トレイダーズ証券の井口喜雄による【Dealer’sEYE】をお届けします。
ドル円は、中国の劉副首相がムニューシン米財務長官やライトハイザー通商代表と電話会談したとの報道から米中貿易摩擦への緩和期待が高まり、113.50円まで上昇しました。ただし、依然として113円を中心に112円-114円のレンジにあり、来週にFOMCを控えて動きにくい地合となっています。
一方、ポンドは英議会のEU離脱協定案の採決が延期されたものの、荒れた展開が続いています。一部報道ではメイ首相に対する不信任投票実施に必要な保守党議員48人の書簡が集まったともあり、メイ首相辞任の可能性が高まっています。また、13-14日にはEU首脳会議が開催予定となっており、ここでもブレグジットが議題に上がるため、マーケットはポンドが主導する展開となるでしょう。
ドル円は米経済指標を眺めながら来週のFOMC待ち
来週のFOMCを控えて、ドル円は12日の米消費者物価指数や14日の米小売売上高を眺めながらの取引となります。FOMCメンバーはここにきて突然ハト派にシフト変更してきましたが、最終的にはデータ次第と言っているのでFOMC前にこれらの米経済指標は重要度が増しています。特に米消費者物価指数は利上げに対してFRBが重視しているインフレ指標として知られています。また、悪い数字が出たときはあしもとのハト派スタンスが正当化されるため、ダウンサイドには敏感に反応するのではないかと考えています。
どうなるブレグジット!?
ポンドはいよいよ合意なきEU離脱の可能性が高まってきました。
メイ首相の信任投票による党首交代や、解散総選挙といったシナリオのほか、EU残留(ブレグジットしない)の声まで聞こえており、複数のリスクシナリオが混在している状態です。
ここからは合意なきEU離脱を避けるため、EU側との再交渉で英議会を納得させられる条件を引き出せるかがポイントとなりますが、今のところEU側が譲歩するようなスタンスはとっていません。メイ首相にとってはタフな交渉が続きますが、ここが正念場となりそうです。
戦略としてはポンドショートが第一感になりますが、発言一つで大きく流れが変わるほか、チャートをみても下がりすぎているので一時的な反発を狙っていきたいところです。ただ、このチャートでもし反発しないのであれば、さらに下押しする可能性も高いと言えます。ここから突っ込んで売っていくには警戒が必要ですが、ストップをタイトにしたうえで短期の下値攻めならトライする価値はあるかもしれません。
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