インヴァスト証券ディーリング部所属の間瀬と申します。前回コラムで「ルールに基づく取引の重要性」に触れました。ルールに基づく取引を行うためには「いくらで決済する」という決済ルールを定める必要があります。では、その決済ルールはどのように設定すれば良いのでしょうか。今回は決済ルール設定の一つの考え方として、時間帯別の相場変動に着目します。
相場変動には時間帯別の特徴がある
図①は、ドル円が直近1年間の各時間帯で、どれだけ動いたか(平均変動価格)と、大きく動いた件数(変動件数)を集計して、相場変動の傾向を示したものです。
朝方の着眼点は、6~8時台の小康状態から、9時台に平均変動価格が約16pips、変動件数が50件超と、相場変動が大きくなる点です。一つの要因は、9時55分の「仲値の設定」です。仲値は、金融機関が顧客に1日を通し提示する為替レートを設定するもので、実需マネーが動くことから相場変動が大きくなる傾向にあります。その後、15~17時はロンドン市場への変移に伴い相場変動が大きくなります。21~23時は米国の重要経済指標の発表で勢いが増し、22時台には平均変動価格が約17pips、変動件数が70件超と、ピークを迎えます。
この流れから、相場変動が小さい時間帯、大きい時間帯に、一定の傾向が見えます。
相場変動の大きさに着目し有効な決済ルールを見つけよう
新規注文後、相場の方向感は予想通りでも、利確と損切りを設定した決済ルールに対して、その時間帯の相場変動が大きい場合、先に損切りにヒットしてしまう可能性があります。特にデイトレードの場合、取引する時間帯で相場変動の傾向が異なるため、その傾向に合わせて決済ルールも調整する必要があるでしょう。
例えば、利確幅:損切り幅=2:1を原則として決済値幅を設定するとします。14時台の相場変動が7.5pipsであった場合の利確幅は5pips、損切り幅は2.5pipsとなります。その後、時間帯別の傾向から、22時台の相場変動は14時台の約2倍=15pipsを想定し、利確幅を10pips、損切り幅を5pipsというように決済値幅を変更することで、時間帯別の相場変動に合わせた決済ルールを設定できるでしょう(図②参照)。
今回解説した決済ルール設定はあくまで一つの例です。ぜひ皆さまも、ご自身にとって有効なルールを見いだし、トレードスキル向上を目指してください。
※この記事は、FX攻略.com2020年1月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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