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FX力を鍛える有名人コラム

眞壁憲治郎のFX長者列伝<第二章> 第11回

眞壁憲治郎のFX長者列伝<第二章> 第11回

当企画は、投資家の眞壁憲治郎さんが募ったトレーダーの皆さんにFXで「わらしべ長者」を目指していただこうというもの。「労働者から資本家へ」をテーマに掲げ、参加者が知識と技量をしっかりと身につけながら、わずかな資金からでも大きく勝てるようになっていくことを目標としています。

第3回MKB杯が7月1日よりスタート

眞壁 第1回から第4回まではトレード技術に関しての解説、第5回より実際の運用状況を基にお伝えしています。同時にトレードバトル(以下、MKB杯。画像①)を開催しました。これは30万円以下の資金で運用をスタートし、3か月間の成績を競う企画です。30万円から積み上げていくというのも「労働者から資本家へ」がテーマになっています。

第3回MKB杯

眞壁 第2回MKB杯が閉幕(5月末)となりました。この記事を書いているのは5月半ばなので、まだ優勝者は決まっていません。先に宣伝をしておきますと、次回は7月1日より開催します。今回は新型コロナウイルスによる影響をじかに受けて大敗した人や様子見のまま終わってしまった人が多数いるため、早めの再開としました。

 ということで、この記事はMKB杯参加者と語り合う場となっていますが、前回に引き続き「自動でおきらくFX」さんをお招きしています。名前の通り、自動売買でトレードしており、開幕早々30万円から10万円以上の収益を出しました。トレンドに強いロジックをお持ちの方です。

自動でおきらくFX(以下、おきらく) こんにちは、おきらくです。トレードバトルの収支は、3月が17万円、4月は3万円弱でした。4月からレンジ入りしたので成績が伸び悩みました。

自動でおきらくFXさんTwitter

自動でおきらくFXさんTwitter

眞壁 4月はレンジ相場でしたね。3月に比べて混乱も落ち着いてきた様子です。私もEAトレードで再戦、仕切り直して4月の収益は5万円ほどでした。今回は、おきらくさんに「EAを運用する上で注意していること」を教えていただきたいと思っています。ご自身で決めていることなどはありますか?

おきらく まず、私のEAはシンプルな手法で、主要通貨ペアの値動きに忠実についていきます。ロジックはブレイクアウト手法で、あまり深追いせずに値動きが乏しくなれば見送るように設定しています。

眞壁 ありがとうございます。おきらくさんのご厚意でEAを実際に使わせていただきましたが、5月のゴールデンウイークに円買い仕掛けが入った際はドル円のショートで利益を出していましたね!

おきらく はい。ただ、利確する前に米雇用統計の発表があり、失業率が悪化してもドルが上昇するという不合理に面食らいました(笑)。

眞壁 まさにそれが自動売買の難しさですね。現在、私は「ULTRA EA cafe(以下、EAカフェ)」(EAの導入から運用方法までを解説、その上でいろんなEAが使用可能)を運営していますが、どのEAも得意・不得意があります。やはりトレンドで勝てばレンジで負け、レンジで勝てばトレンドで負けています。おきらくさんのEAはトレンド型なので、レンジが続くと苦戦しますね。それでもいずれはトレンドが発生するので、ブレイクに乗るのが楽しみです。EAカフェでもおきらくさんのEAを提供いただけたので、使用可能です!

おきらく EAは『タートルダラーJPY st』(画像②)と名づけました。ご提供するにあたり、初心者でも安全に使えるように設定したスタンダード版となっています。ロジックはダウ理論を基にレンジブレイクから順張りを仕掛けます。バックテストの結果は、こんな感じです(画像③)。これまで販売したこともなかったのですが、GogoJungleさんに登録させていただきました。

EA『タートルダラーJPY st』 EA『タートルダラーJPY st』のバックテスト結果

https://www.gogojungle.co.jp/systemtrade/fx/23859/

不得意な相場で損失を出さず、得意な場面で利益を出すEAが理想

眞壁 トレードで「タートル」といえば、ウォール街では伝説ですね。リチャード・デニス氏とウィリアム・エックハート氏が「優秀なトレーダーを育成できるかどうか」を実験、門下生による書籍は私も読みました。かつては秘匿されていた手法もブレイク型でしたね。

おきらく その通りです。トレーダーチーム「タートルズ」はドンチャン・チャネルブレイクアウトという手法を使っていました。私もその伝説的なストーリーに憧れた一人です。眞壁さんのEAカフェもトレーダーを育成するという意味では同じなのではないでしょうか?

眞壁 そうですね。育成とまではいいませんが、自動売買を初めて使用する人が利益を得られるまでは道案内したいと思っています。これはトレードバトルでも同様ですが、投資家として有名な先生の中には実際にトレードをしていない人もいます。まずは実践的であることが大事ですね。その点、おきらくさんの実績はトレードバトルでお墨付きなので信用できます。おきらくさんは実際にご自身で運用しているわけですが、使えるEAと使えないEAの違いを教えてください。

おきらく はい。使えるEAとは、そのEAが不得意とする相場で損失を出さず、得意な場面で着実に利益を出せる、そんなEAだと思います。実際には得意分野の違うものを3個ほど入れてポートフォリオを組むという感じが理想です。

眞壁 勉強になります。この1か月、いろいろとやりとりさせていただき、その一環でEAを合作しました。以前は金ツッパ侍さんというEAトレーダーと一緒に作ったので、眞壁EA第2弾となります。しかし、かなり難航しましたね(笑)。

おきらく そうですね。採用したのは移動平均線を基にしたゴールデンクロスとデッドクロスですが、そのままだと勝てるEAにはなりません。特に苦労したのは、適切なリスクリワード値に合う条件をカーブフィッティングにならないようにフィルタリングしたところです。

眞壁 試行錯誤したかいもあって、バックテストも右肩上がりになり、普段でも通用するものになりましたね。

おきらく はい(笑)。特徴としては、ボラティリティの状況を判断して、特定期間でのみトレードします(チャート①)。さらに、あえて両建てすることでダマシによる損失を相殺する構造になっています。

ドル円チャート

眞壁 まさに創意工夫の結晶です。これで完成ではなく、バージョン①というのが面白いですね!

おきらく まだお勧めできるものではなく、トレンド型としても私の主力はタートルダラーです(笑)。これからロジックを補強して、使えるEAにアップグレードしていきたいですね!

眞壁 素晴らしいです。今回の合作EAの魅力は基本となるテクニカル手法を使い分けるところなので、完成すればトレンドとレンジを状況判断できるEAになりますね。

おきらく 目先はバージョン③まで計画中です。

自動売買はメンタルが弱い人にもお勧め!

眞壁 成長過程を見られるのは、わくわくします。私もEAに関して知るようになりましたが、テクニカル分析をEA化したものは少ないというのは意外でした。自動売買はチャートの形から判断できないので、そうした視覚的な部分(図①)をロジックに叩き起こすのが難しいですね。おきらくさんもFX歴が長いので、裁量トレードをやっていた経験から思うことなどあるのではないでしょうか?

視覚的なチャートパターンの一例

おきらく よくEAなどのシステムトレードと裁量トレードはどちらが良いのか、という議論になりますが、EAも万能なものなどありません。自動売買のオン・オフを切り替えたり、ポートフォリオとして組み合わせたりするにしても、裁量トレードの経験がある方が間違いなく有利だと思います。また、システムトレードは感情に流されることなく取引できるので、メンタル的な部分が弱い人にはお勧めですね。

眞壁 おっしゃる通りですね。あとは、そもそも私の場合、ファンダメンタルズからシナリオを考えて「それが的中するかどうか」を楽しんでいる面がありますが、自動売買は囲碁や将棋の定石にあたる部分だと考えています。盤上での読み合いを楽しむにしても定石は必要ですから。

おきらく 逆に私はファンダメンタルズを読むことが苦手で、価格が上がるか下がるかのギャンブル的な興奮を楽しんでいたような気がします(笑)。

眞壁 ああ、それも確かにありますね(笑)。私の「的中するかどうかを楽しむ」というのもギャンブル感覚ですし。どこまでを自分の手でやって、どこからを自動売買に任せるか、今後の課題になりそうです。

おきらく 私はEAを始めて、自分の時間を取り戻すことができました。本当に大切なのは勝てた負けたで一喜一憂する高揚感ではなく、家族や友人と過ごす時間だと今は思っています。

眞壁 最終的にはそうなりますね。私は習慣として新聞を読んだり、パズルで頭の体操をしたりという感覚ですが、トレード自体のモチベーションでいえば3年から5年くらいで消えてしまいます。どんなに面白いゲームでもいつかは飽きます。私も相場歴が10年を超え、完全にマンネリ化しているところで今は自動売買を楽しんでいます。これは昨年10月にトレードバトルを開催したのがキッカケでした。こうしておきらくさんと交流できているのもトレードバトルに参加いただけたからなので、まさにテーマ通りとなっています(画像④)。

MKB杯のテーマ

おきらく トレードバトルは面白い企画だと思います。初めはギャンブル的な運用をして幸運な人が優勝するものだと思っていましたが、2週間ごとのポイント制だと安定して利益を出せるトレーダーしか生き残れないことを体感できました。

眞壁 相場ではまぐれ勝ちは続きませんね。実力と運は7対3だと思っています。今回は3月早々に新型コロナウイルスの影響で参加者の大半が損失を出し、そのまま様子見に徹している人もいます。一方、おきらくさんはトップの成績で大きく差をつけましたね。お見事でした!

おきらく 幸運にも第1ステージは大きなトレンドがあり、タートルダラーがピタリとハマりました。その後は戻し調整に入り、なかなかポイントを稼ぐことができませんでした。やはり獲得金額ではなく、3か月間でどれだけ安定した利益を出せるかという難しさを痛感させられました(笑)。

眞壁 運が良いときに利益を伸ばし、不運のときに損失を抑えられるかが肝ですね。次も参加いただけるでしょうか?

おきらく もちろん、参加します。まだまだEAを使ったシステムトレーダーは少ないので、自動売買の普及と、投資・投機の楽しさを知ってもらうまで戦います!

眞壁 ありがとうございます。MKB杯はうそ偽りなく実力のある人をフィーチャーしていきたいと思っています。次回は優勝者をお招きする予定です。おきらくさんも、また改めてお呼びしますね。今後ともよろしくお願いします!

総括

 次回のMKB杯は2020年7月1日より開催予定です(参加無料)。有名無名に関係なく実力勝負の場であり、お互いに切磋琢磨したいですね。

 EAカフェの方は、自動売買の導入方法から設定方法までの解説に加え、お勧めのEAがそのまま使用可能となっています。これまでEAを使ったことのない人から既にEAトレードを行っている人にも有益になればと努めています。

 どちらもたゆまぬ歩みで高みを目指しているので、ご興味ある方の参加をお待ちしています!

※この記事は、FX攻略.com2020年8月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

ABOUT ME
眞壁憲治郎
まかべ・けんじろう。大学卒業後、商社に勤めながら為替・株・不動産投資を始める。趣味は読書と映画、現在はポーカーの海外トーナメント上位入賞を目指している。なにごとも計画と実行ありき。マイナーな戦国武将の末裔として現代を生きる。 ■メルマガ:投資家の金融マガジン / FX長者烈伝 ■電子書籍:投資におけるスキーム論 ■電子書籍:投資におけるスキーム論2
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