ドル円予想レンジ 108.00-112.00
「I am the only one who knows who the finalists are!(最終選考の候補者を知っているのは私だけだ)」-。これは2017/1/20に米大統領に就任するドナルド・トランプ氏の11/15付ツイッター(Twitter)投稿文だ。次期閣僚選考に難航、との報道に対する反論となる。
トランプ政権のスローガン「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」
ドルの対円強弱を探るポイントは1点。それは選挙スローガンに沿った保護主義政策などの主張をトランプ氏が政権スタッフの人事に反映させるか、である。オバマ大統領は2009/1月の政権発足に備え、2008/11/24にガイトナーNY連銀総裁を財務長官に起用すると発表した。ところがその数日前にガイトナー氏指名との観測報が伝わり11/21にNY株高、米ドル/円上昇となった。当時は米不良債権問題が最優先課題であり、同氏を市場は適任と期待したのである。
では、今般はどうか。トランプ氏の財政拡張と12月のFOMC利上げ観測でドル高が進行。但し財政拡張でインフレ見通しが強まればイエレン議長は今後の利上げペースを速める観測も成り立つ。トランプ政権での財務長官人事は実際の経済対策が反映される筈であり、保護主義姿勢の本気度も試される。前例に倣うなら本年11/23-24祝日休場(日米)頃に人事発表の可能性もあり要警戒だ。
安倍政権のスローガン「3本の矢“大胆な金融緩和”」継続
安倍首相は就任時に打ち出した旧「3本の矢」 “大胆な金融緩和”の旗は降ろしていない。いや、強化継続中、と言うべきか。11/17に日銀が利回り(価格)で国債を買い入れる「指し値オペ(公開市場操作)」を異例通知したことはその証拠である。これを受けて幅広い年限の国債利回りが低下し、その約30分後の参院財政金融委で「米国の金利が上がったからといって、自動的に日本の金利上昇を容認しなければならないということにはならない」と黒田総裁が発言。まさに債券市場への事実上の介入宣言である。ドル安に転じた場合でも低金利である円のインセンテイブを低下させる意図も伺え、日米金利差の確保に繋げたいのだろう。
11/21週の米ドル/円は移動平均線20、200日のゴールデンクロス形成有無も睨み、上値焦点は5/30-31高値圏111.35-46、週足一目雲下限111.65。超えれば4/28高値111.90視野で3/30-4/1高値圏112.59-68-81が期待値。米12月利上げ確率90%台(Fed watch)念頭も米10年債金利での月足一目雲の帯が2.31-2.57%で抵抗推移していることも留意。下値焦点は109円台維持。維持が失敗すれば11/17安値108.545、11/15/22:30上昇起点108.25が意識され、節目の118.00、11/15安値107.76が試されそうだ。
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