サンドウィッチ間瀬さんが今のマーケットで気になるトピックについてを紹介。今回は他の通貨ペアと比べて値幅が大きく、取引をしている投資家も多いであろうポンド円についてのトピックを分かりやすく解説してくれました。
※本記事内容は、執筆者の見解に基づくものであり、将来の利益を保証するものではありません。
※この記事は、FX攻略.com2021年5月号(2021年3月19日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
値動きが魅力的な通貨ペアに注目
ボラタイルな値動きが魅力的な通貨ペアのポンド円。ここ数年はブレグジットが注目材料で、2020年末の欧州連合(EU)離脱交渉が期限ギリギリまでもつれこみ、期限到来直前での合意取りつけに冷や冷やした投資家も多いのではないでしょうか。
今回はポンド円について、私が最近気になっているトピックを解説します。
実質金利差の推移に対して底堅いポンド円
出所:BloomBurgのデータより筆者作成
通貨ペアの推移を見るとき、多くの場合はそれぞれの国の金利差に着目します(図①)。ここでは10年国債利回りと期待インフレ率から算出した実質金利を用いています。直近の推移を見ると、英国の実質金利下げ圧力が強く、日本の実質金利>英国の実質金利の様相になっています。
実質金利差に対してポンド円相場は若干底堅く推移していますが、長期的に為替相場は金利差の影響を受けると考えると、ポンド円相場は下圧力がかかるのではないかと考えられます。
実質金利=名目金利-期待インフレ率(※)
※期待インフレ率は予想物価上昇率ともいいます。今回の各図作成においてはブレーク・イーブン・インフレーション率(BEI)の指標を使用。
ブレグジット選挙後のユーロポンド相場
2016年6月23日の英国ブレグジット国民投票以降、ポンドは対ユーロにおいても安くなり、その後はレンジ相場で推移しています(図②参照)。ポンド安は、英国の輸入物価を押し上げることとなり、期待インフレ率にも上方向の圧力が加わっていると予想されます。
出所:BloomBurgのデータより筆者作成
英国の名目金利と期待インフレ率の推移
図③をご覧ください。英国の名目金利は右肩下がりで推移する中、期待インフレ率は2016年6月ごろより3%前後の高位で推移していることが分かります。
出所:BloomBurgのデータより筆者作成
目下、英国の名目金利は0%前後で推移しており、これ以上の下値を試す展開がある場合は、実質金利のマイナス幅拡大につながるかもしれません。
英国のイングランド銀行(BOE)は2021年2月4日の金融政策委員会(MPC)で市中の銀行に対して「マイナス金利政策に対応できるような準備」を求めました。実際にマイナス金利政策の導入を予定しているものではなく、いつでも導入できるようにするという「準備」の側面が強いというメッセージを同時に強調したため、「マイナス金利はすぐに実現されない」と市場は判断し、ポンドが買われる展開となりました。ただ長期的に考えると、BOEのこの動きは、マイナス金利導入への布石と考える事はできるでしょう。
マイナス金利政策は名目金利の下押し圧力と同時に期待インフレ率への上昇圧力から、実質金利の下押し圧力につながります。既に英国の実質金利は2021年1月末時点で、マイナス2.7%程度で推移していますが、BOEのマイナス金利政策導入によるさらなる実質金利深堀りのシナリオが考えられる場合、ポンド安へとつながる可能性もあります。
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英国の経常収支の推移
加えて、英国は経常赤字国であり潜在的な通貨安圧力もかかりやすい状況にあります。英国のサービス貿易は金融サービスなどを中心に黒字ですが、それを上回る財貿易赤字により、長年の間経常収支は赤字で推移しています(図④)。EUからの離脱により、国際金融センターであるロンドン・シティからの金融機関離れも今後進むことが考えられ、経常収支の黒字展開は考えづらい状況ではないでしょうか。
出所:英国国家統計局のデータより筆者作成
マイナス金利政策をチラつかせるBOEの金融政策による実質金利の下押し圧力、そして慢性的な経常赤字という点から、今後のポンド安を理由づけることができるのではないかと考えています。
直近のポンド円相場はブレグジット直後のポンド安を消化して以降、レンジ相場となっておりますが、個人的には下方向へのトレンドラインを描いた上で売り場を探すトレードとなるのではないかと考えます。
※本記事内容は、執筆者の見解に基づくものであり、将来の利益を保証するものではありません。
※この記事は、FX攻略.com2021年5月号(2021年3月19日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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