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米国債利回り上昇・ドル反発局面は一時的[雨夜恒一郎]

米国債利回り上昇・ドル反発局面は一時的[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2021年1月18日号

先週のドル円相場は

米国債利回りの上昇をきっかけとしたドルのショートカバーが続き、一時104.40円と1か月ぶりの高値へ上昇。しかし利回り上昇が一服するとドル円も騰勢を失い、103円台後半でのもみあいに移行した。

この間米国株式市場は最高値更新はなく、NYダウは3万1千ドルをはさんで一進一退の動き。ここ2か月あまり連日のように最高値を更新してきた相場も、10-12月期決算発表を前にさすがに利益確定売りが強まった。

米国債利回り上昇の材料

米国債利回りはドル円の短期~中期の動向に影響を与える要因の一つだ。ベンチマークである10年債利回りは、昨年12月まで1%手前で足踏みを続けていたが、年明けに一気に1%を突破し、一時は1.18%台まで急騰した。ドル円が102円台から104円台まで上昇したタイミングと一致する。

米国10年債利回りチャート

米国10年債利回り 出所:yahoo!finance

利回り上昇の材料はおおむね以下の三つである。

①ワクチンの接種開始でコロナ制圧期待が高まったこと

②バイデン次期政権の経済対策に対する期待(+インフレ懸念)が高まったこと

③一部FRB高官が年内のテーパリング(債券購入減額)に言及したこと

しかし筆者はこのまま米国債利回りが上昇を続けていくとは考えていない。

利回り上昇は続かないと見る理由

上記の利回り上昇の三つの要因について考察してみよう。

要因①

①ワクチンの接種開始は確かに明るい材料だが、コロナ禍を終結させるという確証はまだ見えていない。各地で変異種が蔓延し、世界の感染者数は累計で1億人に迫る勢いで、死者数は200万人に近づいている。コロナを完全に抑え込んだはずの中国でも、河北省を起点に再び感染が拡大し始めた。現段階では、コロナ制圧に対する過度の期待は禁物だ。

要因②

②先週バイデン次期政権の経済対策の骨子が明らかになったが、1.9兆ドル規模の財政支出は予想通り・織り込み済みで、株式・債券・為替市場ともほとんど反応は見られなかった。今週はいよいよバイデン新政権が発足するが、これを機に材料出尽くしの動きとなる可能性もある。

要因③

③テーパリングに関する議論は、ボスティック・アトランタ連銀総裁「米債券購入テーパリング、予想より早く開始も」、エバンス・シカゴ連銀総裁「21年終盤ないし22年初めのテーパリングはあり得るだろう」(いずれも1月8日)をきっかけに沸き起こった。

 

しかし先週は逆に慎重な発言が目立っている。ブラード・セントルイス連銀総裁は「テーパリングをめぐる議論は時期尚早」と発言し、ブレイナードFRB理事やパウエルFRB議長は逆に「必要なら債券購入ペースを引き上げる用意がある」と発言した。

FRBには2013年のテーパー・タントラム…当時のバーナンキFRB議長がテーパリングに言及したことで、米国債利回りを急上昇させてしまった苦い思い出がある。FRBは今後も、資産価格のバブルには目配りしつつも、経済の正常化が見えてくるまでは現状規模の債券購入を続ける可能性が高い。現時点でテーパリング開始による利回り上昇を想定するのは時期尚早だ。

なお今週火曜日には、次期財務長官に指名されたイエレン前FRB議長が、上院公聴会で発言する。金融・財政の融合について踏み込んだ発言があれば、利回りの上昇にも歯止めがかかるだろう。

投機筋動向・チャートもドル弱気継続

IMM通貨先物の取り組みを見ると、1月12日時点で投機筋のドル円売り越しは5万枚と4年ぶりの高水準だった。本日18日はキング牧師の生誕記念祝日で米国市場は三連休だが、投機筋はポジションを回転させながらも一貫してドル円ショートを続けていることがうかがえる。

IMM通貨先物の取り組みとドル円相場

IMM通貨先物の取り組みとドル円相場 出所:CME、QUICK

チャート上も、一目均衡表の先行スパンに上値を抑えられており、昨年7月以来の「売り時代」がしぶとく続いている。下落ペースは緩やかだが、104円台は売り安心感があり、今週も戻り売りスタンスで臨みたい。

ドル円日足・一目均衡表

ドル円日足・一目均衡表 出所:NetDania

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