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3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析

外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|米国独り勝ちと中国衰退の始まり 2020年の為替相場を展望!】

外為オンライン・佐藤正和の実戦取引術|3大通貨の未来を予測するテクノ&ファンダ分析【今月のテーマ|米国独り勝ちと中国衰退の始まり 2020年の為替相場を展望!】

2020年は10年単位の節目でもあり、新たなトレンドが誕生する前兆の年になりそうです。ここ数年、ドル円をはじめ、主要通貨ペアの多くが膠着相場で推移してきたため、今年前半もそれほど急激な為替変動が起こりそうにありません。しかし、これだけ煮詰まった相場はいずれ一方向に大きく弾けるのが歴史の常だからです。2020年、為替相場はどう動くのでしょう?

※この記事は、FX攻略.com2020年3月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

「市場の死」を感じさせるドル円の膠着は今年も続く!?104円~114円のレンジが濃厚か

 新春第1回目の今号は、2020年の主要通貨の展望を長期チャートから占います。2019年の為替相場は、米中貿易戦争、7月~10月まで3会合連続で続いた米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ、米国以外では中国経済の減速、英国の欧州連合(EU)離脱や香港民主化デモなどが主要テーマになりました。相場のかく乱要因になったのは御存じ、トランプ大統領の対中関税ツイートでした。

 しかし、長期チャートでドル円の値動きを振り返ると、「やや右肩下がりの非常に狭いレンジ相場」に終始した1年でした。その値幅は4月高値112円から8月安値104円まで、たった8円。ここ数年の値動きを見ると、「外国為替市場の死」とまではいわないまでも、ドル円相場が現状の両国の経済状況から見た潜在的な均衡点に達し、もう上にも下にも動かない状況になったのでは、とさえ感じます。

 今後、「トランプバブル」といえる米国好景気の本格的な後退やFRBの利上げ、日本の財政赤字急拡大や日銀の量的緩和策終了など、両国の経済状況に劇的な変化がない限り、2020年も1ドル120円を越える円安や100円を割り込む円高は考えにくくなっています。

2001年以降のドル円月足チャートに過去の高値・安値、2020年の値動きに影響を与えそうなサポート/レジスタンスとなる価格帯をラインで記入したもの

 チャート①は2001年以降のドル円月足チャートに過去の高値・安値、2020年の値動きに影響を与えそうなサポート/レジスタンスとなる価格帯をラインで記入したものです。07年6月から11年10月までの約4年間、ドル円の急激な下降トレンドが続いたのも、いまや、かなり昔の出来事になりました。

 アベノミクスや黒田日銀の量的金融緩和がスタートした2013年以来、約7年間、ドル円相場は上昇トレンド(約2年半)、高値圏での三角保ち合い(約4年半)で推移しています。16年11月のトランプ大統領選出以降は104円台がレンジ下限となり、一度も100円割れしていません。

 三角保ち合いはいずれ上か下に大きくブレイクする、といわれています。しかし、米中貿易戦争の深刻化にもかかわらず米国経済は絶好調を維持し、日銀が追加の金融緩和を行う余地もほぼ残されていません。その状況に変化がない以上、2020年は18年、19年以上に狭い値幅での上下動が続きそうな気配です。

 レンジ相場が続く以上、レンジ上限で売り、レンジ下限で買う戦略が有効です。日米金利差を考えるなら、売りは見送り、急落時にレンジ下限で買って、プラスのスワップポイントを稼ぎながら長期保有するのもいいでしょう。

 その場合、レンジの上限・下限がどのあたりになるかを探る必要があります。チャート①に直近の値動きの上限・下限になりそうな価格帯(過去の高値や安値、下げ止まり・上げ渋りポイントが何度も通っているところ)を表示してみました。ここ1年のドル円の値動きは114円を上限、104円~105円を下限に動いており、2020年もドル円が104円まで下がったらそこは絶好の買い場といえるでしょう。

ドル円は2月の雲陰転が転機になって上か下に大きく動く!?  ユーロ円の目標下値は97円!?  

ドル円の月足チャートの直近部分をクローズアップしたもの。24か月移動平均線(SMA)と120か月(10年)SMA、24か月SMAを平均値にしたボリンジャーバンド±2σ、一目均衡表の雲など、値動きの支持帯・抵抗帯になりやすいテクニカル指標を表示

 チャート②はドル円の月足チャートの直近部分をクローズアップしたもの。24か月移動平均線(SMA)と120か月(10年)SMA、24か月SMAを平均値にしたボリンジャーバンド±2σ、一目均衡表の雲など、値動きの支持帯・抵抗帯になりやすいテクニカル指標を表示しました。

 一番の注目は、現状、値動きの上値で抵抗帯になっている一目の雲が2020年2月に陰転することです。先行スパン1と2が交差して雲がなくなったところは抵抗力が弱く、雲抜けが起こりやすい地点といえます。この2月にその交差点の1ドル111円台を一気に上抜けると、18年10月高値114円台到達も視野に入ります。2月という時期からすると米中通商交渉の進展やサプライズといえるほど好調な米国経済指標の発表がその牽引役になりそうです。

 ただし、雲自体が陰転する場合、雲の交差点にタッチしたものの、上抜けできず、下降トレンドに転換するケースもよくあります。その場合、下値メドになるのは、10年間のドル円レートの平均値である120か月SMAです。右肩上がりの同SMAは2020年後半には103円台まで上昇予定。ドル円の下落を阻む強力な支持帯になりそうです。

 一方、ドル円が2019年、104円~112円台という狭い値幅内で推移したことで、ボリンジャーバンドの±2σは過去20年間で最も収縮しており、2020年中には上・下いずれかに大きく動き出す可能性もあります。トランプ大統領再選なら、2016年秋のドル円急騰相場の再来に期待できるかもしれません。その際は112円台に立ちはだかる雲上限を年央に突破して、114円のレンジ上限や16年12月高値の118円台をうかがう展開になりそうです。

 反対に、下方向に大きな値動きが出るとしたら、米国経済の減速や中国経済の衰退、トランプ大統領に代わりエリザベス・ウォーレン上院議員など社会主義的な政策を掲げる民主党左派の大統領就任が引き金になりそうです。

 トランプ再選はドル高の起爆剤になりますが、さすがに2期目で、あまり目新しさがないこともあり、2020年のドル円はどちらかというと下方向の流れが加速しやすいようにも思えます。つまり、上値114円、下値104円のレンジ内での推移を大前提に、100円タッチの下落にも備える、というのがドル円の2020年の展望といえるでしょう。

ユーロ円の月足チャート

 続いてチャート③はユーロ円の月足チャートです。ユーロ円は08年9月のリーマンショックの暴落後、12年7月に94円の安値をつけたあと、日銀の量的緩和政策という日本円サイドの要因で14年12月には1ユーロ149円の高値をつけます。その後は欧州中央銀行(ECB)もまた量的緩和に乗り出したことで16年6月に109円台まで下落。ECBの量的緩和停止(テーパリング)観測で18年2月に137円の高値をつけたあと、欧州経済低迷によるECBの量的緩和再開で19年9月には115円の安値をつけています。

 ユーロ円は「弱いもの比べ」の通貨ペアといえ、日銀とECBの金融緩和策の強弱で上下動しがちです。2020年も、日銀の政策発動余地が限られる中、ECBがさらなる量的緩和を進める可能性が高く、これまでの下降トレンドが継続しそうです。

 ユーロ円は、19年5月に120か月SMAを下抜けており、14年12月高値149円台から16年6月安値109円台までの値幅40円分、18年2月高値137円台からさらに下落してN字波動を形成する場合、その目標安値は97円台になります。ただし、ユーロ円の18年2月からの下落期間はすでに前回、14年12月から16年6月までの下落期間1年半を越えており、今後は直近安値の115円台から小幅な上昇に転じる可能性もあります。その場合は現在、120か月SMAが位置する123円台が上値の壁として立ちはだかりそうです。

ドル独り勝ち、ユーロ・中国負けでユーロドルのパリティ、豪ドル米ドルの0.5ドル割れも!?

ユーロドルの2001年から約20年間の月足チャート

 ユーロの弱さは対ドルで見るとさらに鮮明です。チャート④は2001年から約20年間の月足チャートです。このチャートを見ると、ユーロドルはリーマンショック前の高値1.60ドル台を頂点に巨大な4点天井を形成したあと、16年12月安値1.03ドル台と18年1月高値1.25ドル台の間で低迷しています。

 通貨にも歴史的な栄枯盛衰があります。欧州諸国に実際に地域共通通貨が流通しはじめた2001年以降、ユーロは花形通貨として長期上昇トレンドが続きました。しかし、リーマンショック直後に発生したギリシャショックなど欧州諸国の南北格差や難民の大量流入、ECBの量的緩和開始、さらには英国のEU離脱決定など、いまやユーロという地域通貨自体が存亡の危機に立たされています。

 そう考えると、現在のレンジ相場の、ほぼ中間値にあたる1.15ドル台が2020年の上値の壁になりそう。逆に、下値は1ユーロ1ドルという歴史的な節目がじわじわと迫っており、2020年中にパリティラインを割り込む可能性もないとはいえません。高値はよくて1ドル1.25ドル台まで、安値はパリティライン割れも、というのがユーロドルの2020年の展望になります。

 2019年はトランプ大統領のツイートに振り回された1年ですが、それは良かれ悪しかれ、今の為替相場がトランプ大統領の米国を中心に回っていることを意味します。「米国を再び偉大に」というスローガンのもと、中国や欧州に関税攻撃を仕掛けるトランプ大統領ですが、それが成功するのも、低迷する中国・EU経済を尻目に米国経済が絶好調をキープしているから。2020年も「米国独り勝ち」時代が続くのは明らかです。

2008年以降の豪ドル米ドルの月足チャート

 そういう意味で今、最弱の通貨ペアといえるのが豪ドル米ドルです。他の通貨ペアが膠着相場を続ける中、最もトレンド(下降)が出ています。チャート⑤は08年以降の豪ドル米ドルの月足チャートですが、リーマンショック後に大規模な経済対策を打ち出して、世界経済をどん底から引き戻す牽引役になったのが中国でした。その恩恵を受けて、豪ドル米ドルも11年7月には1.10ドル台をつけ、リーマンショック前の高値0.98ドルを軽々と越えて見せました。

 しかし、その後はさしたる反発もなく、非常にきれいな下降トレンドが続き、16年1月には0.68ドル台の安値まで下落。その安値を割り込む瀬戸際で2020年を迎えました。

 120か月SMAははるか上値の0.85ドル台に位置し、2020年にたとえ反転上昇に転じても24か月SMAが位置する0.72ドル台までの上昇がせいぜいといったところ。対する当面の目標安値はリーマンショック後の安値0.60ドル台。しかし、中国経済崩壊の深刻さ次第では、チャート⑤にはありませんが01年4月、ITバブル絶頂期の米国独り勝ち時代につけた安値0.47ドル台も視野の片隅に入ります。

 トランプ大統領の対中貿易戦争で見えてきたのは、中国政府の弱腰ぶりです。米国では、昨年11月~12月にかけて香港人権法案が成立し、ウイグル人権法案も下院で可決されました。元来、中国政府は自国の共産党独裁体制に他国が干渉することを最も嫌います。法案成立にもかかわらず、米中通商交渉の席を蹴るどころか、一部で譲歩の姿勢を示すのは、年率6%成長が続いた中国バブル経済がいよいよ危うくなった前兆といえるかもしれません。

 2020年は中国経済が繁栄から衰退に向かう流れが始まる1年になりそうです。その前提に立てば、中国経済の代替通貨といえる豪ドルやNZドルなどオセアニア通貨のショートこそが、2020年において、最も有効なトレンドフォロー戦略といえるかもしれません。

 中国経済の衰退を裏テーマとするなら、爆走する米国経済が今後も堅調で推移するのか。そして、その推進役といえるトランプ大統領が再選されるのか、というのが2020年最大の表テーマです。米国独り勝ち時代が続く以上、ドル円はともかく、ユーロドル、ポンドドルなどドルストレートのショート(売り)を意識するのが、2020年のFXを勝ち抜く基本戦略といえるでしょう。

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