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FX力を鍛える有名人コラム

金融安定化に向けて[森晃]

 3月13日(編集部注:2020年)に、トランプ米大統領が新型コロナウイルス感染拡大への対応を強化するために国家非常事態を宣言してから1か月以上の月日が経過した。筆者も大人しく自宅で時間を過ごしている。外出するのは雑貨屋に食べ物を買いに行くか、家の近所を散歩するときだけである。

 4月16日に、新型コロナウイルス対策で制限した経済活動の再開に向け、ガイドライン(第1段階:在宅勤務から段階的な出勤、レストラン、映画館、スポーツジムの営業再開。第2段階:学校の授業再開、不要不急の移動。第3段階:高齢者施設や病院の訪問)を公表した。

 しかし、このガイドラインを実施するのは時期尚早とし、各州は独自の経済再開計画を検討している。同じ統計を扱う、公衆衛生と経済学の議論であればよいのだが…。ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、「トランプ大統領がニューヨーク州の人々の公衆衛生を危険にさらす形での再開を命じたとしても、私は従わない」と表明している。これに対してトランプ大統領は、米国経済再開時期の決定について「米大統領の権力は完全だ(州知事の決定を覆して再開日程を決定できる)」と発言。これに対し、大統領選の民主党候補者であるジョー・バイデン前副大統領は「米国王の地位に立候補しているわけではない」と批判している。

 米国大統領選挙の再選に向けた選挙期間中に景気後退に陥った場合、現職大統領が当選した例はない。1980年の米国大統領選挙では、イラン革命による原油価格の高騰が影響しジミー・カーター大統領は再選されなかった。そして1992年の米国大統領選挙では、湾岸戦争による景気減速が影響しジョージ・H・W・ブッシュ大統領(父)も再選されなかった。過去の事例からは、トランプ大統領が再選される可能性は「ゼロ」である。そして、世界の指導者の顔ぶれも大きく変わることが予想される。

半分のコップの水をどう見るか

 今年の3月号「ドーナツかドーナツの穴か」で、今年の世界経済の見通しについて議論した。半分しか入っていないコップの水を見て、半分しかコップには水が入っていないと見るか、半分もコップに水が入っていると見るかで印象が変わるとの議論である。

 1月のサンディエゴの経済学会で、多くのエコノミスト(学者、政策当局者、民間機関)と意見交換したが、米国経済は巡航速度で成長するという意見がほとんどであった。しかし、これまでのようなコップの水の議論は何もない。新型コロナウイルスのパンデミックによる影響で、米国経済の落ち込みは避けられないからである。

 さて、何が問題かである。マクロ経済的には、Capital Growthがマイナスになることである(図①)。オンラインでの年次総会の参加であったが、国際通貨基金(IMF)は2009年のリーマン・クライシスよりも2020年のロックダウン(特に先進国)による経済成長率の落ち込みの方が大きく、2020年の世界経済の成長率を−3.0%(米国:−5.9%、ユーロ圏:−7.5%、日本:−5.2%)と予想した。ただし、2020年4~6月期が景気の最悪期で、年後半から経済活動を段階的に回復するIMFの基本シナリオによれば、2021年の世界経済は5.8%のV字回復を予想している。

Capital Growth

中国経済にとってコロナウイルス以外に不安材料はないのか

 中国国家統計局が発表した2020年1~3月期の国内総生産(GDP)は、前年同期と比べ−6.8%であった(図②)。これは、四半期の成長率記録がある1992年以降で初めてのマイナスである。

中国国家統計局が発表した2020年1~3月期の国内総生産(GDP) 2019年の中国社債の債務不履行金額

 さて、2019年の中国社債の債務不履行金額は2018年に引き続き記録的な数字であった(図③)。この債務不履行は将来の金融危機を予兆するものではなく、中国政府の主導による計画的なデフォルトだったとする意見もある。確かに、中国企業は政府と深いつながりがあるため、中国政府は債券の大部分を厳格に管理することができる(社会不安をあおらず、社債のデフォルトを抑え込んできた)。

 しかし近年、中国で社債のデフォルトが急激に増大している。そこで、2018年のデフォルトと2019年のデフォルトの違いについて考察したい。注目したいのは、昨年12月に今までとは異なるデフォルトが起きたことである。天津に本拠を置き、鉱業、物流、インフラストラクチャーなどを手がけるTewoo Groupが債務不履行に陥った。加えて、China Minsheng Investment Groupも多額の負債を抱え、資産、負債、株式のリストラをしている最中である。

 ここで、これら社債のデフォルトの背景について三つ注目したいことがある。一つ目は、中国政府が戦略的に重要ではない企業を救済しなくなったのではないかという疑問である。二つ目は、企業の債券は信用分析やビジネスの中身の精査ではなく、誰が企業をサポートしたかが「信用力」を測る物差しになったのではないかという疑問である。三つ目は、これまでは人民元建てにより国内投資家が社債を保有することがメインであったが、海外からの投資家を引きつけるためにドルベースの社債を発行していることである。

 いずれにせよ、中国政府がこのリスクファクターをどのように処理するか注視しておく必要があるであろう。中国企業へ投資をする場合は、企業の信用力を精査した上で行うべきである(筆者は個人的に、中国から金融危機が起こるかどうかについては本稿では予想しない)。

新興国の動き

 読者の皆さまにとって、ドルスワップ協定による中央銀行の外貨準備調整を通じて円安圧力となったのは記憶に新しいであろう。中央銀行の外貨準備における通貨のポートフォリオは国々によって異なるが、例えばドル(50%)、ユーロ(25%)、円(7.25%)、ポンド(7.25%)、その他通貨(10%)とする。ドルの流動性を高めるために(ドルスワップ協定により)、各国中央銀行が自国通貨を買い、ドルを売った。しかし、通貨のマネージメントから元の外貨準備のポートフォリオを維持することが必要となり、円、ポンド、その他通貨を売ってドルを買ったため円安となった(例えば、5000億ドルの外貨準備を持っている中央銀行が1000億ドルの通貨スワップを行った場合、残りの外貨準備は4000億ドルになり、2500億ドル所有していたドルは1500億ドルとなる。ドル50%の通貨ポートフォリオを維持するためには、不足分の500億ドルのユーロ、円、ポンド、他通貨をドルに変える必要がある)。

 このドル売り(外貨準備の取り崩し)は、ニューヨーク連銀のカストディ勘定(海外通貨当局・国際機関が保有する米国債残高)が減少したことからも分かる(図④)。もちろん、世界で一番安全で流動性が高い米国債が暴落することは絶対にないと筆者は考えている(読者の皆さまも反論する余地はないであろう)。しかしながら、新興国の経済、財政、外貨残高および資本流出とドルの値動きの関係は注視しておくべきであろう。

ニューヨーク連銀のカストディ勘定(海外通貨当局・国際機関が保有する米国債残高)が減少

最後に

 新型コロナウイルスにより、国境の内側では社会的連帯が強まり、国境の外側に対しての分断の力がより強く働くとする論調がある。しかし、我々が獲得した英知は「グローバリゼーション(国際協調)」であることを忘れてはいけない。

※この記事は、FX攻略.com2020年7月号の記事を転載・再編集したものです。本文で書かれている相場情報は現在の相場とは異なりますのでご注意ください。

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