移動平均線やRSIなど、多くの市場参加者が見るメジャーな指標は王道の分析ですが、必ずしも自分に合うとは限りません。ここでは本誌にあまり登場しない指標を、インジケーターの造詣に深く分析のプロフェッショナルである山中康司さんに解説していただき、奥深いテクニカル分析の視野と選択肢を広げていきましょう。
12本のEMA
最も多くのテクニカル分析に使われている指標といえば、移動平均線であることは間違いありません。単体で使われたり、オシレーター系指標を平滑化する目的で使われたり、何らかの形で目にします。今回は指数平滑移動平均線(EMA)のバリエーションとして人気があるGMMA(Guppy Multiple Moving Average)を紹介します。
指標の名前にもある通り、GMMAはダリル・ガッピー氏が開発した分析手法で、12本のEMAを表示します。その形式から「複合型移動平均線」、ローマ字読みで「ガンマ」と呼ばれることもありますが、ここでは普通にGMMA(ジー・エム・エム・エー)とします。
オリジナルのGMMAは12本のEMAを表示し、ローソク足自体は表示しません。これは大局を判断するにあたって日々の動きを示すローソク足やバーチャートは不要であるという考え方からきていますが、現在の取引レートを見るにはローソク足はあった方が分かりやすいことは確かです。個人的にはローソク足を薄いグレーで表示することで、GMMA本来の動きを強調することが望ましいと考えています。
パラメーターと仕組み
GMMAは、期間の異なる12本のEMAを6本ずつ短期と長期のグループに分けて見ます。短期グループが3・5・8・10・12・15期間の6本セットを青で表示し、長期グループが30・35・40・45・50・60の6本セットを赤で表示します。
短期グループが投機筋の動きを示し、長期グループが投資家の動きを示していると考えます。GMMAは、この短期と長期のグループ同士の形状で判断し、グループ内の各線がクロスしたかどうかは考慮しません。つまり、それぞれのグループを線ではなく面で捉えるといって良いでしょう。
GMMA六つのルール
設定は変える必要がありませんし、時間軸やチャートもどのようなものにも対応可能です。GMMAはEMAをベースにしているので、基本的な使い方はトレンドに乗ることを考えます。一言でまとめると「投資家の動き(赤)でトレンドの強さを測りそのトレンドに乗り、投機筋の動き(青)で短期的な動きを判断しマーケットのだましを知る」ということになるでしょう。
もう少し、使い方を細かく見てみましょう。GMMAのルールを簡単にまとめると表①の六つになります。これらだけで、トレンドの継続と強さ、変化の兆し、もみ合いなどのチャート分析に必要な事項は全てカバーしていますので、GMMA単独の利用でも判断には十分ではないでしょうか。
実際のチャートに表示
チャート①はドル円の日足です。全期間にわたって投資家(長期グループ:赤)の各線が平行に推移しているので、ドル円の下降トレンドは強いという判断ができます(①)。その中で、②の投機筋(短期グループ:青)の拡散は短期トレンドの変化の兆し、つまり下げが過熱したことを示していますし、③の青の収束はその水準で価格形成の合意が成立したもみ合いを示していることが分かります。また、⑤は青が赤と交差し始めても抜けないことから絶好の戻り売りの局面となっていることが分かります。
もう一つ例を見てみましょう。こちらはユーロ円の日足です(チャート②)。楕円で囲んだ部分に注目すると、青が赤と交差して転換している場面が見られます。しかし、ここでは赤が収束している③の状態なので、大きなもみ合いの局面と判断できます。したがって、赤が①の平行状態になるまでは動くべきではありません。GMMA自体が長期的な視点に立って判断する手法となりますので、こうしたもみ合い局面では無理にGMMAを使わずにRSIなどのオシレーター系指標を使うのが良いでしょう。
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面で捉えるGMMAは見やすい設定が良い
TradingViewであれば「GMMA」と検索すると公開ライブラリで見つけることができます。当初の設定でも構いませんが、今回はオリジナルに近づけるため投機筋の色を青に変更してあります。また、ローソク足もGMMAを目立たせるために、薄いグレーに変更しました。
変更した設定はテンプレートに保存しておくと、いつでもすぐに呼び出すことができるのでお勧めです。
※この記事は、FX攻略.com2021年4月号(2021年2月20日発売)の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
・「あなたの知らないテクニカル指標の世界」連載記事まとめはこちら
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