移動平均線を制する者は相場を制す
チャートの値動きを分析するのに必ずといってよいほど登場するのが移動平均線です。もはやテクニカル指標の王様とまでいわれ、どんなチャートソフトやスマホの取引アプリにも必ず組み込まれています。
王道のテクニカル指標である移動平均線ですが、深く詳しく解説している著書や動画が意外と見当たらないこともあり、「ただのローソク足の平均値」くらいの認識で終わっている方がほとんどなのです。これは非常にもったいないです。
移動平均線は世界中の人々に愛用されています。つまり、それだけ多くの人が意識しているということであり、チャート分析の基礎中の基礎です。この移動平均線をうまく活用することが、勝ち組トレーダーへの第一歩となるでしょう。まさに「移動平均線を制する者は相場を制す」なのです。
移動平均線とは終値の平均値
移動平均線は、英語で「Moving Average Line」といってMAと略称することが多いです(以下、MA)。いくつか種類がありますが、ほとんどは単純移動平均線(SMA)を指します。種類によって計算式が少々違うだけで、原則はどれも同じと考えていいでしょう。まずはシンプルなMAの原理原則を理解してください。
MAはローソク足の平均値ではありますが、ローソク足にはいわゆる四本値(高値・安値・始値・終値)という四つのレート情報が詰まっています(図①)。いったいローソク足のどの数値を用いて平均値を導き出しているのでしょうか?
実は、MAは「終値の平均値」です。終値しか計算式に入れておらず、高値や安値は関係ありません。つまり、ローソク足のヒゲの長さは一切関係ないということです。突発的な値動きがあって極端に長いヒゲが不自然に形成されたとしても、MAが何の影響もなくなだらかなラインを形成するのはそのためです。
移動平均線の原理原則
MAが終値のみの平均値だとすると分かることがあります。それは、「終値の位置がMAの上か下かによって、MAが上向きなのか下向きなのかが決まる」ということです(図②)。
これは非常に重要なポイントになります。終値が平均値よりも上にあるならば平均値が引き上げられるので上向きに、逆に平均値よりも下にあるならば平均値は引き下げられるので下向きになるのです(図③)。
つまり、ダウ理論よりもシンプルにトレンドがひと目で判別できます。MAが上向きならば上昇トレンドで、下向きならば下降トレンドになります。例えば、MAが上向きで上昇トレンドが続いていて、終値の位置がMAの下になったとき「トレンド転換」の第一歩になり得るため、注意を払うことができるわけです。この原則一つを取っても、「チャートを読む能力」が格段に向上します。
トレードに最適なパラメーターとは?
ここで気になるのが、どんなパラメーターのMAが最も効果的なのかということです。これは一時、論争にも発展した過去があります。結論から先に出してしまうと、「どれも一緒」です。どのMAも「終値の平均値」に過ぎません。故に交差する場所や跳ね返ったりする場所が違うだけです。どんなMAでも、効果的なときもあればそうでないときもあるということです。では、MAをどう活用していけばいいのか? この点については次号で詳しく解説していこうと思います。お楽しみに!
※この記事は、FX攻略.com2020年11月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。