アベノミクス継続の菅内閣の誕生を海外投資家はどう見ている?
菅政権誕生に対する海外投資家の今のところの反応は、静観しているといえるでしょう(9月21日時点)。財政出動や量的緩和などアベノミクスのマクロ政策継続を主張していることは安心材料です。また、菅氏は安倍政権で長く官房長官を務めていたことから、海外投資家の間でもある程度の知名度があります。さらに、携帯電話料金の引き下げやふるさと納税の導入、外国人労働者の受け入れ拡大、インバウンド促進などを進めてきたことも知られていることからも、マーケットでは菅内閣の誕生については様子見姿勢といったところでしょう。
菅内閣で構造改革や規制緩和が進むことで、日本経済の生産性が向上することによる日本株への期待感があるといえます。ただ、円高の懸念は払拭できないでしょう。
長期政権の条件には円安が必要?
図①は景気循環と首相交代(1986年~2020年)を示したものです。日本では長期政権が少なく、総理大臣は景気を循環しないまま交代を繰り返しています。
第二次安倍政権は景気の大底にあたる2012年11月の後に誕生し、その後の景気拡張期の政権であったといえます。2018年10月には景気のピーク(山)を越えて、現在は景気後退期に入っています。その中で菅政権が誕生したのです。この先、景気後退期の底がいつになるのかがポイントになります。
また、ドル円と政権交代には深い関連があり、円高の時代には簡単に政権交代しています。円高は企業業績を圧迫することから、長期政権が困難な状況に置かれやすいといえるでしょう。長期政権であった、小泉政権と第二次安倍政権の時代にはドル円が1ドル=100円を割っていないことからも、菅政権下でもドル円相場とうまく付き合うことが重要になってきます。
レパトリの動きによる円高には注意
コロナショックにより、今期は企業業績が悪化し、減益の企業が多い点や不透明な経済状況から、資産を売却して資金を手元に置いておく企業の動きが見られます。海外資産を売却した場合は、レパトリエーション(海外にある資金を自国内に戻す)の動きとなり、円買い・円高圧力が強まります。ソフトバンクグループの資産売却が分かりやすい例です。
9月21日の104円台全前半への円高の動きは、このような企業のレパトリも一つの要因でしょう。また、日本の連休を狙った円買いはよく見られる傾向の一つです。今後も、きっかけがあれば円高に推移する可能性があることを頭の片隅に置いておくべきでしょう。菅総理がマーケットの意向を大事にする人物であることから、極度の円高に対して機動的な対策を打つことも期待されています。
第9回まとめ
- 海外投資家はアベノミクス継続の菅政権を様子見の姿勢
- 長期政権のポイントは為替相場が円安であること
- 企業業績が悪い今期は、海外にある資金を自国内に戻すレパトリエーションによる円高に注意
※この記事は、FX攻略.com2020年12月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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