FXの特徴として、レバレッジをかけて取引ができるという点が挙げられます。それは少ない資金で始めたい人にとって便利な仕組みですが、同時に注意しなければならないこともあります。そのポイントを、遠藤寿保さんに解説していただきます。
証拠金とは
FXは小額で取引ができ資金効率が高いといわれます。これは、為替の取引を証拠金で行えるため、取引にレバレッジをかけることが可能だということです。今回は、この「証拠金」「レバレッジ」に関して解説いたします。
証拠金とは、実際の取引に必要な資金に対し、その担保として預ける資金のことをいいます。具体例ですと図1のように「米ドル/円」の取引1万通貨を1ドル115円のレートで取引したとして、実際の取引の場合は、115万円(115円×1万通貨)が必要になります。
しかしFXの場合は、取引総額の4%(以上)の証拠金で取引が可能と決められているので、4万6000円(115万円×4%)の資金で取引をすることができます。
このような証拠金取引には、FX以外に日経平均先物取引や、株式の信用取引、商品先物取引などがあります。
レバレッジとは
レバレッジとは、テコの原理という意味で、小さな力で大きな物を動かすことを指します。FXにおいては、上記の例に当てはめると、実際には115万円必要な取引を、4万6000円の資金で行えることから、レバレッジをかけているといわれます(図2参照)。少ない資金で取引が可能なため、資金効率が高いのです。
また損益比率においても、「米ドル/円」が1円変動した場合、1万通貨×1円=1万円となり、実際の取引金額115万円に対して0.86%ですが、FXでは証拠金4万6000円に対して21.73%となり、損益率は25倍になります(図3参照)。
レバレッジを効かすことは資金効率や損益効率を上げるので、大きな利益を得る可能性は高まりますが、同時に大きな損失を被る可能性も高まるということも認識する必要があります。
追加証拠金とマージンカット
証拠金取引では実際の取引金額より少ない資金で取引が可能なため、価格変動によっては証拠金以上の損失が発生する場合があります。それを防ぐために、証拠金取引には追加証拠金制度やマージンカット制度というものがあります。
追加証拠金制度とは、「追証」ともいい、証拠金における担保力が低くなった際(損失が大きくなった際)、期日までに追加の資金を入金する制度です。期日までに入金がない場合は、ポジション(建玉)の一部もしくは全てが決済されます。
また、マージンカットとは、一定以上の損失が発生した際、自動的に全てのポジションが決済される制度です。FXの場合、各社によって追加証拠金やマージンカットのレベルが異なることがあるので、必ず確認しましょう。
レバレッジを理解しながらのポジション取り
小額資金で取引できるからといって、レバレッジが効いていることを理解せずに取引可能目一杯のポジションを持った場合、利益が発生すれば問題はありませんが、損失になったときに想定以上の額になってしまうことがあります。
レバレッジをかけることは禁止されてはいませんが、トレードは100%利益となるものではないので、損失時の計算もしてからトレードするようにしましょう。損益の計算方法は、「取引総額×変動値幅」です。変動値幅によって、所有ポジションがいくらの損益になるかのシミュレーションを必ず行ってください。
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適正レバレッジ
よく、「適正レバレッジはどのくらいが良いですか?」という質問を受けることがあります。適正なレバレッジとは、トレードされる方それぞれで違うと考えています。
また、レバレッジは25倍以内であれば、ご自身でコントロールすることが可能です。入金した資金を全て使いトレードされた場合は25倍となり、半分の資金をトレードに使った場合は12.5倍となります。つまり、レバレッジを抑える際には、入金額に対してトレードに使う資金比率を下げることでコントロールが可能なのです。
外貨預金と同等と考えトレードするのであれば、レバレッジ1倍が適正と考えますが、せっかくレバレッジをかけることができるのであれば、損失許容範囲の中でレバレッジを上手に利用した方が良いのではないかと考えます。
トレードは100%利益にはならないと理解した上で、複数回の連続損失が発生しても、トレードを継続できるレバレッジ配分で行うのが良いのではないでしょうか。そのためには、追証やマージンカットになる前に、ストップロスオーダーを入れ、損失をコントロールすることが重要になります。
※この記事は、FX攻略.com2017年5月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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取引単位 | 少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。 |
取引ツール | 提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。 |
シストレ・自動売買 | 裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。 |
サポート体制 | サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。 |
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