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「大人の経済」基礎講座

FXトレーダーのための「大人の経済」基礎講座|第1回 ファンダメンタルズのきほん[雨夜恒一郎]

今回よりファンダメンタルズ(分析)を体系的に学習できる、雨夜恒一郎さんの新連載がスタートします。ファンダメンタルズは、相場の大局的な方向性を読み取る上で欠かすことのできない分析方法だけに、テクニカル重視のFXトレーダーにとっても役立つこと必至。これまでファンダメンタルズを敬遠していた方や疎かにしていた方は、この連載を機に一から学んでおきましょう。

※この記事は、FX攻略.com2017年6月号の記事を転載・再編集したものです

ファンダメンタルズ(分析)とは何か?

これまでもファンダメンタルズ分析の意義や重要性についてたびたび述べてきましたが、このたび機会を得て、ファンダメンタルズの初歩を体系的に学ぶという連載をさせていただくこととなりました。ファンダメンタルズの話はチンプンカンプンの方、ファンダメンタルズを勉強したいがどこから始めたら良いか分からない方は少なくないと思います。

そこで、第1回の本稿では概論ということで、ファンダメンタルズ(分析)とは何か、なぜ重要なのか、そしてどういう経路を通じて為替相場に影響を与えるのか、について分かりやすく述べていきたいと思います。 

ファンダメンタルズとは「一国の経済状態を判断するための基礎的条件」とされていますが、狭義には「経済成長率(GDP)」「物価上昇率」「失業率」「貿易収支」などの経済データを指します。そしてこうしたデータを用いて、経済動向や相場を分析することを、「ファンダメンタルズ分析」と言います。

一国の経済状態=ファンダメンタルズと考えて、「A国はファンダメンタルズが良い」「B国はファンダメンタルズが弱い」などと表現することもあります。

ファンダメンタルズ分析の基本は、経済データを理解することにあります。というと、「大学で経済学を専攻してないから分からないよ」という声が聞こえてきそうですが、何も経済学の教科書に載っているような小難しい理屈は必要ありません。やや乱暴に言えば、経済活動が活発かどうか分かれば良いのであって、身構える必要は全くありません。 

なぜFXトレードに必要なのか?

トレードをする上で最も重要なことは「大局観」を持つことです。上がったら買い、下がったら売りといった場当たり的なトレードを繰り返していては、いつまでたっても相場に振り回されるだけで、安定的に利益を上げることはできません。ファンダメンタルズが重要である理由は、その大局観をつかむのに必要不可欠な情報であるからです。

ファンダメンタルズが良い国の通貨はいずれ上昇し、ファンダメンタルズが悪い国の通貨はいずれ下落します。その逆はまずなく、長期的に見れば相場は必ずファンダメンタルズに従って動くのです。ファンダメンタルズを正しく理解できれば、中長期の相場を予測することはさほど難しくありません。

逆に言えば、ファンダメンタルズに合致しない相場の動きは、市場側に何らかの誤解や行き過ぎがあるわけで、いずれは修正されることになります。ファンダメンタルズに見合わない上昇が続けば相場は割高になり、急落のリスクをはらむことになります。

反対にファンダメンタルズに見合わない下落が続けば、相場は割安になり、中長期的に見て買い妙味があることになります。ファンダメンタルズ分析を適切に行うことができれば、市場の認識とのズレを見いだし、収益の機会を得ることも可能となるのです。

対局の存在とされるテクニカル分析

ファンダメンタルズ分析のある意味対極にあるのが「テクニカル分析」です。テクニカル分析は、過去の相場の値動き(チャートの形や統計的手法)から相場動向を分析する手法です。

テクニカル分析はルールさえ分かればすぐに始めることができるため、初心者の間でも人気があります。テクニカル信奉者の中には、チャートは森羅万象を全て織り込んでいるので、ファンダメンタルズやニュースは一切必要ないと言い切る方もいるほどです。

しかしテクニカル分析のみでトレードするのは、ベテラン投資家ならまだしも、トレードを始めたばかりの方にはお勧めできません。なぜなら、いかなる局面でも有効な万能のテクニカル手法というものは存在しないからです。

トレンドがないのに順張りでトレードしたり、トレンドがあるのに逆張りでトレードしたりでは、大きな損失を出してしまいます。またトレンドが上昇なのか下落なのかを見極められなければ、テクニカル分析も役に立ちません。

トレンドがあるのかないのか、あるとすれば上昇か下落か、その判断そのものが大局観であり、結局最後はトレーダーの裁量が必要になります。

システムやルールにただ機械的に従っていれば利益を上げられるほど相場は甘くありません。筆者は常に、ファンダメンタルズで大局観をつかみ、テクニカルで売買ポイントを決めるようにしています。

市場の関心がどこにあるかを知る方法

それではファンダメンタルズ分析の肝はどこなのでしょうか? ファンダメンタルズが良い国の通貨を買い、ファンダメンタルズが弱い国の通貨を売れば簡単に利益を上げられそうですが、事はそれほど簡単なものではありません。なぜかというと、ファンダメンタルズにもいろいろあり、しかも相場への影響には流行り廃りがあるからです。

例えば米国のファンダメンタルズで言えば、1980年代にはマネーサプライや貿易収支が注目され、相場を大きく動かした時代もありました。1990年代からごく最近までは、雇用統計が最大の注目イベントでした。現在では物価動向、とりわけ賃金動向が熱い注目を浴びており、かつて流行ったマネーサプライや貿易収支はあまり重視されないという状況です。

したがって、ファンダメンタルズ分析を基にトレードをするには、市場がどの経済データに注目しているかを正しく理解する必要があります。いくら良い経済データが出ても、市場の関心の圏外であれば相場は反応しません。逆に、市場が注目している分野であれば、ほんのわずか変化しただけで相場は大きく動きます。

市場の関心がどこにあるかをつかむには、市況コメントを地道に読み込むのが王道です。多くの参加者が関心を持っている材料は市況コメントに繰り返し話題として取り上げられるので、毎日読んでいるうちにやがて市場の雰囲気が分かるようになります。最初はロイターやブルームバーグの市況記事を読むことから始めると良いでしょう。銀行など金融機関が提供しているマーケットレポートも多くは無料で読むことができます。

筆者のお勧めは、経済レポートのポータルサイト「経済レポート情報」です。為替市場だけでなく、経済全般や国際情勢、産業など、幅広い分野のレポートが提供されています。


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「コンセンサス」と「サプライズ」 

経済データの絶対水準はもちろん重要ですが、相場を見る上でより重要なのは予想からのかい離、つまりサプライズがあるかどうかということです。主要な経済データは多くのエコノミストの予想が事前に集計されており、その平均値である「コンセンサス予想」というものが出来上がっています。経済データの発表後の最初の反応は、このコンセンサスより良いか悪いかで決まってきます。

良い数字がコンセンサスとなっている場合、相場は事前にそれを先取りして上昇します。いわゆる「好材料織り込み済み」となるわけです。こうなると相場がさらに上昇するためには、結果がコンセンサスを上回る必要があります。たとえ好結果でも予想の範囲内であれば、先回りして買っていた向きは利益確定に動きますので、相場はむしろ下落します。これが「材料出尽くし」です。

そしてコンセンサスを下回る弱い結果となると、大きな失望売りにつながります。これが「ネガティブサプライズ」です。ちなみに逆は「ポジティブサプライズ」と言い、悪い数字が予想されているときに予想を上回る結果が出ると、絶対水準としてはさほど良くない数字でも大きく買われることがあります。

米国雇用統計のような注目度が高い経済データの発表時は、こうした市場の特性を踏まえ、市場の予想コンセンサスや潜在的な期待(上振れ・下振れのどちらが期待されているか)をよくよく頭に入れた上で臨む必要があります。また普段から、良い材料が出ても上がらない、あるいは悪い材料が出ても下がらないのはなぜなのかを、常に考えてみる癖をつけると良いでしょう。

中長期的にはトレンドが重要

このように、市場の反応は相対的なもので、予想と結果がかい離していないと相場は動かないものです。しかしそれはあくまで短期的な話であって、中長期的に見ればファンダメンタルズはやはり絶対水準が重要です。ファンダメンタルズに合致しない動きが長期間続くことはまずありません。そして中長期的に重要になってくるのは、経済データのトレンド、すなわち改善しているのか、悪化しているのか、ということです。

例えば、経済成長率(GDP)が同じ年率3%でも、2%から3%に加速した場合と、4%から3%に減速した場合では、市場の評価は全く異なります。前者は景気拡大期待で好材料、後者は景気減速懸念で悪材料となるのです。したがって、経済データを見るときには、コンセンサスからのかい離だけではなく、数か月のデータを見てトレンドをつかむことが重要です。

経済データは各国の中央銀行や政府のウェブサイトで公表されていますが、外為どっとコムなどFX会社のマーケット情報サイトを利用しても良いでしょう。


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第1回「ファンダメンタルズのきほん」まとめ

・各種データから一国の経済動向を分析可能
・大局観養成に必須。テクニカル分析との併用が望ましい
・経済データは予想からのかい離に注目

※この記事は、FX攻略.com2017年6月号の記事を転載・再編集したものです

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