【来週の米ドル/円予想レンジ】→ 109.25-112.50
「マイナス金利の効果が出ていないのではないか」-。これは懇意の国会議員から直接聞いた見解だ。日銀は1月の金融政策決定会合でマイナス金利導入を決めたがその後の円高推移は周知であり、経済・物価の下振れリスクが再燃した。
4/7以降の円高進行に対し、菅官房長官・麻生財務相ら政府要人から「必要な措置」とした発言が円売り介入の可能性を想起させたが、4/15のルー米財務長官発言「Despite recent yen appreciation, foreign exchange markets remain orderly(最近は円高が進んでいるが、市場の動きは秩序的だ)」が“円売り介入≒為替操作≒容認できず”の図式を強めてしまった。
禁じ手は封印された。しかし…
円売り介入、とした禁じ手はルー発言を以て改めて封印されたと読み取れる。そうなると4月の政府月例経済報告で示されたように熊本地震が日本経済に与える影響を「十分留意する必要がある」との指摘も勘案すると、4/28の日銀会合では追加緩和論が高まると見るのが普通だろう。事実、4/22午後は追加緩和観測報で円は急落。日銀施策に期待が寄せられている証といえよう。
前号で指摘した筆者案、対インフレ率での緩和規模を自動設定する“金融版ビルトイン・スタビライザー”は極論だが、幅広い選択肢が検討される可能性から ①上場投資信託(ETF)の大幅な買い入れ増額 ②年間80兆円のペースで保有額を増加させている長期国債の買い入れの更なる増額、とした2点を軸に百家争鳴な議論から緩和策が示されるのではないか。
黒田総裁自身が“ヘリコプターマネー(金融機関に補助金を付けた資金の貸し出し)”を4/20の衆院財政金融委で否定していた。
しかし2015/10/7会合後会見で、付利の引き下げ(マイナス金利)に関する質問に対して「付利の引き下げについては検討しておりませんし、おっしゃるように近い将来考えが変わる可能性もないと思っています」と明言(2015/10/8公表 総裁記者会見要旨15ページ目の最後)したにも関わらず現在はマイナス金利政策を採用している点も踏まえれば事前に手札を明かす訳はないのだ。
4/25週はそうした期待と失望、出尽くしや二の矢・三の矢の可能性も踏まえたボラタイルな値動きを警戒することとなろう。
米ドル/円上値焦点は4/6高値110.65。越えれば4/5高値111.34、4/4高値111.81。4/1高値112.59が期待値となる。下値焦点は4/21-22安値圏109.25-31、4/19-20安値圏118.75-78。108円前半維持が失敗すれば4/7-11-12安値の107.62-69-86圏を最終橋頭堡と推考。
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