FX業界で活躍する女性トレーダーにスポットライトを当てる、このロングインタビュー企画では、ゲストがFXで成功するまでに辿った道のりや、ライフスタイルなどを語っていただきます。これからFXを始めようとしている女性にとっては、絶好の道しるべとなるでしょう。第3回のゲストは、バイナリーオプションの第一人者で知られるボリ平(矢澤明美)さんです。
編集部注:矢澤さんの名前は本誌掲載当時のものを使用しております。
矢澤明美(ボリ平)さんプロフィール
ボリ平の名称でお馴染みのトレーダー。FXトレーダーならではの投資法でバイナリーオプションを攻略。2013年7月、投資利益を資本金とする株式会社を設立し、専業トレーダーとなる。国内ではバイナリーオプションの第一人者として、バイナリーオプションの正しい投資法についてセミナー活動を多数行っている。趣味は釣り。
■矢澤明美(ボリ平)さんのブログ|3万円からのFX投資生活
株からFXの長期投資そして短期トレードへ
編集部 FXを始めたきっかけを教えてください。
ボリ平 病気がきっかけです。地元の企業に就職後、健康診断でガンが見つかりすぐ手術、2か月間の自宅療養です。子どもが三人いて、これからどうやって生活していこうと思っていたときに出会ったのが株の取引です。ちょうどライブドアショックの時期で、自宅で見たワイドショーでネット株を知りました。
編集部 最初は株だったんですね。
ボリ平 はい。でもお金があまりなかったから、10万円の資金でボロ株と呼ばれる極端に価格の安い株のトレードを始めました。仕事に復帰後もガラケーでトレードをしてました。1円抜きとかね。でもうまくいかず、2006年くらいにFXの存在を知ります。
編集部 最初はどんなトレードをしていたんですか?
ボリ平 初期は株のときのクセが抜けず、安く買って高く売ることばかり考えていました。
編集部 売りができなかったんですね。
ボリ平 そうです。なので「豪ドル/円」や「NZドル/円」のスワップ狙いでしばらくは儲かっていましたが、サブプライムショックやリーマンショックで円高が進むともうお手上げ。金利も下がって、スワップも微々たるものになり、長期投資はもう諦めようと。
この時期は、どこのFX会社でもレバレッジが高かったんです。会社によっては400倍ありました。なので、今やっているトレードに近いスキャルピングをするようになります。
編集部 ハイレバレッジを生かしての短期トレードに移行していくわけですね。
ボリ平 そうですね。ポジション保有時間が短くなると、スワップも気にならなくなりますので、「米ドル/円」や「ユーロ/米ドル」といった、値動きがあってスプレッドが狭い通貨ペアのトレードがメインになっていきました。
教科書通りいくなら、1回の損失は資産の何%までのような感じでリスク管理しますが、1万通貨の証拠金が3000円くらいと安かったので、損失が出たらすぐ損切りすればいいとハイレバレッジでやってました。最悪、口座に大きなお金が入っていたわけでもないので、負けてもいいくらいの大胆な気持ちでスキャルピングの研究をしましたね。
編集部 当時はどのテクニカル分析を使っていたのですか?
ボリ平 私は証券会社に勤務していたわけでもなく、予備知識のようなものはぜんぜんなかったので、それはもう自由にいろいろなテクニカルを使ったり、組み合わせたりしていました。当時気に入っていたのがボリンジャーバンドと一目均衡表。でも同時に見るのは大変なので、それぞれの良いところを合体させて。
編集部 当時はどのFX会社を使っていましたか?
ボリ平 FXトレーディングシステムズ(2016年12月01日に商号をFXブロードネットに変更)ですね。当時としては非常にカスタマイズ性が高い取引システムで、いろいろな画面を自由にセットにしたり、テクニカル分析の表示も変更できました。スプレッドも狭かったですし。
現在、ボリ平さんがメインで投資しているのはバイナリーオプション
海外のトレーダーと交流して手法を磨く
編集部 ボリ平さんは早い時期から、インターネットを上手に活用されていたイメージがあります。
ボリ平 そうですね。ブログはもちろん、YouTubeやSNSはけっこう早い時期からやっていました。「こういう手法はどうだろう?」「このテクニカルの使い方はありかな?」というものがあれば、YouTubeに投稿して、いろいろな人の意見を聞いて。特に反応が良かったのが外国人のトレーダーさんたちで、向こうのフォーラムで話題になったりしました。
編集部 海外から火がついたんですね。
ボリ平 そうなんです。その流れでMT4も知りました。手法を公開して、みんなで検証して、勝率も記録していって。勝てるようになったのは、あの時期にいろいろな人に助けてもらったからです。一人なら無理でしたね。ブログをいつも見てくれていた人が、私の手法のインジケーターを作ってくれたこともありましたね。
編集部 それはすごい盛り上がりだったんですね。
ボリ平 はい。海外のトレーダーとの付き合いで分かったのが、彼らの基本的な考え方はトレンドフォローなんですね。生まれた流れについていくという。そういう考え方に触れていくうちに、株の経験でとらわれていた買いのみの考え方、値ごろ感の逆張りから卒業できました。
編集部 売りもできるようになったんですね。
ボリ平 はい。FXの場合、上がるときは階段を上がっていくようにちょっとずつ積み上がっていくんですが、下がるときそれを一気に突き崩すような落ち方をします。ジェットコースターですね。なので、タイミングとして短いですが、下落をとらえるのが一番利益が出ます。今は私は売りしかやらなくなりました。下降トレンドのときはトレンドフォロー、上昇トレンドのときは反転の下落を狙います。
編集部 売りの方が稼ぎやすい、と。
ボリ平 そう思います。だから私は、どうしても売りに慣れない人は、売るためのトレーニングをしたらいいと思います。FXのトレードって、技術なんです。スポーツの練習は、試合のために同じことを何度も反復して身体で覚えるじゃないですか。あれと似ています。実戦でうまくいかないのは、メンタルが弱いんじゃなくて、トレーニングが足りないのかもしれません。何回も何回も、淡々とトレードを繰り返していくことで、いろいろな相場の展開に対応できるようになります。同じ相場は一度だってありませんから。
編集部 トレーニングをするときのコツはありますか。
ボリ平 証拠金は多すぎない方がいいですね。資金に余裕があると甘えが出て、損切りが遅れたり、塩漬けをしてしまいがちです。一球入魂で。
分析する時間帯を固定。その時間にだけ取引
編集部 現在メインとなっている、バイナリーオプションを始めたのはいつごろですか?
ボリ平 きっかけはレバレッジ規制です。
編集部 2010年に50倍に、2011年に25倍に最大レバレッジが規制されましたよね。
ボリ平 はい。それで資金効率が悪くなってしまい、別の投資先を探すことにしたんです。CFDなども試したんですが、相場観がもともとない自分に合ってるなと思ったのがバイナリーオプションでした。
編集部 相場観がないというのは?
ボリ平 今でもよく「これから米ドル/円は上がりますか?」「ポンド/円はどこまで下がりますか?」みたいな質問をいただきますが、私はアナリストではないのでそういうのは意識しないんです。その点、当時のバイナリーオプションなら、ちょっと後の相場が上がるか、下がるかを当てるだけです。しかも数pipsでも有利なポジションなら当たりの判定になるわけですから、長い目で見た相場観は不要ですよね。
それに私は数字が苦手なんですが、バイナリーオプションは視覚的に判断する部分が多くて、分かりやすいというのもありました。
編集部 確かにバイナリーオプションにはそういうところはあるかもしれません。
ボリ平 私にとって、FXは野球、バイナリーオプションはサッカーなんですよ。FXの場合は、そのときのトレンドやレンジがどれくらい続くか分かりません。アウトにならなければ攻撃が終わらない野球と同じなんです。
でもバイナリーオプションは、どんな展開だろうと必ず規定時間が経過すれば終了します。90分で試合が終わるサッカーみたいですよね。なのでバイナリーオプションの場合、「早く利食いすぎた」のような、時間に関する後悔がないんですよ。
編集部 それはそうですね。
ボリ平 損切りもいらないし、利食いや決済のことも考えなくて良かったですからね。
編集部 ただ、バイナリーオプションもルールが変更され、2013年からガラリとゲーム性が変化しました。1回のレースに相当するものが2時間になり、途中で抜けたり入ったりが可能になるとともに、価格が常に変動するようになりました。また、そのときの価格に対する上下ではなく、基準になる価格がたくさん用意されるようになり、またレンジに入ったり、レンジから出たりを予測するものも登場しました。
ボリ平 そうですね。ずいぶん複雑になりました。
編集部 ただ、この新ルールの理解は非常に遅れていると感じます。今でもバイナリーオプションの話をすると、「丁半博打でしょ?」と当たり前のようにいう方がいますが、分かりやすい旧ルールの時点から情報が更新されていません。
ボリ平 それはありますね。ただ逆にいえば、ものすごく大きな変化だったので、私は新ルールになってから、対応するのに1年くらいかかりました。
編集部 かなり大変だったんですね。
ボリ平 各社で開始時間がちょっとずつずれてるし、インターフェイスも全部違うんですよ。買いと売りの位置が逆だったり、色使いが違ったり。タイミングの良い売買も必要なので、操作感の違いに慣れるのは大変でした。
でも、今のルールだからこそ、通用するテクニックもあるんです。
編集部 ぜひ教えてください。
ボリ平 いいですよ。新ルールのバイナリーオプションでも、ラダーと呼ばれる価格が上か下かを当てるものはあるんですが、その基準になる価格が固定かつ、複数用意されるようになりました。
で、新ルールはオプションを購入するときの価格が、達成しやすいかどうかで変動します。例えば基準価格が今の価格よりはるか遠くにある場合、かなり安く購入できるのですが、達成の見込みがあると判断できれば、チャレンジします。購入は200円、達成すれば1000円もらえる、のようなパターンですね。
逆に、まず間違いなく達成できそうな状況のオプションが800円で買えるなら、達成して1000円、差引200円の利益にしかならなくても、手堅く攻めていくことがあります。
編集部 そういった、達成するかどうかの判断は何をもってするのですか?
ボリ平 ここでFXの知識が役に立ってきます。チャート分析で、少し先のトレンドを判断します。当たり前ですが、バイナリーオプションは、対象はFXと同じ為替相場ですからね。
またこういったチャート分析は、時間帯を強く意識します。自分がチャートを見る時間帯を固定して、毎日必ずチェックするようにします。「この時間帯は、こう動いてブレイクした場合、ここまで動くことが多い」といったクセが、だんだん分かってくるんですよ。それをバイナリーオプションと組み合わせるわけです。
編集部 生活の中に分析を組み込んでいくわけですね。
ボリ平 そうです。バイナリーオプションは、終了時間が決まっているサッカー型ですから、時間帯の固定と相性が良いんですよ。
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ライブのチャートが重要。情報は必要なものだけ選ぶ
編集部 ボリ平さんは普段はどのようなことに気をつけて、テクニカル分析をしていますか?
ボリ平 あまり深く分析しすぎないようにしています。現在価格の左側はもう終わったチャート、過去の値動きに過ぎないじゃないですか。それを振り返って、高値と安値はこの価格でした、ボリンジャーバンドの2σにタッチしました、のような解説をしても、それだけでは利益は出ないんです。今の時点から、まだクレジットされていない未来に向けてトレードを行うので、ライブのチャートが大事です。
編集部 なるほど。
ボリ平 そういう意味で、大統領が誰か、長期的には上がっていくか下がっていくかということを当てても仕方ないです。このあたりを混同してしまっている方が多いのではと思います。アナリストの方の仕事が不要といっているわけではありません。ただ私も含めトレーダーは、そのとき動いている相場で利益を出さなければいけません。
編集部 トレードで利益を出すために、知らなくても良い情報までも取り入れすぎているのですね。
ボリ平 そう思います。情報は絞り込みましょう。テクニカル分析も、3つもあれば十分で、それ以上出すとチャートが見にくくなります。
編集部 情報を取捨選択するコツはありますか。
ボリ平 まず、基礎から応用までを学べる、学校の教科書のようなものはないと思ってください。勉強してテストで良い点を取っても、FXで勝てるようになりませんし、必読書と呼ばれる本を読んだだけで勝てるものでもありません。勉強することが目的じゃないですからね。
つまり、そういった受け身ではなく、自分のやりたいトレード、勝ちたい金額、使える資金などから必要な情報を絞り込み、能動的に情報を探してください。
編集部 とても参考になりました。本日はありがとうございました。
※この記事は、FX攻略.com2016年9月号の記事を再編集したものです
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約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
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