マックス岩本さんに、相場動向の予測に役立つ「フォーメーション分析」を教えてもらう当企画。今回は、ペナント、フラッグ、ウェッジといった中段保ち合いの場面でよく見られる「コンティニュエーションフォーメーション」について解説してもらいます。
※この記事は、FX攻略.com2017年8月号の記事を転載・再編集したものです
【フォーメーション分析を理解する[マックス岩本]】
・その1|トライアングルフォーメーション(三角保ち合い)とは
・その2|リバーサルフォーメーションとは
・その3|ダブルフォーメーションとは
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コンティニュエーションは短期完成型のパターン
前号では、リバーサルフォーメーションの代表格ともいえるダブルフォーメーションについて学びました。それに続き、今回はペナント、フラッグ、ウェッジといったコンティニュエーションについて解説していきます。
コンティニュエーションフォーメーションとは、トレンドの中段保ち合い局面に現れるチャートパターンのことです。そのため、上昇から下落、下落から上昇といったトレンドの反転を示すものではなく、一時的な小休止の後に、次の動きに至る波動の構成を分析するものです。
これらのフォーメーションは、ヘッドアンドショルダーズに代表される一定の時間経過を伴って完成する中長期型のパターンとは異なり、短期型のフォーメーションになります。
コンティニュエーションのパターンが確認される主な時間軸は、日足以下の分刻みの時間軸です。そのため、ペナント、フラッグ、ウェッジはデイトレーダーのみならずスキャルピングトレーダーにとっても重宝する分析手法といえるでしょう。
ウェッジは反転ポイントでも出現する可能性あり
それでは、各チャートパターンの特徴を解説していきます(図①参照)。まずペナントについてですが、これは三角旗(ペナント)とポールの形状が含まれていることが構成条件です。
保ち合い局面の波動の形状は、高値を切り下げながらも安値を切り上げるシンメトリカルトライアングルを形成するのが大きな特徴です。そして、2本のトレンドラインを引いたときに確認される交点に向かって価格が収束を続けた後に、ポールの立った方向へトレンドラインをブレイクアウトすることでペナントは完成します。
続いてフラッグです。このチャートパターンは最初の1波がポールの形状となるという点はペナントと類似しますが、その後の保ち合い局面の波動形状が少し異なります。
具体的には、ポールの立った方向とは反対に高値・安値を切り下げ(切り上げ)、下降(上昇)チャネルを形成しながら保ち合うのがフラッグの特徴です。下降(上昇)チャネルを形成しているという点に重きを置けば、弱気(強気)と見ることもできますが、これには注意が必要です。
保ち合いに入る前のトレンドは上向きであり、その後の保ち合い局面での下値探りが限定的なのであれば、売り勢いは決して強くない証拠。目先の変動だけでなく、それ以前の値動きに注目することがフラッグを攻略するポイントです。
そして、上昇トレンド中に確認されたフラッグであればレジスタンスラインを、下落トレンド中に確認されたフラッグであればサポートラインを突破することで、フラッグは完成します。
最後はウェッジ(くさび)です。このパターンは進行方向と反対方向へ一時休止を続けるという点ではフラッグと類似しますが、保ち合い局面の波動の形状はトレンドラインの交点に向かって収斂するという点ではペナントの特徴も合わせ持っています。
ウェッジが確認されたときの解釈はペナントと同様となります。上昇ウェッジの場合、保ち合い時の高値の切り下げに対して、安値の切り下げが鈍いのであれば、売り勢いは決して強くないことの表れです。徐々に売りを消化しながら交点に向かって下向きに傾斜した後に反転し、レジスタンスラインの突破をもってこのパターンは完成します。
なお、フラッグとペナントは、トレンドの中段で確認されることが多いですが、ウェッジは中段保ち合い局面に限らず、トレンドのピークやボトムといった反転ポイントにも示現することがあるので覚えておきましょう。
ちなみにこれは、エリオット波動理論の第5波動に出現するダイアゴナルトライアングルと同義です。
二つの計測方法で目標値を設定する
では次に、これらのパターンが確認されたときの目標値について解説します。保ち合いからのブレイクアウト局面ではさまざまな目標値の立て方がありますが、おおむね次の2種類の計測方法が良いかと思います。
まず一つ目は、保ち合いが始まった最も広い部分の値幅を測り、その値幅をトレンドラインのブレイク地点から上方または下方に投影し、目標値とする方法です。
続いて二つ目は、ポール(波動)の値幅を活用する方法です。保ち合いに入る前の最初の1波の値幅を測り、その値幅をブレイクした地点から上方、または下方に投影し、目標値とするものです。
前者は、各チャートパターンが小さければ小さいほど早期に目標値を達成する一方で、後者はポールの値幅を対象とする分だけ大きな利幅をものにすることが可能です。
しかし、局面によっては目標値に達することなくトレンドが衰えてしまうこともあるため、どちらが有用かは一概にはいえません。
自身のトレードスタイルに合わせて目標値を選定するのはもちろんのこと、トレンドの強さを確認する意味でも両方の目標値を視野に入れながら利益の追求を行うのがベターでしょう。
最後に、チャート①にあります直近のユーロドルをご覧いただき、確認された各チャートパターンをおさらいしてみてくださいね。
※この記事は、FX攻略.com2017年8月号の記事を転載・再編集したものです
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