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レンジ相場攻略法~小さなレンジブレイク後の騙しを利用したトレード[井手慶之]

資金管理を徹底する

「買ったら下がる、売ったら上がる」こんな経験したことはありませんか? トレーダーであれば誰しもが経験することです。

誰かが自分のトレードを見ていて、意図的に逆行させているのではないかと思うほど、何度も奇跡的なポイントでポジションをもつことも……。

トレードを行っていくうえで、騙しはつきものです。この騙しを減らす努力は必要だと思いますが、なくそうとすると、逆にポジションを取ることが怖くなり、エントリーができなくなってしまいます。

そこで重要になるのが「資金管理」です。騙しや損失は避けることができないものとして、1回のトレードにおける損失を証拠金の2%以内となるように必ず計算して、損失を限定するようにしましょう。

そして、一度決めたストップの幅を広げる方向に変更したり、ストップ注文を外してしまうようなことは絶対にしてはいけません。

損失を限定できないトレーダーは、一時的に大きく勝つことはあっても、安定した利益を長期間にわたり継続させることはできません。資金管理は徹底して行いましょう。

また、すべての騙しを回避することはできないまでも、一部の騙しを利用したトレードは可能です。

今回は、小さなレンジブレイク後の騙しを利用したトレードパターンをご紹介します。

レンジブレイク後の騙しを利用したトレード

レンジをトレードに取り入れるうえで、考えられるのはレンジブレイクか、レンジ内でのトレードですが、今回ご紹介するのは、小さなレンジのブレイクが騙しとなり、その後、逆側にブレイクするパターンです。

このパターンは意外と多く、とくに、欧州時間(日本時間の夕方)の少し前から欧州時間にかけてよく見られるパターンです。図のように、トレンドに乗って上昇し、トレンドのトップで小さなレンジを組むことがよくあります。

この場合、小さなレンジは水平方向へのフラッグであるため、通常はトレンド方向へブレイクします。このレンジブレイクを狙ったトレードも代表的なトレード手法として、よく紹介されていますが、実は、このブレイクはもっとも騙しの多いレンジブレイクのひとつなのです。

ダイバージェンスに注目

ここで重要になってくるのが、「ダイバージェンス」です。トレンドのトップでのレンジ形成は、すでにRSIが高い値を示していることも多く、レンジをブレイクしても、図のように上にダイバージェンスがついてしまうのです。

ダイバージェンスがついた後は、長い上ヒゲをつけて、一気に下落する騙しとなるのです。

逆にいえば、トレンドのトップで小さなレンジを形成し、その後のダイバージェンスを事前に察知できれば、この騙しを利用したトレードが可能になるのです。

重要なのは、図にあるような長ヒゲのろうそく足が終値で確定するのを待ち、そして、終値がレンジ上限よりも下で引けていることを確認することです。

確認ができたらエントリーとなりますが、ストップの位置はヒゲ上に多少の余裕をみて入れます。そして、利益確定のターゲットは、下にあるサポートラインやフィボナッチナンバー等の意識されるラインになります。

実際のチャートによる予測例

それでは、実際のチャートを見てみましょう。

チャートは「ポンド/円」の15分足ですが、トレンドに乗って「ポンド/円」は上昇してきました。その後、トレンドの高値付近で揉み合いとなり、横に推移し始めます。

この時点では、トレンドの方向は上方向であり、さらに、高値付近での揉み合いであるため、チャートパターンとしては上方向へのブレイクを予測。

ただし、すでに揉み合いの前にダイバージェンスがついており、上方向へのレンジブレイク狙いは危険であると判断ができます。

その後、揉み合いを上にブレイクして、2度目のダイバージェンスをつけ、ブレイクが騙しとなって、ヒゲの長いろうそく足が形成されました。

このときに、ろうそく足の終値がレンジ上限よりも下で引けているかをチェックし、終値が確認できた時点でストップを上ヒゲの少し上で設定して、売りエントリーとなります。

そして、ターゲットはフィボナッチ・リトレースメント38.2%付近となりますが、リミットの目安は、ストップ幅の2倍となるポイントです。

基本の大きなトレンドが上方向でありながら、チャートパターンによる下方向への仕掛けとなるため、ストップ幅の2倍のポイントよりも、ターゲットが下にあっても、利益確定は欲張らずに早めが鉄則です。

事実、今回のケースでは、ターゲット達成後には大きなトレンド方向である上方向に反発しています。

このパターンはストップ幅も小さく、トレンド方向に関係なく、一時的な勢いを取る短期トレードには有効なパターンです。探してみてください。(月刊FX攻略.com 2012年12月号掲載)

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