FX女優である陽和ななみさんがトレード成績向上を目指してFXのスペシャリスト山中康司さんからFXで利益を出すために必要な全てを皆さんと共に学んでいきます。今回もファンダメンタルズ分析の基礎について教えていただきます。
債券と株式の関係
陽和 この連載では山中先生にFXのいろはを教わっています。今回のテーマは「株式市場や商品市場などの周辺市場」です。山中先生よろしくお願いします。
山中 まずは株式市場についてです(画像①)。株式市場といえば、証券取引所でいろいろな株が売買されているので非常になじみがあります。そして、株価の中でも流動性が高く時価総額が大きい日経平均やNYダウ、ドイツのDAXといった各国の代表的な株価指数が重要になります。株式や債券投資ではよくポートフォリオ、分散投資という言葉を聞きます。
陽和 資産を株だけに投資していると、株価が暴落したときに大きな損失を被ってしまうので、いろいろな金融商品に分けて投資することで自分の資産を守ることですね。
山中 そうです。「卵は一つのカゴに盛るな」という格言があります。要するに、投資先を一つに集中させないことです。
例えば、国内の商品と海外の商品に半分ずつ投資し、さらに国内の商品は株式に半分、国債に半分、海外商品も同様な投資をする、これが古典的な分散投資になります。この古典的な分散投資で資産を移し替える観点からみた場合、株価が上がりそうなときには債券を減らして株を増やそうと考えます。逆に株価が下がりそうなときには株を減らして債券を増やそうと世界中の投資家が考えます。よって株が売られるときには債券が買われ、株が買われるときには債券が売られるといった相関関係をみることができます。
もう一つ、最近よくいわれるのが「金利が上昇すると株が売られる」という話です。株式では年に1~2回入ってくるものがありますが、何か分かりますか?
陽和 配当ですね。
山中 そうです。株式には配当利回りという計算がされていて、株価が変わらなければ1年間に金利相当の配当が入ると考えます。日米共に株式の配当利回りは大体1%後半から2%くらいになります。日本の株式と国債を比較した場合、国債は利回りがほぼゼロですが、株式には約2%の金利相当分が入ってくることになります。
したがって、株価そのものの値動きとは関係なく、国債の金利が下がれば株を買って配当利回りを得ようとする動きが出て、逆に国債の金利が上がるときには株が売られやすい傾向にあります。これはどちらに投資した方が最終的に得なのかという投資家心理が影響しています。
次に金利の観点からみると、国債の金利が下がると債券価格は上がります。
陽和 金利の下がった債権との価格調整がされる関係だからですね。
山中 国債は日銀が大量に買い受けています。日銀が国債を買うと債券価格は上昇しますが、その裏側にある金利は下がります。ですから、日銀が債券を大量に買うことによって金利を上がりにくくするという面があります。反対に金利が上がる状況では、債券価格が下がります。すると金利の上昇局面では債券価格が下がり、上昇した金利と比較され株も売られるということになります。先ほどは株が売られるときには債券が買われると説明しましたが、金利の観点からみれば株が売られると債券も下がってしまう状況になります。この状況に近い「トリプル安」という言葉を聞いたことはありますか?
陽和 その国の株式・債券・為替といった主要市場が同時に安くなることですね。
山中 例えば、米国の場合だと米国債が売られ、米国株も売られてドルすらも売られるということです。日本のトリプル安であれば、日本の株価が下がり、日本国債が売られ、円安になる状況をいいます。
これは最も恐るべき状態で、要するに国力が低下し、市場への不安が高まっているので売られている状況ということになります。平時のマーケットでは単純な資産の移し替えです。しかし、マーケットが異常な状況になってきて、その国に対するリスクオフの動きが大きく広がっていくと、株も国債も売られていきます。さらに通貨も売られると、トリプル安の状況になってしまいます。
そのような意味で株式市場は金利市場、特に長期金利や債券と相当密接なつながりがあると考えることができます。なので株価変動と金利の関係性をみることでリスクオンやリスクオフの動向がうかがえます。
VIX指数
山中 株価に関しては、よくリスク度合いを測るのに「VIX指数」というものが使われていますが、聞いたことはありますか?
陽和 株式市場についての指数で、数値が高いと投資家の市場に対する不安感が強いことを表す、恐怖指数といわれるものですね。
山中 その通りです。Volatility Indexの略で、このVIX指数が上昇するとリスクオフの動きにつながります。これはS&P500を基にした変動率です。米国にはNYダウという非常に有名な株価指数がありますが、その構成銘柄はわずか30です。そこでもう少し幅広く500銘柄で構成した米国の代表的な株価指数がS&P500です。
株価が下がるときにはボラティリティが上がるという相関関係があります。逆に株価が上がるときはボラティリティが下がります。これは日本株も同じです。株価とボラティリティにはかなり密接なつながりがあるので、リスクの状況を測る指標としてVIX指数も注目度が高いといえます。
陽和 株価の下降局面でVIX指数が高まりやすいのは、買っている人が多いから一度下がると下げ足が早いということですか?
山中 例えば、為替相場のドル円はドル高、円高のどちらが正しいということはありませんよね?ただし株価の場合は上がることが正義です。企業は利益を上げることが目的であり、株主に対する義務でもあるからです。市場はそれを期待して株を買うので、株価は上がることが前提です。だから基本的に株式は買いから入ります。それが下がり始めるとなると「大丈夫かな」と不安になって売る人が多くなります。下がるときは下げ足が早くなり、変動が急激に大きくなるのでVIX指数、ボラティリティを確認することが重要になります。
陽和 なるほど、為替市場とは違う株式市場の特徴ですね。
株価指数と先物
山中 株価指数と先物についても考えておきましょう(画像②)。日経平均株価は現物市場で取引されている225種の株価から算出されます。現物の特徴は半期末ごとに配当があるので、配当込みの価格から配当後の権利落ち価格に価格調整が行われます。一方で、先物は株価指数先物の場合だと3月、6月、9月、12月という現在よりも先の時点での売買が行われています。先物には配当がないので権利落ち価格の価格調整といったことはありませんが、限月交代があります。各限月の第2金曜日がSQ(清算値)算出の最終日になります。その時期には取引が増加するので要注目です。
日経平均先物は、日本では大阪のJPX、海外はシンガポールのSGXとシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のGLOBEX、主にこの三か所で取引が行われています。現物株は9時から15時の取引ですが、JPXの株価指数先物はその時間が終わった後も夜間取引といって遅くまで取引されています。
この中で特に注目していただきたいのは、GLOBEXです。現在のGLOBEXは電子取引になったので23時間取引をしており、NY市場が引けて1時間経ってから始まります。ですので、GLOBEXは5時に終わって6時に始まります。23時間取引が行われているということは、現物が終わった後でもかなりの変動があります。最近は差金決済取引(CFD)もあるので、ぜひ見ていただくと良いと思います。
商品市場
山中 次に、商品市場です(画像③)。商品とは金や原油のことですが、金は持っていても金利はつきません。ですので、金利上昇は逆に金価格の下落につながるという面があります。
陽和 他に金利の高いものがあるなら、金利のつかない金を持つよりもそっちの方がお得ということですね。
山中 そうです。ですが、やはり金はリスクオフのときの安全資産だと世界的に考えられています。2018年10月に米国株が大きく崩れ、それにつられて日経平均株価も下がったときにリスクオフの動きで金価格が上昇しています。この金価格の上昇する動きは8月から始まっていました。
陽和 リスクオフの動きが早く表れたんですね。
山中 あとはインフレ指標として原油価格があります。ちなみに、世界で一番原油を産出している国はどこでしょうか?
陽和 サウジアラビアですか?
山中 実は現在の世界第一位は米国です。
陽和 油田採掘以外にシェールオイルも含めているからですね。
山中 そうなんです。今はいわゆる岩石層やサンド層に含まれているものも技術的にどんどん採れるようになってきたので、米国が2018年に産油量で久しぶりに一位となりました。
その原油を世界で一番輸入しているのが中国です。世界経済で影響力の大きい中国の原油輸入で原油価格が上がっているということは、景気が良いことになります。景気が良ければ当然金利も上がりますので、原油価格の上昇・下降もインフレ指標の一つとしてみることができます。
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為替市場と周辺市場
山中 まとめになりますが、どの市場もそれぞれ関連しており、為替市場は単独で存在しているわけではありません。特に金利市場とは密接につながりがあります(画像④)。今回紹介した株式市場や商品市場なども含めて周辺市場がお互いに影響し合って相場を形成しています。ファンダメンタルズ要因の中にいろいろな市場があり、その市場が経済指標などで動きます。そこからどう動くかを考えることがベースになって、チャートを見ながら実際に自分の取引スタイルを見つけていくのがトレードの王道になります。
陽和 これからニュースや情報に触れたときに、難しくて分からないことも興味を持って調べてみようと思います。
山中 興味を持ったらそこからさらに進めていくと、気づいたころにはエコノミストになっているかもしれませんね。
陽和 分かりやすく教えていただきありがとうございました。
※この記事は、FX攻略.com2019年10月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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