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ドル安予想を撤回!米国債利回りの上昇と株高でドル円は一段高へ[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2017年7月10日号

先週のドル円相場

先週のドル円相場は、東京都議選での自民党の歴史的敗北を受けてリスクオフの円買いが先行し、一時111.91円まで下落。しかしその動きも長続きはせず、米国債利回りの上昇を背景に113円台へ上昇。金曜日には、日銀が国債の指値オペを実施し長期金利の上昇を牽制したことや、米国雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びが予想を上回ったことから、一時114.18円と約2か月ぶりの高値をつけた。

市場の利上げ期待は高まる一方

筆者はここ数週間、「FRBの利上げにより材料出尽くしとなりドルは下落する」と予想してきたが、どうやら読み間違えたことを認めねばなるまい。6月のFOMCで利上げが決定されて以降、材料出尽くしどころか、米国債利回りは一段と上昇し、市場の利上げ期待はむしろ高まっているのである。特に政策金利動向を反映するとされる2年債利回りは1.4%台と実に8年ぶりの水準を記録した。FF金利先物が織り込む12月までの利上げ確率も4割台から6割まで上昇している。ドル円相場への影響が大きい米国10年債利回りもここ1か月で30bp上昇し、日本との金利差は2%を大きく上回った。

その背景にあるのは、リセッション懸念の後退である。米国の景気拡大はすでに8年が経過しており、そろそろ限界との見方はもともと根強かった。しかし景気に半年先行するといわれる株式市場の最高値更新が続いたことにより、そうした懸念は薄れつつある。むしろここにきて、低インフレと歴史的な技術革新(スマートホン、クラウド、ブロックチェーン、電気自動車、人工知能など)により、米国経済はかつてない繁栄を迎えるとの見方すら浮上してきたのである。

完全雇用が達成され、インフレでもリセッションでもない適温経済(=ゴルディロックス)が続くとの期待が高まるなかで、FRBは金融政策でフリーハンドを得たといえる。緩やかな利上げ(半年につき0.25%程度)とバランスシートの正常化を同時に推し進めても、景気が急に腰折れになったり株価が急落したりするおそれは小さい。FRBにとっても米国経済はかつてなく都合の良い状態なのである。

前回の当コラム「ドル円とドルインデックスの乖離をどう考えるか?」では、市場全体でみれば大幅なドル安なのに、ドル円だけ逆行して上昇するのは難しいだろうという推論を述べた。しかしドルインデックスの下落のほうが間違っているという可能性もないわけではない。というのも、ドルインデックスはユーロの比重が最も高く、ユーロドルが大きく上昇するとドルインデックスは大きく下げてしまうという特徴があるのだ。ユーロドルはECBの金融正常化期待を背景にここ半年で1000ポイント超上昇したが、まだテーパリングも利上げも具体化していないのに、これほど上昇するのは行き過ぎのようにも見える。米国市場の相対的魅力が高まり、ユーロドルが1.15ドルを超えられずに失速すれば、ドルインデックスもおのずと上昇に転じることになるだろう。

今週の見どころ

今週の見どころは、水曜日と木曜日に予定されているイエレンFRB議長の議会証言だ。米国経済の先行きと金融政策の運営に自信を示す内容になる可能性が高く、ドルに対してポジティブに受け止められるだろう。米国債利回りの上昇と株高が同時進行し、ドル買いと円売りの歯車がしっかりかみ合えば、節目の115円突破も十分可能となるだろう。

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