単なる勘ではなく根拠を持って分析
編集部 佐藤正和さんの最新の著書、『これだけ!FXチャート分析 三種の神器』について、いろいろ伺いたいと思います。まず、この本のテーマの一つである、「チャートを正しく理解する」とは、どういった意味でしょうか?
佐藤正和(以下、佐藤) チャートを読めなければ、勘で取引するしかないわけですよね。でも、実際にセミナーでたくさんの投資家と話をしていると、勘でやってる方は儲かっていないんですよ。チャートを正しく理解した方が明らかに有利なんです。ファンダメンタルズ分析だけを意識している方もいますが、最近では「リスク回避の円買い」のような相場の定説が通じない場面もあり、これまでと潮流が変わりつつあると感じています。
そこで重要なのが「チャートを正しく理解すること」です。例えば、ローソク足だけを見ると「上がっている、下がっている」しか分からないですよね。そこに、テクニカル指標による分析を落とし込むことで、初めて理論づけて考えられるわけです。ただし、テクニカル指標は多ければ良いわけではありません。これについて詳しくは、テクニカル分析の「三種の神器」で解説しています。
多くの人が見ているものは?
編集部 次に、既存のトレード手法を「自分に合わせてカスタマイズする」とは?
佐藤 よりダマシが少ない、より反応しやすい方がテクニカル指標として優秀ですよね。例えば、私の場合は120日移動平均線を使っていますが、これはヘッジファンドがよく採用しているパラメーターです。過去5年ほどを観測すると、見事に意識されたラインとして機能しています。
一方で、テクニカル指標は「より多くの人が意識していること」が重要なので、ただパラメーターを調整すれば良いわけではありません。移動平均線なら200日線などが初期設定の場合も多く、この設定のまま使っている方が多いと思います。
結局のところ、多くの人が進む方向についていくことになるので、相性の良いテクニカル指標を組み合わせて、よりダマシが少ない、より反応しやすいようにカスタマイズできると良いです。
編集部 エントリー前にシナリオを正しく描けた方が良いのでしょうか?
佐藤 そうですね。ただ、シナリオを決めたとしても、それが曖昧だとズルズルと損切りを先延ばしにしてしまいがちですよね。含み損が増えれば増えるほど損切りできなくなって、金額に対する感覚がまひします。例えば、含み損が100万円になってしまったら、「101万円も102万円も同じ」という感覚になりますが、エントリー時点で含み益1万円と0円では大きな差に感じますよね。
同じ1万円でも、自分の中での価値が変わってしまうんですよ。そのため、金額に対する感覚がまひしないように、エントリー前に利食い・損切りのシナリオを決めることが重要です。このとき、金額だけで利食い幅・損切り幅を決めるのではなく、テクニカル分析を加味した方が優位性の高い取引になります。
組み合わせが有効な三種のテクニカル
編集部 ここからは三種の神器についての解説をお願いします。まず、移動平均線を見るときのポイントを教えてください。
佐藤 長期線(200SMAなど)を見て、トレンドの方向感を確認することが重要です。また、確認する時間軸にもよりますが、移動平均線とローソク足の乖離率も意識しています。相場はずっと上昇、あるいは下落し続けることはないので、いずれは移動平均線に向けて収束することになります。
例えば、日足で120日移動平均線を見たときに、前日比10%高の乖離率の場合、明らかな買われ過ぎの状態といえるでしょう。長期線でトレンドの有無を確認したり、移動平均乖離率で相場の過熱感を見たりなど、相場状況を視覚的に判断することがポイントですね。
編集部 続いて、MACDを見るときのポイントを教えてください。
佐藤 ゴールデンクロス、デッドクロスするときに、プラス圏・マイナス圏のどちらで推移しているかです。例えば、マイナス圏でゴールデンクロスした場合は、戻り売りによって上値が重い展開になりやすいですが、プラス圏でゴールデンクロスすると押し目買いが入りやすくなるでしょう。
編集部 一目均衡表はいかがですか?
佐藤 一番のポイントは雲抜けですね。雲を抜けた場合、ブレイクした方向に為替レートが伸びやすいと判断できます。例えば、雲を上抜けた場合は、雲を抜けた辺りにストップ注文(売りポジションの反対売買の買い注文)や新規買い注文が溜まっているケースも多いため、大きく値動きする可能性が高いでしょう。
また、基準線・転換線もチェックしています。サポートライン・レジスタンスラインとして機能することもあるので、雲を意識しながら、基準線・転換線が「ローソク足から見てどの位置で推移しているのか」も重要ですね。
編集部 最後に、読者の皆さんと書籍を購入される方にメッセージをお願いします。
佐藤 最近のドル円を見ると、年々と値幅が狭くなっています。かつては1年で20円以上も動きましたが、ここ数年は10円未満の値幅のこともありました。これはつまり、徐々にドル円の「適正な為替レートが定まってきているからでは?」と感じています。
近年は1日で2~3円と動くことはまれであり、昔のようにガツンと稼げる相場環境ではないですよね。そうなると、小さい値幅でも利益を積み重ねられるように、チャートを正しく理解して、しっかりと利食い・損切りする姿勢が重要になります。この本では、テクニカル指標の「三種の神器」にフォーカスして、「収益アップの原則」を具体的にご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
※この記事は、FX攻略.com2021年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
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