ブレグジット関連の要人発言に注目!
今回は、年末に期限が迫ってきた英国の移行期間について書こうと思います。
2020年6月12日、ブレグジットに向けたジョイント委員会が開催されました。欧州連合(EU)からは欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長とバルニエ首席交渉官、英国からはゴーブ内閣府担当相が出席したそうです。移行期間の延長期限が6月末に迫っておりましたが、ジョイント委員会が延長要請の受付機関であり、実質的には6月12日の会合で延長要請をしなければいけなかったそうです。
会合終了後、シェフチョビッチ副委員長が「交渉期間延長に関する英国の立ち位置を確認した。EUは延長については柔軟に対応するが、英国の決断は決定的なものとして受け取った。EU・英国共に、ここからの共同作業を手早く終わらそうということで意見が一致した」と語りました。
これとほぼ同じタイミングで、ゴーブ内閣府担当相は自身のツイッターで以下の発言をしています(画像①)。「英国は6月末の期限を待たず、移行期間の延長をしないことを、正式に公言する。2021年1月1日から、英国は政治的、経済的な独立を手にし、国家主権を自分たちの手に取り戻すことになる」。
出典:Twitter
移行期間延長を要請しない理由
2019年12月に実施された前倒し総選挙で、英国のジョンソン首相率いる保守党は選挙公約として「移行期間延長なし」を挙げました。その後、選挙で大勝が判明してからすぐに、同首相はEU離脱協定法案の改正を申し出て、①移行期間の延長なし②英国の裁判所はEU憲法裁の判決を破棄する権限がある—という2項目を追加したのです。
首相にしてみれば、法案改正までして延長の可能性の芽を摘んだのに、ここで延長が必要となれば自分の政策決定ミスという汚点がつくため、それを避けたいと思う気持ちが強いのでしょう。
そもそも、EUと貿易協定を結んだ国々は、例外なく5~8年ほどの時間を費やしています。英国がわずか11か月で締結することは最初から無理であることは分かっていたはずです。つまり、最初から延長する気などなかったのでしょう。
ジョンソン首相の人気が低下
新型コロナウイルスのパンデミックに対する判断ミスと対応の遅れ。そして、首相の主席アドバイザーであるカミングス氏がロックダウンの自粛ルールを破ったことが発覚した際、同氏の擁護に回ったため、国民の心が離れてしまったこと。さらに、ロックダウンの一部解除にも国民が従わないことなどが重なり、5月下旬からジョンソン首相の支持率はマイナス圏に突入しました。
これだけ人気が下がっているときに、「移行期間延長なし」という選挙公約を破れば、さらに人気は低迷します。それを避けたいという気持ちも強かったと思われます。
追加交渉決定
2020年6月15日、ジョンソン首相はフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長、ミシェルEU大統領、サッソーリ欧州議会議長とテレ・カンファレンスを実施。そこでは、6月1週で終了した交渉回数を増やし、8月21日まで数回にわたり追加交渉を行うことが決定されました(図①)。
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英国企業からの悲鳴
果たして、英国の企業にとっては合意なき離脱でも問題ないのか? そんなことは決してありません。英産業連盟(CBI)のフェアバーン事務局長によると、「英国企業は合意なき離脱に備えた準備資金を、今回のパンデミックで全て使い果たしてしまった。年末に合意なき離脱となった場合、それに向けた新たな措置や資金など、どこにも残っていない。企業は既に限界まで来ている」と悲惨な現実を訴えています。
昨年から合意なき離脱リスクを想定し、英国企業は資金繰りも含め準備をしてきたそうですが、パンデミックでそれを全て使い果たしてしまい、にっちもさっちも行かないのでしょう。予想以上に厳しい状況です。
合意は可能か?
英国政府は、8月末までに大まかな合意を目指しているようです。それに対し、バルニエ首席交渉官は遅くても10月のEUサミットまでの合意を目指したいと発言しています。
そんな矢先、ドイツ政府の秘密文書が漏れてきました。ドイツ政府はEU加盟国に対し、ブレグジットで合意なき離脱となる可能性が高いため、そのための準備を怠らないよう勧告。そして英国に対しEU27か国は一致団結し、自分たちが譲れないところはきちんと主張することを忘れないようにと、念を押しているとも書かれていました。
前途多難ですが、果たしてEUと英国双方が望む形で合意を取り付けられるのか? まずは8月21日までの交渉に注意していきたいと思います。
※この記事は、FX攻略.com2020年9月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。
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