楽天MT4新規口座開設
相場見通し

「FRBは2023年まで利上げなし」は本当か?[雨夜恒一郎]

「FRBは2023年まで利上げなし」は本当か?[雨夜恒一郎]

FX攻略.com ズバリ!今週の為替相場動向 2021年3月22日号

先週のドル円相場は

高値圏でのもみ合いとなった。米国債利回りの上昇を背景としたドル買いで週初に109.36円と昨年6月以来の高値を更新したが、その後はFOMC会合を控えて利益確定の売りも入った。

FOMCは予想通り金融政策の現状維持を全会一致で決定。メンバーの金利予想(ドットプロットチャート)で2023年末までのゼロ金利維持が引き続き多数を占めたことから、108円台後半へ反落した。

2023年末まで利上げなし?

今回のFOMCを受けて、大手新聞は「FRBは少なくとも2023年末までゼロ金利政策を維持する方針を表明した」(参考:日本経済新聞)などと報じているが、果たしてそうだろうか。

まずFOMC声明全文を読んでみよう。「労働市場の状況が委員会の最大雇用の評価に一致する水準に達し、インフレ率が2%に上昇して当面の間2%をやや超えるような軌道に乗るまで、この目標誘導レンジを維持する」と記されているだけで、「2023年末までゼロ金利政策を維持する」とはどこにも書いていない。

パウエルFRB議長の会見でも、「2023年末まで利上げしない」とは一言も言っていない。「今回の会合では大半のメンバーが予測期間において利上げを見込まなかった」と言っているだけだ。

ドットプロットチャートの変化

大手新聞が「2023年末までゼロ金利政策を維持する」と報じている根拠は、ドットプロットチャートの中央値だ。今回のドットの分布を見ると、ゼロ金利維持の予想が、2021年(18人全員)、22年(18人中14人)、23年(18人中11人)と確かに最多となっている。

2021年3月のドットプロットチャート 出所:FOMC付属資料

今回3月のドットプロットチャート 出所:FOMC付属資料

しかし一方では、2022年末までの利上げを見込むメンバーは4人、2023年末までの利上げを見込むメンバーは7人もいる(あと2人多かったら9対9でイーブンだ)。しかもその数は、前回12月(それぞれ1人、5人)から増えているのである。

2020年12月のドットプロットチャート  出所:FOMC付属資料

前回12月のドットプロットチャート  出所:FOMC付属資料

景気回復が早まる

またメンバーは、財政出動やワクチン普及で、景気は想定よりも早く回復すると予測しており、今年第4四半期にはGDPが前年同期比+6.5%、物価上昇率(コアPCE)が同+2.2%まで上昇し、失業率は4.5%まで低下すると見込む。いずれも前回から大幅な改善だ。

メンバーの経済予測(中心値) 出所:FOMC付属資料

メンバーの経済予測(中心値) 出所:FOMC付属資料

パウエル議長が定義する利上げの条件は「完全雇用と評価する水準に達し、インフレ率が2%に上昇して2%を緩やかに上回る状態が続くこと」だが、早くも今年末にはそれに近い状態になることになる。

これで「少なくとも2023年末までゼロ金利政策を維持」と言い切れるだろうか? 筆者にはむしろ、今年中にも利上げに向けた地ならしが始まってもおかしくないように思える。

\GogoJungleで売れ筋投資商品を探そう!/

金利市場は利上げを織り込む動き

実際、FF金利先物市場は今年中の利上げを1割ほど織り込み、スワップ市場は来年中の利上げ開始を約75%と見ている。米国10年債利回りはFOMC後も上昇を続け一時1.75%と昨年1月以来の水準に達した。

金利市場のプロたちは「2023年末までゼロ金利維持」とは全く考えていない。

米国10年債利回りチャート

米国10年債利回りは1.75%に達した

ドル円はFOMC後やや売りに押されているが、もし為替市場が「2023年末まで利上げなし」と信じてドルを売っているとすれば、早晩買い戻しを迫られるのではないか。

金利上昇を背景としたドル高の流れに変わりはなく、今週も押し目買いスタンスで臨みたい。

超実践的 本当にお金を稼げるファンダメンタルズ分析|第1回 相場の流れが丸裸になる情報源(前編)[雨夜恒一郎]私たちは、本やインターネットなどから、多様なファンダメンタルズ情報を手に入れることができます。ですが、FXで利益を出すために、それらをど...
FXトレーダーのための「大人の経済」基礎講座|第1回 ファンダメンタルズのきほん[雨夜恒一郎]今回よりファンダメンタルズ(分析)を体系的に学習できる、雨夜恒一郎さんの新連載がスタートします。ファンダメンタルズは、相場の大局的な方向...
ABOUT ME
雨夜恒一郎
あまや・こういちろう。20年以上にわたって、スイス銀行、JPモルガン、BNPパリバなど、大手外銀の外国為替業務要職を歴任。金融専門誌「ユーロマネー」における東京外国為替市場人気ディーラーランキングに上位ランクインの経歴をもつ。2006年にフリーランスの金融アナリストに転身し、独自の鋭い視点で為替相場の情報をFX会社やポータルサイトに提供中。
トレイダーズ証券 みんなのFX
あなたに最適なFX会社・取引口座を見つけよう!!
【FX会社比較】10年以上FX専門誌を発行してきたFX攻略.com編集部が調査しました

「これからFXを始めよう」と思ったとき、意外と悩んでしまうのがFX会社、取引口座選びではないでしょうか? でも大丈夫。ご安心ください。先輩トレーダー達も最初は初心者。みんなが同じ悩みを通ってきているんです。

10年以上にわたってFX月刊誌を出版してきた老舗FXメディア「FX攻略.com」編集部が、FX用語を知らない人でもわかるようにFX会社、取引口座のポイントを解説しました!

取り上げているFX会社は、金融商品取引業の登録をしている国内FX業者です。口座開設は基本的に無料ですので、まずは気になったところで2〜3つ口座開設してみて、実際に比べてみてはいかがでしょうか

\FX会社によって違うところをチェック/

スプレッドFX取引における取引コスト。狭いほうが望ましい。
約定力狙った価格で注文が通りやすいかどうか。
スワップポイント高水準かどうか。高金利通貨の取り扱いの数。
取引単位少額取引ができるかどうか。運用資金が少ないなら要チェック。
取引ツール提供されるPC・スマホ取引ツールの使いやすさ。MT4ができるかどうか。オリジナルの分析ツールの有無。
シストレ・自動売買裁量取引とは別に自動売買のサービスがあるかどうか。
サポート体制サポート内容や対応可能時間の違いをチェック。
教育コンテンツ配信されるマーケット情報や投資家向けコンテンツの有無。
キャンペーン新規口座開設時や口座利用者向け各種キャンペーンの内容。

FX会社を比較・検討
したい方はこちら >>
FX会社を一社ごとに
見たい方はこちら >>

あわせて読みたい