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ドル買い一服でも円安は継続!株高・リスクオンの流れと金融政策格差で[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2017年7月17日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、米国雇用統計後のドル買いの流れと、株高によるリスクオンの円売りが噛み合い、一時114.49円と約4か月ぶりの高値を示現。しかしトランプ大統領の長男がロシア問題に関するメールを公開したことをきっかけにムードが悪化。イエレンFRB議長の議会証言が「インフレの状況を注意深く見る」など全般に慎重なトーンだったことも失望を買い、112円台へ反落した。金曜日には米国小売売上高や消費者物価指数が弱い結果となったことからさらにドル売りが進み、112.27円まで下押しした。

前回の当コラムではドル安予想を撤回し、米国債利回りの上昇と株高で115円突破も十分可能と予想したが、残念ながら一歩及ばなかった。イエレンFRB議長らの発言や景気指標の推移を見る限り、FRBは利上げを急ぐ必要がなく、米国債利回りがどんどん上昇していく状況にはないのは確かだ。先々週には1.4%台と8年ぶりの水準まで上昇していた米国2年債利回りは1.35%台へ反落。FF金利先物が織り込む12月までの利上げ確率も48%と1週間前から比べて5%程度低下している。ドル買いの流れがひとまず小休止となるのはやむを得ない。

米国株式市場は高値の更新が継続

一方、米国株式市場は、トランプ・ジュニアのメール公開によるセンチメント悪化をものともせず、高値の更新が続いている。株式市場にとっては、インフレでもリセッションでもない「適温経済」が心地よいということなのだろう。先週も述べた通り、米国株式市場は緩やかな景気拡大と低インフレ、そして歴史的な技術革新により、今後も息の長い上昇が続いていく可能性が高い。そして株高・リスクオンの流れが支配的となる中では円売りが圧倒的に優位であり、時折ロシア疑惑や北朝鮮問題などの突発要因でガス抜きが起こることはあっても、継続的に円が買われる展開にはなりにくい。

投機筋は円売りに確信

今週水・木曜日には日銀金融政策決定会合が開催されるが、物価上昇率見通しを下方修正する公算が大きく、出口戦略どころかさらなる緩和策を迫られる状況だ。米欧や資源国が金融政策の正常化にまい進する中で、日本の周回遅れが目立っていることも円を買いづらくしている。

IMM通貨先物の取り組みを見ると、7月11日時点での投機筋の円売り越しは11万2125枚と前週の7万5036枚から大幅に拡大した。2015年6月以来2年ぶりの規模であり、投機筋が円売りに確信を持っていることがうかがえる。先週のドル円の下落は急激なポジション拡大の反動による一時的なものと見るのが自然であろう。ドル買いのエンジンは現在小休止というところだが、円売りのエンジンによる片肺飛行でもドル円は推進力を保てると見ており、今週も押し目買いスタンスを堅持したい。


出所:CFTC、外為どっとコム

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