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週刊FXシナリオ|結局バノン氏は解任されましたが…(8/19 19:10)[阪谷直人]

結局バノン氏は解任されましたが…(8/19 19:10)

結局バノン氏は解任、それでトランプ政権への不透明は払しょくされるのでしょうか? トランプ政権の経済運営に対する懸念は晴れるのでしょうか?

私は難しいと想定します。

何故ならば、政権内の政治的対立は取り除かれても、足元の政治課題を切り盛りして行く人材が致命的に足りないのですから。

17日は、ゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長辞任のうわさに、

・NYダウは、前日比274.14ドル安
・NASDAQ指数は、前日比123.20ポイント安
・米10年債利回りは、前日比0.04%低下で2.18%
・ドル円は109.44まで下落で109.56で引け

コーン氏は、トランプ税制改革をリードする要の立場で、財界・経済界とのパイプでもあります。

一方18日、スティーブ・バノン上級顧問・首席戦略官の解任に対しては、

・NYダウは、前日比76.22ドル安
・NASDAQ指数は、前日比5.39ポイント安
・米10年債利回りは、前日比0.01%上昇して2.19%
・ドル円は108.60から一時109.60まで上伸するも109.17で引け

バノン氏は、トランプ大統領の選挙期間中は選挙対策本部長で、腹心の中の腹心ともいうべき立場の人物で、だからこそトランプ氏が1月大統領に就任した日に首席戦略官と上級顧問に指名しています。

ただその後、トランプ政権の要のメンバーとして指名された他の面々、例えばライス氏、マイケル・フリン氏、クシュナー氏、マクマスター大統領補佐官、テイラーソン氏、そして今回のコーン氏と衝突が絶えなかったと言われています。思えば4月には国家安全保障会議(NSC)の常任メンバーから外されていましたよね。

トランプ大統領としては、バノン氏を解任して、コーン氏を政権に引き留めた苦渋の選択であったはずです。16日には「製造業評議会」と「戦略・政策フォーラム」を解散してしまい、オバマケアの代替案への移行でつまずいたトランプ大統領にとって、足元の税制改革は必須であり、今後の政策運営にあたり米経済・財界と太いパイプをもつコーン氏の存在が最優先したのだと思います。

しかし市場の反応は、上記の様に瞬間リスク・オフを巻き戻すものの、迷走するトランプ政権への懸念を払しょくするには至っていません。

トランプ政権の政策運営に対する不透明は政権への不信感を意味し、来年の米中間選挙を見据えて、トランプ大統領の人心求心力が急速に衰えていている今、「9月の3つのリスク」に取り組まなければなりません。通常であれば問題なくクリアできると想定するのですが、政治的に追い込まれている、政治経験のないトランプ大統領のリーダーシップの下で乗り切れるのかは、極めて疑問であると言わざるを得ないでしょう。

市場はそのリスクをきっと敏感にかぎ取って、ドル円の動向は、8月11日の安値108.72を、そして節目の108.00を試しに行くのではないでしょうか。

「9月の3つのリスク」とは、

(1)9月29日が期限の米連邦債務上限問題、いわゆるデッド・シーリングの問題です。
→ 失敗すると米国債がデフォルトしてしまう可能性

(2)9月30日が期限の2018年度米歳出法案
→ 失敗すると米国政府が閉鎖してしまう可能性

(3)この2018年度米歳出法案の前に、税制改革法案を通す必要があります。

この3つの事を言います。

これらの急務を、夏季休会明け9月4日米レイバーデイ翌日から再開する米議会で迅速に可決する必要があり、その事に対するリスクです。

思うのですが、トランプ大統領が1月に大統領に就任後、色々な衝突が各方面で起きていますが、その原因は「トランプ大統領には、政治経験がない」という事なのだと思います。

それ自体は、良い面と、悪い面があるのですが、今回の12日に起きたバージニア州シャーロッツビルでの白人至上主義と反対派の衝突に対しての対応は、悪い面が出てしまいましたね。人種のるつぼと言われる多民族国家の米国で、「人種」や「人権」の話をする事は、米国の政治の世界ではタブーとされていますが、今回トランプ大統領は知ってか知らずか、踏んではいけない地雷を踏んでしまった格好なのです。 

今までもツイッターでトランプ大統領は幾多もの問題発言をしてきていますが、その悪影響が「政治」の領域に留まるのであればまだしも(例えば世論調査で支持率が下がるとか)、今回の件の様に実際の「政策運営」、例えばこの「9月の3つのリスク」の解決に悪い影響を及ぼし、「経済」の領域にまで影響をしてくる事態は避けるべきなのです。

(1)「9月の3つのリスク」特に税制改革、それも9月末までに
(2)中国との、そしてNAFTAとの貿易交渉
(3)未解決の北朝鮮との問題

そんな問題が山積する中、400超もの重要政権ポストの内、未だ50前後しか議会指名を終えていないトランプ政権、既に政権主要メンバーが8人も政権を去り、「政治」「経済」「地政学リスク」と三重苦にあるいま、この難局をどう乗り切るのか、市場・投資家は注目しています。

市場・投資家は、トランプ大統領の政治経験の無さをマイナスに評価して、この難局を乗り切るのは難しいのではと判断し、リスク・オフの体制を取ってくるのではと想定します。

トランプ政権の経済運営に対する懸念が強まりドル売り(8/18 6:49)

昨日NY時間に「ゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長が辞任」とのうわさが出て、米株が下げ幅を拡大する中、安全資産とされる米国債に対する買いが強まりました。

NYダウは、前日比 274.14ドル安で、21750.73、NASDAQ指数は、前日比 123.20ポイント安で、6221.91、米10年債利回りは、前日比0.04%低下で、2.18%。

この動きを受け、ドル円は109.44まで下押ししてそのままNYを引けています。

コーン氏は、税制改革に向けたホワイトハウスの取り組みをリードする立場にあり、来年2019年1月で任期を終えるイエレンFRB議長の、最有力後継候補と評され、市場もそう織り込んでいる人物です。

そのコーン氏辞任のうわさが伝わり、トランプ大統領が経済などに関する選挙公約、大型減税、インフラ投資、その第一歩としての税制改革を実現する事が難しくなる、少なくとも迅速な成立の可能性は大きく後退するとの懸念が一気に市場・投資家の間に強まりました。

その後ホワイトハウス当局者が「コーン氏は国家経済会議委員長のポストにとどまる意向を示している」と噂の否定をし、市場の悪化を収めようとしましたが、一旦トランプ政権の政策運営への疑念を持った市場・投資家のリスク・オフ姿勢は収まりません。当局者がコーン氏辞任のうわさを否定しても、数多くの不透明要素がある以上、市場・投資家の不安は払しょくされるには及びませんでした。

折も折、トランプ大統領は前日、米企業首脳らで構成する2つの大統領助言組織「製造業評議会」と「戦略・政策フォーラム」を解散したばかりです。バージニア州シャーロッツビルで週末に発生した白人至上主義団体と反対派の衝突を巡るトランプ氏の発言を受け、メンバーの辞任が相次いでいた事がその背景にある訳ですが、問題は、トランプ政権と米財界とのパイプが切れてしまう事です。

トランプ大統領就任当時は、米企業各首脳は、企業の意向をトランプ大統領へ伝えるために接近していましたが、ここにきてあまりにも極端なトランプ政権、と言うかトランプ大統領という個人を見限って離れつつあると見ています。最終的には解決してゆくとは思うのですが、トランプ政権の迷走が足元の市場に与える影響を暫くは懸念すべきと想定します。

ちなみに、欧州株式も下落。トランプ政権の政策に対する警戒感から売り圧力が強まり、英FT指数は、前日比45.16安の7387.87、仏CAC指数は、前日比29.76安の5146.85、独DAX指数は、前日比60.40安の12203.46。

また、欧州各国の10年債利回りも全体的に低下し、英10年債利回りは、前日比0.017%低下の1.086%、独10年債利回りは、前日比0.02%低下の0.419%、仏10年債利回りは、前日比0.019%低下の0.719%と言う様に、トランプ政権の経済運営に対する懸念の強まりは、ドル売りとしてだけではなく、米国市場だけではなく、欧州市場、そして本日のアジア市場・東京市場でも「トランプ政権の先行き不透明」を嫌気した展開が伝播するでしょう。

 9月の3つのリスクを目前に、トランプ政権の政策運営に対する不透明は政権への不信感を意味し、また来年の米中間選挙を見据えて、トランプ大統領の人心求心力が急速に衰えていて、ドル円の動向は、8月11日の安値108.72を試しに行くかもしれません。

ちなみに「9月の3つのリスク」とは、

(1)9月29日が期限の米連邦債務上限問題、いわゆるデッド・シーリングの問題

→失敗すると米国債がデフォルトしてしまう可能性

(2)9月30日が期限の2018年度米歳出法案

→失敗すると米国政府が閉鎖してしまう可能性

(3)この2018年度米歳出法案の前に、税制改革法案を通す必要があり

これらの急務を、夏季休会明け9月4日米レイバーデイ翌日から再開する米議会で迅速に可決する必要がある事のリスクです。

 

7月FOMC議事要旨、低インフレ率に当局の懸念高まり(8/17 8:05)

7月25・26日開催のFOMC議事要旨が、先程東京時間17日午前3時に公表されました。

米国の物価上昇率はこれまで5年余りにわたり、FRBが目標とする2%を下回り続けている上に、ここ最近弱含んでいる一連の物価指標に関して、メンバーが長時間協議した事が分かりました。

にも拘わらずその原因については「一時的な要因」との理解を示したにすぎず、物価上昇力の弱さに対する政策担当者の懸念が強まっている事が鮮明化、FRBが米利上げを先送りする可能性が示唆されたため、米国債利回りは0.04%と大幅に低下した事を受け、一時110.03までドル売りにつながっています。

このFOMC議事録発表前には、トランプ米大統領が助言組織の「製造業評議会」と「戦略・政策フォーラム」の解散を発表し、トランプ大統領の経済政策が景気を押し上げることがより困難となるとの見方が広がり、110.90水準から110.50水準へドル売りが再燃していましたので、このドル売りが加速した格好です。

因みにこの動きには、先週末にバージニア州シャーロッツビルで発生した白人至上主義団体と反対派の衝突を巡るトランプ氏の発言を巡り、両組織からメンバーの辞任が相次いでいた経緯があります。

トランプ大統領が助言組織2団体を解散した上に、FOMC議事要旨が景気への懸念を高める内容となり、米10年債利回りは2.26%から0.04%低下の2.22%へ低下しています。

FOMC議事要旨では、インフレ軟化にメンバーが懸念を強めた事が分かり、一部メンバーは、トレンドが一時的なものと明確になるまで、米追加利上げを見送るべきと主張していました。

これを受け、CMEグループのフェドウォッチによる金利先物相場が織り込む12月FOMCでの米利上げ確率は、45%と、前日48%からやや低下しています。

昨日の動きについては、

(1)ドル売りの動きは、米10年債利回りの低下を見てのものですが、市場・投資家に対しての悪影響を懸念します。特に助言組織2団体を解散した事に象徴されるように、トランプ政権を巡る先行き不透明感が米済成長見通しに影響は及ぼして、今後の税制改革など選挙公約の実行能力に対して、市場・投資家の信頼感を失いつつあるのではと懸念します。

(2)あまり話題に上っていないのですが、昨日は7月米住宅着工件数が発表され、市場予想に反して減少でした。この数字から、第3四半期の住宅市況への悪影響が懸念され、このところの強弱混交の米経済指標が市場の懸念材料になるのではと心配します。

地政学リスクの次は、インフレ率(8/16 8:15)

ドル円は110.85まで上昇

昨日、ドル円は堅調に109.61から110.85まで上値を戻しました。

(1)「トランプ大統領がインフラ計画に関する大統領令に署名」とのホワイトハウスからの発表。

(2)「北朝鮮がグアムへのミサイル発射計画を中止」ウォールストリートジャーナル紙による報道。

この2つのニュースを受け、北朝鮮問題への過度な警戒感が後退、円売りが優勢になりました。

海外時間になっても、北朝鮮に絡んだ緊張の緩和で、リスク・オフの動きが後退する流れから、米10年債利回りは2.22%から2.26%まで上昇し、ドル円は110.85まで上昇しました。

ただ、米朝問題は決して解決した訳では無いので、北朝鮮関係の重要イベントがこの先も控えている中、引き続き警戒は必要です。

8月15日は、北朝鮮の解放記念日、これは昨日無事に超えました。
8月17日は、日本の外務大臣と防衛大臣、米国の国務長官と国防長官との会議、通称「2プラス2」がワシントンで行われる予定で、
8月21日〜31日は、米韓合同軍事演習、
8月25日は、先軍節という北朝鮮の、軍の創立を祝う日、
9月9日は、北朝鮮の建国記念日と続きます。

市場の目線はどこに向くか?

そこで考えるべきは、地政学リスクの次に市場の目線はどこに向くかという事。

それは「インフレ率」と見ます。

先週10日、11日には、7月米のPPIとCPIが発表になりましたが、双方とも市場が予想した程には上昇していなかったため、年内の米追加利上げへの期待織り込みが後退、米10年債利回りは2.25%から2.19%まで低下し、ドルも下落しました。

一方で14日にNY連銀のダドリー総裁が、「FRBが9月にバランスシート縮小を開始するとの見通しは不合理ではなく、経済指標が持ちこたえれば年内あと1回の利上げがある」と述べると、金利先物は下落、市場が織り込む12月米利上げの確率は前週末の25%から43%に上昇。

暫くは、市場の見方・織り込みがハッキリするまでは、下値108.00〜108.12、上値114.49〜115.50のレンジ内でのもみ合い相場に入ったと見ます。 

FOMCは最近のインフレの低下は、一時的項目が要因であると説明していますが、その証拠は何なのかに関しては、はっきりとは明示されていません。よって市場・投資家は、年内の米追加利上げに関して、懐疑的見方を払拭できないでいます。今後も発表される経済指標を逐次検証して行くしかないでしょう。

昨日発表の7月の米小売売上高が前月比+0.6%と市場予想の+0.3%を上回り7カ月ぶりの大幅な増加を示した事が、昨日の米10年債利回りの上昇や、ドル円の上昇に貢献していると見ます。

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リスク・オフの動きが後退(8/15 8:30)

昨日の東京時間、ドル円は堅調に109.05から109.80まで上昇しました。米中首脳電話会談を受け、北朝鮮問題への過度な警戒感が後退、円売りが優勢になったためです。

また、本邦国内実需筋からのドル買い出動をきっかけに、ドルの買い戻しが加速した格好です。

日本の第2四半期GDPの1次速報は予想を大きく上回る伸びでしたが、市場の反応は限定的でした。その後、海外時間になっても、北朝鮮に絡んだ緊張の緩和で、リスク・オフの動きが後退。

米10年債利回りは2.20%から2.22%まで上昇し、9日来の高水準となり、NYダウは前日比135ドル高で推移しています。

北朝鮮情勢への警戒感が、この様に一旦落ち着きを見せるものの、北朝鮮関係の重要イベントがこの先立て続けに控えているので要警戒ではあります。

<北朝鮮関係の重要イベント>

・8月15日:北朝鮮の解放記念日
・8月21日〜31日:米韓合同軍事演習
・8月25日:先軍節という北朝鮮の祝日
・9月9日:北朝鮮の建国記念日

米朝問題は決して解決した訳では無いので、地政学リスクが再び高まるような事態になれば円高圧力への警戒感が強まる可能性は高いです。

ただ、日本が当事国となる様な場合には、円買い、円売り、のどちらへの動きが大きくなるのかは、想定が非常に難しいところです。日本企業の資産が攻撃を受けたり、損害を受けたり、結果、本邦個人消費が減退という事態になれば円安圧力が働きやすいと想定しますが。 

因みにNYの終盤に、ダドリー米ニューヨーク連銀総裁が、「FRBが9月にバランスシート縮小を開始するとの見通しは不合理ではなく、経済指標が持ちこたえれば年内あと1回の利上げがある」、「バランスシート縮小に関する市場の期待は不合理ではないと思う」と述べ、また、経済が自身の予想通りに進展するなら「年内のあと1回の利上げ実施を支持する」と述べました。

この発言を受け、金利先物が下落、市場が織り込む12月米利上げの確率は前週末の36%から42%に上昇して来ています。 

北朝鮮リスクからFOMCへ市場の興味は移り、リスクオン再開かと(8/14 11:05)

北朝鮮リスクに終始した一週間

先週は米国内の主要メディアが連日大騒ぎしていました。

日頃は国際情勢にそれほど興味を示さない米国民も、グアムという自国領土が北朝鮮のミサイル攻撃の目標にされているとあっては、「北朝鮮によるミサイル攻撃」への恐怖心が高まり、その動揺が市場・投資家へも伝播したのでしょう。

(1)VIX恐怖指数は10日大幅上昇、16.04と7日の清算値9.93から6ポイント超も上昇、

(2)米10年債利回りは、8日の2.26%から11日には2.19%まで6月来(6月26日2.13%)の低水準へ低下、

(3)米国株式相場も下げ幅を拡大、NYダウは8月9日の史上最高値22,173から11日21,858へ318ドル安、NASDAQ指数も8月7日の6383から10日6212へ171ポイント安、

(4)ドル円は、7月11日の114.49から11日108.72まで下落し4月17日108.12以来の安値を付けて週を引けました。

北朝鮮リスク、想定される今後のシナリオ

ここで想定される今後のシナリオについて考えてみましょう。

1.北朝鮮が、国際的制裁に屈して、核開発を放棄

→ まず無いでしょう。

2.北朝鮮からの軍事攻撃

→ これも無いと想定します。

金正恩氏は米国と話をしたいのであって、戦争をしたいのでは無いからです。かつてのナチスドイツの様に、領土拡大とか侵略戦争をしようと準備している訳では無いです。

金正恩氏自身が述べている様に、米国が北朝鮮を制裁・圧迫するので、その米国に妥協させるためのいわば自己防衛的な、抑止的な軍拡だからです。

つまり、北朝鮮にとっての核兵器とは、米国を話し合いのテーブルに着かせる為に、外交上に必要な脅しのカードなのです。このカードは持っている事に意味があり、決して使用してはいけないのです。米ソ冷戦時の相互抑止の為の核軍拡と同じです。 

3.米国からの先生軍事攻撃

→ これも無いと想定します。

米国防総省は米領グアムのアンダーセン空軍基地に配備されているB1爆撃機を使用し、北朝鮮国内にある約24か所のミサイル基地や実験場、その他関連施設等を全て爆撃し破壊する、というのですが、既にSLBM(潜水艦発射ミサイル)を搭載した北朝鮮潜水艦等が外洋に解き放たれている現状では、1回の第一波攻撃で北朝鮮の軍事力を壊滅するのは無理だからです。

4.現状のままの長期膠着状態の継続

→ このシナリオが一番可能性が高いと想定します。

ここで注目すべきは以下の3点。

(1)北朝鮮の暴走に対し、核実験の中止・核開発の放棄は中国の責任、ミサイル開発・ミサイル実験の放棄は米国の責任との密約が米中にあるとされる事と、中国が「もし米韓が北朝鮮に攻撃をしたら干渉する」と述べている事です。

つまり、北朝鮮の予期せぬ暴走が無い限り、米中は軍事攻撃のオプションではなく制裁・外交で管理しようとしている事が理解できます。 

(2)11日のラブロフ露外相による、「北朝鮮を巡る緊張の緩和に向けロシアと中国による共同計画がある」との発言です。

ロシアと中国が共同計画をしていると公式に発表したという事は、北朝鮮リスクに関して、米・中・ロの相互の・共同のアクションプランが存在し、決定済なのだという事が理解できます。

中国にしても、ロシアにしても、韓国と国境線を直接隣接するを良しとはせず、自由主義国家との干渉帯としての北朝鮮は必要なのです。仮に金正恩氏が倒れ、体制が変わる事になっても、干渉帯としての北朝鮮という国の存在の必要性は変わらないので、その点では中ソの国益利害は一致しているので、協調・共同作戦を取るでしょう。

ポイントは、中ソにとって必要なのは干渉帯としての北朝鮮という国であって、金正恩氏という個人ではないという事です。金正恩氏からすれば、自身の保全本能から、自身の安全を担保するために、独自に対中国、対ロシア、対日本、と画策している結果が今の状況なのだと理解します。

(3)北朝鮮金正恩氏は旧ソ連のKGB並みの情報収集能力を持つと言われています。

という事は、上記(1)(2)の米・中・ロの動きも当然知っていると思われる以上、ぎりぎりの挑発行為はするものの、粛々と軍事技術の向上に努め、いつか核保有国、核拡散防止条約(NPT)で核兵器保有を国際的に認められた米、ロシア、英、仏、中の5大国に、正式に北朝鮮の核保有を認可させ、その上で米国と対等の核保有国同士として話をしたいとの目標に只々邁進するものと想定されます。

その成果を以てして、国内的には軍をしっかりと掌握し、金正恩体制の確立と永続を図りたいのだと想定します。

今週の市場・投資家の関心は?

恐らく、世界中の市場・投資家も、この状況を早晩見抜き、「可能性は否定できないものの、早期の米朝軍事衝突はまず無し」との立場に戻るのではと想定します。

とすれば、今日14日からの週、市場・投資家の関心は米朝関係から、米国景気指数や、各中央銀行の動向に戻ってくるものと想定します。なので注目すべきは、

(1)15日、7月米小売売上高、予想は前月比+0.4%(6月は‐0.2%)
(2)16日、7月FOMCの議事録公表
(3)17日、7月ECB定例理事会の議事要旨公表

の3点。特にFRBに関しては要注目です。

前回7月FOMCで市場の予想通り金融政策は据え置かれました。その声明で、インフレ率の動向をモニターしてゆくとしました。その後、4日の7月米雇用統計では雇用判断は上方修正されたものの、先週はPPI、CPIが低迷し、市場では12月の利上げ観測が大きく後退しつつあるので、米10年債利回りの上昇等のサポートが必要です。

CMEのフェドウォッチによれば、11日の7月米CPIを受け金利先物相場が織り込む12月米利上げの確率は36%と、1カ月前の54%からかなり低下してきています。

また、最も注目されていたバランスシート縮小開始のタイミングに関しては、インフレ率の判断がFRBメンバー間で分かれている中、4.5兆ドル規模にまで膨れ上がったFRBの保有資産に関してはできるだけ速やかに縮小を開始すべきだとの方向で意見が一致しています。7月FOMCの声明でそれまで「年内に」としていた個所を「比較的速やかに」にしたのはもしかすると前倒しの可能性も含めていたのかも知れません。

何れにせよ、9月FOMCでバランスシート縮小を発表されるとの見方が強まれば、

(1)4.5兆ドル規模に膨れ上がった保有資産をできるだけ速やかに縮小を開始すべき

(2)バランスシート縮小開始のタイミングまで、米金利の再利上げは待つべき

との前提から、市場での12月の利上げ観測が大きく回復してくると想定します。

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