想が当たって下落した場合は下値に控えるPPやS1が利益確定の目標レートになります。
逆張りだけでなく、為替レートがPPやR1を勢いよく突き抜けて上昇した場合は、順張りの買いで追随する手法もあります。
ちなみに、R3は「ハイ・ブレイクアウト・ポイント(HBOP)」、S3は「ロー・ブレイクアウト・ポイント(LBOP)」と呼ばれています。このハイ&ローのブレイクアウトポイントを越える値動きが生まれたときは、ピボットが想定したレンジが完全に否定され、前日の影響を全く受けない、新しい値動き=トレンドが生まれたシグナルになります。
もしR1やR2で逆張りの売り、S1やS2で逆張りの買いをしていた場合、R3、S3のブレイクで速やかに損切りするのがセオリーです。逆にR3、S3のブレイクアウトは、非常に強いモメンタムが発生したことを意味するので、その流れに乗った追随取引のチャンスです。
それでは実際のチャートに「ピボット」を表示したものを見てみましょう。
外為オンラインのブラウザ版チャートでは、ピボットに期間設定があり、例えば日足チャートで期間設定を10にすると10日間の値動きの高値・安値・終値からピボット・ポイントやR1〜3、S1〜3が計算される仕組みです。
この設定期間をどれぐらいにするかは難しいところですが、図2では「米ドル/円」の1時間足チャートに期間24、すなわち直近の足から24時間=1日前までの高値・安値・終値で計算したピボットを表示しました。
J・W・ワイルダー氏の当初のコンセプトはあくまで「前日1日の値動き」ですから、期間がちょうど24時間になるように設定するのが妥当といえます。例えば2時間足なら2時間×12=1日ということで期間12に設定します。
図2を見ると、「米ドル/円」の値動きはPPに寄り添う形で推移しており、PPが下がると下降トレンドが加速し、上がると上昇トレンドに転じています。
また、上値の抵抗帯R1、下値の支持帯S1にぶつかると為替レートが反転することが非常に多く、R1、S1が有効な逆張りポイントとして機能しています。
短期的な為替レートの抵抗帯・支持帯や為替レートの稼働レンジを教えてくれるピボットですが、“価格帯”や“値ごろ感”だけで取引するのは危険です。やはり、トレンド系指標と組み合わせて使うのが必須といえるでしょう。
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移動平均線でトレンド把握、ピボットで押し目買い/戻り売りポイントを探す
図3は「NZドル/円」の1時間足チャートにピボットと24時間(=1日)移動平均線を表示したものです。
ピボットが値動きのゾーン(領域)を教えてくれるのに対して、移動平均線は値動きの方向性を教えてくれることが図3からも分かります。
基本の売買戦略は、移動平均線でトレンドを確認して、上昇トレンドのときは押し目買い、下降トレンドのときは戻り売りと、トレンドに沿った取引を狙うこと。
その際、為替レートが反転するポイントがピボットのPPやS1、R1と重なっていれば、二つの指標で“ダブルチェック”できるので、より確信を持ってエントリーできます。
さらに、短期売買では迅速に、利益確定や損切りの判断を下すことも大変重要になります。
移動平均線の欠点は為替レートが予想した方向に動いて移動平均線から離れすぎてしまうと、どこで利益確定するか、判断の根拠がなくなってしまうことです。
買いで勝負したら、為替相場がみるみる上昇して大きな利益が出たものの、利益確定を戸惑っている間に急落してせっかくの儲けの一部を失ってしまうケースも多発します。そんなときに役立つのが、値動きの当面の上限や下限の目標となるピボットのR1やS1のラインなのです。
例えば、図3のAは、右肩上がりの移動平均線近辺で「NZドル/円」がもみ合った後、再び上昇に転じている地点で、ピボットのS1を越えて為替レートが上昇し始めたことから、格好の押し目買いポイントになっています。
為替レートが24時間移動平均線の上側で推移している間はホールドして利益を伸ばします。
その後、上値の抵抗帯であるピボットのR1に頭を抑えられ、為替レートが下落に転じたBの地点が最良の利益確定ポイントとなりました。
「NZドル/円」は下落を続け、やがて移動平均線を割り込みますが、ここまで利益確定を待っていたら遅すぎるのです。
逆に、ピボットのR1が上昇を阻む壁となり、為替レートが移動平均線を割り込んだCの地点は絶好の戻り売りポイントになります。そしてPPをいったん割り込んだ後、再びPPを上抜けて反転上昇したDの地点が素早い利益確定のポイントになるでしょう。
このように、移動平均線をメインの売買判断に使いつつ、ピボットを“値動きのガイド役”に使うことで、より精度の高い取引が可能になるのです。
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ピボットは短期売買で最大限、利益を伸ばす「利食い」ポイント探しに最適
図4は「ユーロ/円」の30分足チャートにピボット(期間48)と24本(半日)移動平均線とRSIを描画したものです。
ピボットのR1やS1は為替レートが反転するポイントとして役立ちますが、オシレーター系指標のRSIにもそれと似た性質があります。
図4のAの地点で「ユーロ/円」はいったん大きく下げた後、S1ラインを突破して上昇。そのとき、RSIは30の売られ過ぎゾーンから反転上昇しており、押し目買いシグナルがダブルで点灯しています。
上昇を続けた「ユーロ/円」がR1付近で反転下落し、RSIが70割れしたBの地点は格好の利益確定ポイントになります。
図のCやDの地点でも「S1・R1からの為替レートの反転」と「RSIの30越え、70割れ」がダブルで起こっており、新規エントリーの明確なシグナルになっています。
ちなみに、図を見ても分かるように、外為オンラインのブラウザ版チャートの設定では、値動きや時間に応じてピボット・ポイントが変化していくので、為替レートがS1、R1ラインの外側に飛び出すことはなかなかありません。
単純な逆張りはお勧めしませんが、この性質を利用すると、R1、S1の壁に阻まれて為替レートがトレンド方向に反転した地点は精度の高い押し目買い、戻り売りポイントになります。
ピボットは平均足チャートとの相性も抜群です。
図5は「英ポンド/円」の1時間足チャートを平均足で描画し、ピボット(期間10)とMACDを加えたものです。
MACDとシグナルのクロスでダブルチェックしながら「平均足の陽転で買い、陰転で売り」という非常にシンプルな売買判断でトレードを行った場合、売り買いのポイントは図5に示した地点になります。
平均足にせよ、移動平均線にせよ、トレンドに沿った取引をして成功した場合、利益確定のポイントは「平均足の色の転換」や「ローソク足の移動平均線割れ」まで待たないといけません。できることなら、為替レートが天井を打った瞬間、大底に達した直後に決済して、なるべく獲得利益を増やしたいところです。
そこでピボットのR1、S1を活用します。図5を見ても分かるように、「英ポンド/円」の値動きは、PPをはさんで、R1とS1の内側に収まる確率が非常に高くなっています。
買いでエントリーしたときは為替レートがR1まで上昇したら早めに売り決済、売りでエントリーしたときはS1まで下落したら早めに買い決済した場合、利益確定ポイントは図に示した「利確」マークの地点になりました。
多くのポイントはまさに相場の天底をうまく捉えており、R1、S1を目標レートに使うと利益を最大限、伸ばすことができます。
「一寸先は闇」といわれる為替レートの世界ですが、ピボットは値動きの“道案内”の役目を果たす貴重なテクニカル指標といえるでしょう。
日本ではあまり注目されていないピボットですが、海外のデイトレーダーの間で非常にポピュラーなのも、値動き予測の精度の高さが理由だと思います。
「(前日の高値+安値+終値)÷3」というPP(ピボット・ポイント)は誰が計算しても同じ。すなわち、誰もが同じラインを意識しているからこそ、テクニカル指標としても当たりやすくなっているのです。
※この記事は、FX攻略.com2016年6月号の記事を転載・再編集したものです
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