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FX力を鍛える有名人コラム

負うた子に教えられて浅瀬を渡る[森晃]

マクドナルド

 街中を歩くと、マクドナルドとスターバックスをよく見かける。ニューヨークのマンハッタンなどにぎやかな繁華街を歩くと、3分も歩かないうちに別の店舗を見つける。商売繁盛なのは結構なことである。日本にいるころ、マクドナルドを関西圏ではマクド、関東圏ではマックと短縮すると聞いた。エスカレーターに乗るときに関西では右側に立ち、関東は左側に立つ違いがあることと似たような議論をしているように思えた。余談であるが、ワシントンDC、ニューヨーク、シカゴではエスカレーターに乗るときは右側に立ち、左側を歩いて追い抜いていく。

購買力平価

 購買力平価とは、スウェーデンの経済学者カッセル氏によって提唱された長期為替レートの決定理論である。この理論について簡単に解説したい。何らかの経済障壁(貿易障壁)のない世界で二国間が製品を交換した場合、「一物一価の法則(同じ製品の価格は一つである)」が成り立つとする。そして、そのときに異なる二国間の交換レート(為替レート)を「購買力平価」と定義することができる。

 例えば、同じ腕時計の価格が日本で2000円、米国で40ドル、ドル円のレートが1ドル100円だとすると、円建ての米国の腕時計の価格は4000円となる。この場合、割安の日本から腕時計を割高の米国へ輸出すれば、一つ当たり2000円の利益が得られる。この裁定取引(Arbitrage)は、日本での腕時計の価格の上昇と米国での価格の低下により両国の価格差がなくなるまで続く。

 購買力平価には、「絶対的購買力平価」と「相対的購買力平価」の2種類がある。絶対的購買力平価とは、現時点での二国間で同じ製品を同じ価格で購入できる水準から算出した交換レートである。

P=SP*

 Pは自国のモノの価格、Sは名目為替レート、P*は他国のモノの価格で、名目為替レートとする。こちらの計算式から絶対的購買力平価を比較することができる。

 一方で、相対的購買力平価は、二国間の物価上昇率の比で決定される交換レートである。例えば、ある国の物価上昇率が他の国より相対的に高い場合、その国の通貨価値は減価するため為替レートは下落する。

Δp=Δs+Δp*

 p、p*、sは、それぞれP、P*、Sの対数、Δは階差オぺレーターである。この計算式が意味するところは、国内の物価上昇率=為替レートの変化率+外国の物価上昇率の関係である。例えば、基準時点から比べて自国の物価指数が100から200になり、一方で外国の物価指数は変化せずに100のままであった場合、相対的購買力平価は2倍に上昇する。

 ただし、これらの理論は、①どの時点を起点として算出するか(二つの購買力平価に共通)②全ての財やサービスが自由に貿易されることを前提とする(絶対的購買力平価)③全ての財やサービスが同じ割合で変動することを前提とする(相対的購買力平価)—が成り立たなければならないという問題点を持っている。しかしながら、購買力平価は為替レートの長期的トレンドを説明する上で有用な理論である。

ビッグマック指数とスターバックス指数

 ビッグマック指数とは、1986年に英国の経済誌「エコノミスト」が、マクドナルドが世界100か国以上で販売しているハンバーガーの「ビッグマック」の価格に注目して、その価格を比較することで適正な為替レートがいくらであるかを算出したものである。一般にビッグマックは、ほぼ全世界で同一品質のものが販売されており、原材料費、輸送費、店舗の光熱費や賃貸料、店員の労働賃金などさまざまな要因により単価が決まるため、適正な為替レートを算出するのに有用であるとエコノミスト誌は自己評価をしている。

ビックマック指数

 この指数からは、ビッグマックが安く買える国の通貨ほど過小評価されていることが分かる。エコノミスト誌によれば、現在の日本でのビッグマックの価格は390円、米国での価格は5.58ドルである(図①)。ここから導かれる適正なドル円の為替レートは、69.89円となる。このビッグマック指数から算出された為替レートと2019年の名目為替レートを比べると、名目為替レートは35.5%も円安であることが示唆される。

 スターバックス指数は、ビッグマック指数と同様に世界各国で販売しているスターバックスの「トール・ラテ(トールサイズのミルク入りエスプレッソコーヒー)」の価格を比較することで適正な為替レートを算出したものである。図②は、各国のトール・ラテの価格を示したものであり、ニューヨークの3.45ドルより高ければその国の通貨はドルよりも強く、安ければその国の通貨はドルよりも弱いことを意味する。

スターバックス指数

最後に

 為替レートの長期的トレンドを説明するために、経済学者は購買力平価に関する研究を行っている。これまでの研究から、①長い目で見ると為替レートは購買力平価が提示する均衡値へ戻ること②均衡値からの乖離が半減するまで3~5年かかること—が分かっている。若い方とお話をして、本号を執筆するのに役立った。感謝合掌である。

※この記事は、FX攻略.com2020年2月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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