【来週の米ドル/円予想レンジ】→ 112.50-115.50
「人知れぬ思ひのみこそわびしけれ 我がなげきをば我のみぞ知る(人知れぬ思いというものは侘しいものである。自分の嘆きは自分にしかわからない)」-。
これは古今和歌集に記されている紀貫之の歌だ。前年末終値比(3/10時点)での米ドル/円下落率-5.84%を鑑みると、円ベア(円安)派の心情にも符合するが、黒田日銀総裁にはその“侘しさ“を取り除く期待が募っている。
黒田日銀総裁の嘆きと期待
「リーマンショックあるいは大震災級の事態にならなければ予定通り引き上げる」とされる2017年4月の増税予定が安倍首相の政治信条「戦後レジームからの脱却」「憲法改正」を阻んでいる。懇意の永田町筋からは、上海G20での国際協調姿勢を大義に「(増税是非を)国民に信を問う」として衆参ダブル選挙の可能性も聞こえてくる。
しかし、1票の格差問題が是正されておらず、またアベノミクスの脆弱性や政府の財政規律弛緩を追及されかねないことは、選挙には不利なのではないか。やはり有権者の歓心を買う為にも景気の好循環として象徴的な「株高円安」」が3月決算期だからこそ強まる、と読むのが自然だろう。年金積立金管理運用独立行政法人GPIFや共済等は政権の意向を再咀嚼せざるを得ない。
一方、日銀は1月にマイナス金利導入を決めたばかりだが、円高が企業収益を圧迫する中、3/15会合では追加策の検討を強める可能性がある。3/7の読売国際経済懇話会で黒田総裁は「(マイナス金利について)株高・円安の方向に力を持っている」と意見を述べた。
異例の言及であり、安倍政権の本気度を反映して日銀が3月にも追加金融緩和に踏み切るとも読める。量的質的金融緩和開始時は、「戦力の逐次投入はしない」としていたが、下限撤廃でのマイナス金利政策執行を効果的と黒田総裁自らが言明し、引き下げ余地を拡げたのである。逐次投入を嘆いている状況ではなくなったのだ。
1ドル115円が目標値
3/10のNZ準備銀、欧州中銀による劇的な金融政策行動に対し、対極のFRBがどのように動くか3/16のFOMCに留意している。利上げ確率はほぼゼロと見込んでいるが、イエレン議長が雇用とインフレ面に自信を示し、追加利上げ観測が強まれば、ドルブル派が息を吹き返す局面となる。
米ドル/円上値焦点は3/2・3/10の高値圏114.45-114.57。越えれば2/16高値114.89や115.00節目、週足一目均衡表雲下限115.52が意識される。下値焦点は113円維持と3/10安値112.59。割れると3/1安値112.15、2/25安値111.88が推考される。
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ドル/円は日銀の金融政策決定会合を前に様子見の展開か?!
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