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世界のオルタナティブ投資が、金価格をさらに押し上げる?[内田まさみ]

世界のオルタナティブ投資が、金価格をさらに押し上げる?[内田まさみ]

2020年夏、主役級の値動きだったのは…

 日本各地で最高気温が塗り替えられた今年の夏。相場も、米国の主要株価三指数が揃って過去最高値を更新、台湾の加権指数も30年ぶりに最高値を更新するなど、「熱い」夏となりました。

 その熱さの一翼を担ったのが、「金」ではないでしょうか。年初1トロイオンス=1550ドル近辺だった金価格は、8月上旬に2075ドルまで上昇し、史上最高値を更新しました。テンバガー(10倍株)とまではいかないものの、変動相場制に移行した後の最安値253.2ドル(1999年8月)からみれば8倍! 実物資産である金のこの動きは、やはり驚くべきことです。

調整中の金価格は今後まだ上昇するの?

 高値をつけた後は上値を切り下げながらもみ合っていますが、まだ上昇の余地ありと分析する専門家は多いようです。例えば、米ゴールドマン・サックスが金の12か月の価格見通しを2300ドルに引き上げたのは、7月のこと。金に対して否定的だった著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイが、カナダの産金大手バリック・ゴールドの株式を購入していたことが明らかになったのも同じころです。

 金は地政学リスクが高まったときなどに上昇してきましたが、現在、新型コロナウイルス感染が最悪期を脱したとはいえ、経済低迷や米中摩擦などの不安要素は払拭されていません。また、長期化する世界的な金融緩和で、各国中央銀行も金保有量を減らせず、中長期的に金価格を下支えすると見られます。

金価格上昇に拍車をかけた「金ETF」

 加えて、2003年に登場した「金ETF」は、今や世界中の取引所に上場し、多くの投資家が売買する人気金融商品に成長しました。機関投資家たちもリターンを狙うのと同時に、リスクを分散させるためにこぞって金ETFなどのオルタナティブ資産へ投資しています。

 世界の運用資産総額102兆ドルのうち、オルタナティブ資産に振り分けられるのは13兆ドル程度とされていますが、その額は既に金の地上在庫をはるかに超えています。金利もなく、先行き不透明な時代に、リスク分散を目的とした投資がもっと進めば、金価格はさらに上昇するのかもしれませんね。

※この記事は、FX攻略.com2020年12月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

ABOUT ME
内田まさみ
うちだ・まさみ。1998年にラジオNIKKEIへ入社。「経済情報ネットワーク」「東京株式実況中継」等の株式情報番組を担当し、その後はフリーに転身。現在はラジオNIKKEIや日経CNBCの番組パーソナリティを務める他、ライターとして複数のメディアに記事を執筆するなど、多方面で活躍中。2017年11月には、初の著書となる『FX億トレ!7人の勝ち組トレーダーが考え方と手法を大公開』を刊行した。 ラジオNIKKEIで出演中の番組/ザ・マネー(月~金15:10-16:00 毎週月曜日担当)、投資戦略ラジオ きらめきの発想(毎週火曜日14:30-15:00)、シグナルトレードファクトリー(毎週火曜日16:00-16:30)、ザ☆スマートトレーダーPLUS(毎週木曜日16:00-16:30)、夜トレ(金曜日21:30-22:30 隔週で担当)。 日経CNBCで出演中の番組/夜エクスプレス(月~金21:00-22:40 毎週木曜日担当)、不動産投資ラボ(20:15-20:45 毎週金曜日他) 現在連載中の雑誌やサイト等/『Forbes JAPAN』(リンクタイズ)、『東洋経済オンライン』(東洋経済新報社)、『All About(FX担当ガイド)』(オールアバウト)
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