相場が一方向に動くためには、一方向に向かうフロー(資金の流れ)が必要だと水上紀行さんはいいます。そもそも一方向へのフローは、どのようにして生まれるのでしょうか? 今回はFXのトレンド相場を作り出す資金の流れについて解説してもらいます。
※この記事は、FX攻略.com2018年5月号の記事を転載・再編集したものです
一方向へのフローでトレンドが作られる
相場はなぜあるときは一方向に、またあるときは行ったり来たりになるのでしょうか。これは相場の根本にあたることなので大変重要です。
まず、相場が一方向に動くときは資金がその方向にドンドン流れています。相場が上がるときは上げのフロー(資金の流れ)があるということです。それに対して、相場が下がるときは下げのフローがあります。こうした上げのフロー、あるいは下げのフローは主に投資家によって作られており、フローによる一方向の相場をトレンド相場と呼びます。
その一方で、上げにも下げにも安定的な一方向への資金フローがないと、行ったり来たりという動きになります。そのような相場をレンジ相場と呼びます。トレンド相場とは異なり、投資家は不在で投機筋だけの相場です。
投機筋は投資家のように長い期間ポジションを持ち続けることができません。なぜなら、宿命的な弱点があるからです。投機筋は買ったら必ず利食いか損切りのために売らなければならず、売ったら必ず利食いか損切りのために買わなくてはなりません。つまり、投機筋が相場のフローを作るチャンスは非常に限られていることになります。
前向きなフローと後ろ向きなフロー
フローのあるなしで相場の動きがどう変わるかについてご理解いただいたところで、相場が一方向に進むフローのある相場=トレンド相場について、お話ししていきたいと思います。
一方向へのフローができる理由は二つあります。一つは前向き、もう一つは後ろ向きです。前向きというのは投資妙味がある場合を指しますが、それ以上に多いのは後ろ向きの場合で、例えば最近では昨年の4月から米国というよりトランプ大統領と北朝鮮の緊張が高まったことでドルが売られ、ユーロドルが買われました。さらに、12月にはトランプ大統領が歴代の米大統領が避けてきたイスラエルのエルサレムを首都に認定したことから中東情勢が緊迫化し、ドル売りユーロ買いが強まりました。
これは何もトランプ大統領に限った話ではなく、過去にも同じようなことがありました。それは2001年9月11日に発生した米同時多発テロです。同年1月に就任したジョージ・ブッシュ大統領が大統領就任後、実績を早く出そうとするがあまり、中東に圧力を加えました。これにかみついたのが、オサマ・ビンラディン率いるテロ組織アルカイダで、米旅客機をハイジャックして、ニューヨークのワールドトレードセンターやワシントンDCなどに突っ込み大惨事となりました。
これによりブッシュ政権は完全にパニックとなったため、投資家は資金逃避を決定してドルからユーロへ大量の資金が移動しました。資金移動の中でも目立ったのが中東・ロシア・中国で、中東・ロシアについてはドルで受け取っていた原油代金をユーロへ、中国はドルで受け取った膨大な貿易黒字をユーロへ移し、相場が上がろうが下がろうが買ってくるためEternal buyer(エターナル・バイヤー、永遠の買い手)と呼ばれていました。この動きは6年間という長期間にわたり続き、ユーロドルは約7000ポイントも上昇しました。
なぜこうした資金移動がドルとユーロの間で起きるかといえば、規模として世界第1位の通貨ドルと第2位の通貨ユーロのそれぞれの受け皿になれるのがお互いでしかないからです。それは現在も同じで、トランプ大統領に関わる問題でもこうした資金移動が起きているということです。
同じような例として、ドル円では2012年10月からのアベノミクスが挙げられますが、これは国内投資家が主導したわけではなく、米系ファンドによって主導されました。アベノミクスに米系ファンドが飛びつき、これを千載一遇のチャンスとばかりにクリスマス休暇も返上してドル円を買い上げ、翌年の5月までで約27円の上昇を見ました。
このとき、あのジョージ・ソロス氏が10億ドル儲けたそうです。ただし、このアベノミクス相場はあくまでも投機的なものであり、ドルとユーロの間で投資家が起こす、主に逃避行動とは内容的に異なっています。
いずれにしても、一方向のフローがトレンド相場を形成します。したがって、そのフローの裏を突き詰められるかどうかが、その相場に乗れるかの鍵を握るということです。
※この記事は、FX攻略.com2018年5月号の記事を転載・再編集したものです
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