ミノリ FX取引をする中で経済指標って注意しないといけないよね。「雇用統計」ってよく耳にするけど、重要な経済指標なの?
間瀬 米国の雇用統計の中でも「非農業部門雇用者数」は市場で注目されるよ! 一般的に米国の雇用統計といえば、この非農業部門雇用者数のことを指す場合が多いね。雇用統計は、米国労働統計局が就業者数の前月比の増減を示すものとして公表する経済指標なんだ。
農業以外の事業を行う米国の約14万5000の企業・政府機関の賃金支払名簿を基に集計されるよ。
ミノリ へぇー、でも、なんで農業部門は除かれるの?
間瀬 雇用統計は失業保険の管理記録に記載されている事業所に対して調査を実施するのだけど、農業事業者の多くが失業保険の対象外となる場合が多くて、統計的な集計をすることが難しいので、調査対象から外されているんだ。
ミノリ なるほどね。雇用統計はいつ公表されるの?
間瀬 原則、前月の12日を含む週に調査が実施されて、その結果が当月の第1金曜日に公表されるよ。調査から3週間余りで公表される速報性の高い経済指標なので、米国経済を占う先行指標として考えられる場合が多いよ。
ミノリ うーん、でもなんで就業者数の増減が、米国経済を占う指標として考えられているの?
間瀬 それは、二つの理由が考えられるよ。
一つ目は米国の中央銀行に相当する米連邦準備制度理事会(FRB)が「雇用の最大化」を掲げて金融政策運営を行っているためだね。FRBは雇用を最大化させるために金融政策を進めるので、雇用統計はFRBの政策判断を左右する経済指標と考えることができるんだ。
例えば、雇用統計の結果が大幅な減少、つまり雇用が減っているような局面では、FRBは金融政策で経済を下支えしようとするよね。FRBの金融政策運営は、為替や株式に大きな影響を与えるので、その先行指標として雇用統計が注目される、ということだね。特に米連邦公開市場委員会(FOMC)直前の雇用統計の結果は、政策判断に大きな影響を与えるといわれているよ。
ミノリ FRBの金融政策運営に影響を与える経済指標ということね。それはみんな注目するわけだ!
間瀬 二つ目の理由は、雇用の変化から景気の良し悪しを判断することができるからだね。
米国は日本と異なり、雇用の流動性が高いんだ。つまり、転職・退職・解雇が日本と比較して身近な存在ってこと。日本企業は、一度雇用するとなかなかリストラができないよね。ただ、米国では景気が悪くなればちゅうちょなくリストラが行われる。
ということは、就業者の増減をみれば、景気が良いのか?悪いのか?を判断することができるよね。
ミノリ なるほどね! じゃあ、どのくらい就業者が増えれば景気が良いとされるのかな?
間瀬 非農業部門雇用者数は、一般的に前月比で20万人以上増加すると良いとされているね(図①)。
ただ、注意が必要なのは、コロナ禍における非農業部門雇用者数の結果はうのみにできないということかな。
図②は、非農業部門雇用者数の推移だよ。2020年4月分の結果が「前月比約2000万人のマイナス」という、チャートがチャートとして機能しないレベルの結果が出ていることが分かるね。それまではだいたい前月比10万~30万人の増加で推移していたのだけど、コロナショックにより、リストラやレイオフ(一時的な解雇)が大量に発生してしまったんだ。
ミノリ これは酷いね…。でも5月以降はV字回復してるよね?
間瀬 このデータを見ると、そのように考えてしまいがちだけど、非農業部門雇用者数は、「前月と比較して、どれだけ雇用が増えたか」というデータであることを思い出してほしい。つまり、4月に約2000万人の雇用が減ったあと、5月に約270万人のプラスという結果が出ても、数字上プラスに見えても依然失業者が大量に発生していることには変わりないよね。つまり、コロナ禍においては、「20万人」などといった就業者数の増加目安は全く参考にならないんだ。参考にすべきは「予想値に対して、結果がどのような数字だったか」ということだけれども、実際2020年7月に公表された非農業部門雇用者数は予想に対して強い結果だったにもかかわらず、相場は反応を示さなかったんだ。
ミノリ じゃあ、雇用統計はそこまで注目されてないってことなの?
間瀬 そんなことはないよ! 経済指標の結果がどうあれ、その後の相場がどんな反応を示すかは分からない。依然として米国の雇用の戻りは市場では大きな関心の的となっているよ。
個人的には9月に公表される8月分の雇用統計が気になるかな。執筆時現在、米国の失業保険給付金は非常時対応として、週に600ドルを上乗せした支給がなされているんだけど、それが7月末で終了する。つまり上乗せの失業給付金が終了した後の就業者状況を占うには、8月分の雇用統計を見なければならない。そして、8月分の雇用統計は9月の初旬に発表されるってこと。
相場が動くかどうかは置いておいて、雇用統計は依然として注目の経済指標だね!
ミノリ 毎月月初の重要イベントとして注目だね! ありがとうサンドウィッチ間瀬!
※この記事は、FX攻略.com2020年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
/
FX攻略.com限定タイアップ
キャンペーン実施中!!
\
「これからFXを始めよう」と思ったとき、意外と悩んでしまうのがFX会社、取引口座選びではないでしょうか? でも大丈夫。ご安心ください。先輩トレーダー達も最初は初心者。みんなが同じ悩みを通ってきているんです。
10年以上にわたってFX月刊誌を出版してきた老舗FXメディア「FX攻略.com」編集部が、FX用語を知らない人でもわかるようにFX会社、取引口座のポイントを解説しました!
取り上げているFX会社は、金融商品取引業の登録をしている国内FX業者です。口座開設は基本的に無料ですので、まずは気になったところで2〜3つ口座開設してみて、実際に比べてみてはいかがでしょうか。
\FX会社によって違うところをチェック/
スプレッド | FX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。 |
---|---|
約定力 | 狙った価格で注文が通りやすいかどうか。 |
スワップポイント | 高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。 |
取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
教育コンテンツ | 配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。 |
キャンペーン | 新規口座開設時や口座利用者向け各種キャンペーンの内容。 |