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6月の日銀短観、業況判断DIは大企業製造業で+17と上昇しましたが[阪谷直人]

市場が注目していた6月の日銀短観、7月3日の8:50に発表され、民間企業の景況感を示す業況判断DIは大企業製造業で+17と、前回3月の+12に比べ5ポイント上昇、因みに市場予想は+15でした。結果としては、市場・相場への影響はありませんでした。 

さて「日銀短観」とは、全国企業短期経済観測調査というのが正式な名称で、日銀調査統計局が、10000社以上の民間企業を対象に、四半期毎に行うアンケート調査です。

 どんなアンケートかというと、各企業の経営者に「経営状態が良い、さほど良くない、悪い」の3つの中から1つを選んでもらいます。これを集計して「良い」と回答のあった企業の割合から、「悪い」と回答のあった企業の割合を引いて、その数字を「DI(デフュージョン・インデックス)」と呼びます。このDIの動向から民間企業の経営者の企業心理・景気判断の動向を読み取ろうとするものです。これを大企業の製造業・非製造業、中小企業の製造業・非製造業の4つの部門について集計・発表しています。

 大企業製造業大企業非製造中小企業製造業中小企業非製造
2017年6月172377
2017年3月122054
2016年12月101812
2016年9月618-31
2016年6月619-50
2016年3月622-44
2015年12月122505
2015年9月122503
2015年6月152304
2015年3月121913
2014年12月12161-1
2014年9月1313-10
2014年6月121912
2014年3月172448
2013年12月162014
2013年9月1214-9-1
2013年6月412-14-4
2013年3月-86-19-8
2012年12月-124-18-11
2012年9月-38-14-9
2012年6月-18-12-9
2012年3月-45-10-11
2011年12月-44-8-14
2011年9月21-11-19
2011年6月-9-5-21-26
2011年3月63-10-19
2010年12月51-12-22
2010年9月82-14-21
2010年6月1-5-18-26
2010年3月-14-14-30-31
2009年12月-24-22-40-35
2009年9月-33-24-52-39
2009年6月-48-29-57-44
2009年3月-58-31-57-42

資料:日本銀行HP

2012年12月~                            自民党・第2次安倍内閣
2011年9月~2012年12月         民主党・野田内閣
2010年6月~2011年9月           民主党・菅内閣
2009年9月~2010年6月           民主党・鳩山内閣
2008年9月~2009年9月           自民党・麻生内閣

今回の結果について総じて言えることは、企業規模を問わず幅広い業種で景況感の改善が示され、景気回復の継続が確認された格好です。ポイントその1は、2014年4月導入の消費税増税以前の水準に回復してきている点です。 

ポイントその2は、現状の景況感は改善してきているものの、先行きは製造・非製造業どちらも悪化見通しなのです。各企業とも、先行きに関しては、慎重な見方をする傾向が強いものの、今回は、素材業種で仕入価格判断の値上り懸念が浮上、海外を中心とした先行き不透明感への警戒感も根強く、日銀によると、人手不足感の強まりに伴う人件費の上昇をマイナス要因とする指摘もありました。

 ポイントその3は、本年2017年度のドル円の想定為替レートを「108.31」とした点です。2016年度実績の「108.29」とほぼ同水準で、足元のドル円相場との比較では円高方向となっています。 

ポイントその4は、雇用人員判断DI%:「過剰-不足」で見た場合、人手不足感が1990年代のバブル期の水準に近づいている事です。雇用人員判断は、大企業で-15の不足超過、中小企業も-27の不足超過で、双方とも1990年代バブル期以来の不足超過幅となりました。先行きも不足感は一段と強まる見通しで、雇用状態は約25年ぶりにタイトな状況になっています。問題は、賃金上昇率とのバランスです。

 私見としての結論ですが、短観中にも触れられていた様に、先行きが海外情勢の不透明感が根強く、今後は日本経済の悪化が見込まれている事が懸念材料です。加えて先週の世論調査で示されたように安倍政権への支持率が低下、昨日の東京都議会選挙で自民党が大敗。以上安倍政権の求心力低下が著しい中で、景気浮揚を導いてゆけるのか、日銀の動向に加え、安倍政権の政治リスクにも要注意です。

(7/3 15:10)

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